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11話
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婚約者を変えたばかりだというのに、もう妹ギーナが問題を起こしたらしい。
私のミアラナ伯爵家はゴルドーのロルアド侯爵家と婚約者を変える際に契約を結び、ギーナが問題を起こせば責任はロルアド侯爵家が負うこととなっている。
更にギーナはミアラナ伯爵家から勘当されるけど、これはゴルドーが認めたことだ。
学園側にも連絡していたようで、先生はゴルドーの元にギーナの起こした行動を報告している。
ようやく妹から解放されそうになっていたけど、ゴルドーが私の元へやって来た。
「ケイトよ! お前の妹ギーナが生徒を魔法で攻撃したようだ! 謝ってこい!!」
「……ゴルドー様は、一昨日の出来事を忘れているのでしょうか?」
婚約者を変えているし、契約に関しても納得していた。
確か「ギーナがゴルドーと婚約すれば、愛する者に相応しくなろうと頑張る」とか言っていたはずだ。
問題を起こすわけがないと確信していたのに、問題が起きれば今まで通り対応させようとしている。
呆れ果ててしまうと、ゴルドーの隣に先生が立ち肩をつかんで。
「ミアラナ伯爵家とロルアド侯爵家の領主から報告を受けています。ギーナ様が問題を起こした場合、責任はゴルドー様とロルアド侯爵家が負う。それなら貴方が謝罪に行くしかないでしょう」
「そ、それは……ならば一緒に行くとしよう! ギーナの姉はケイトだからな!」
「ケイト様が行く必要はないでしょう。ギーナ様の婚約者であるゴルドー様だけで行くべきです」
「ロザリーは黙ってろ! 俺はケイトに頼んでいる!!」
近くにいてくれるロザリーは反対したけど、ゴルドーは怒声を浴びせてで黙らせようとしている。
確かにこれから勘当になるけど現時点ではギーナの姉だから、その方がいいのだろうか?
困惑してしまうと、私の隣にいたアリオス様がゴルドーの前に立つ。
「それならケイトの婚約者である私が、ゴルドーの提案を拒むとしよう」
「アリオスッ……俺はケイトの気持ち的に謝りたいと思っているからこそ、一緒に行くべきと言っているだけです!」
「元婚約者に甘えるな。これはギーナが起こした問題で、責任はゴルドーがとる。その覚悟があったから婚約者を変えたのだろう」
とにかく私を連れて行きたいゴルドーだけど、アリオス様が断ってくれる。
委縮しながらもゴルドーは両手を強く握りしめて、相手が公爵家の令息だとしても叫び出す。
「まさか婚約者を変えてすぐに問題を起こすとは思わなかったんだ! 生徒からすれば何も知らないだろうし、ギーナの姉であるケイトも一緒に謝らせる!!」
「お前と一緒に謝らせることで周囲に婚約者を変えてもケイトとは仲がいいと思わせたいようだが、そんなことを今の婚約者である私がさせない」
「うっっ……」
どうやらアリオス様の発言は図星だったようで、ゴルドーが言い返せなくなっている。
目論見が酷すぎるし、私としてもこれからはギーナと関わりたくなかった。
「婚約者をギーナに変えたのはお前の意思だろう。後悔は自業自得、ケイトを巻き込むな」
「それではゴルドー様。ギーナ様と一緒に話があります」
何か言いたそうにしていたけど、アリオスの発言に気圧されて項垂れたゴルドーを先生が連行している。
これからゴルドーは魔法で攻撃した生徒とその家に謝罪して賠償を支払い、学園側から処罰を言い渡されるはず。
王子の騎士団員ということもあって重い罪にはならないかもしれないけど、他の騎士団員から非難されるのは間違いなさそうだ。
近づいてきた時は困惑してしまったけど、私は関わらずに済んだことに安堵している。
そしてアリオス様は、ゴルドーの背中を眺めた後に私を見て。
「婚約者としてゴルドーの発言が許せなくなったが、ケイトは悩んでいたな。一緒に謝りたかったのだろうか?」
「ゴルドー様というよりも、被害者の生徒が気になりました」
「そういうことか……それでもギーナは勘当されて無関係となるし、責任はゴルドーが負うと決めたことだ」
「そうですね。考え過ぎていたのかもしれません……アリオス様、ありがとうございます」
今日の出来事から、私は押しに弱いと再認識できてしまう。
アリオス様が傍にいてくれたから助かり、これからも傍にいたい。
その後は魔法を扱う授業が終わり、私は屋敷に戻っている。
魔法学園から連絡があったようで、謹慎が終わったと同時にギーナは勘当されるようだ。
私のミアラナ伯爵家はゴルドーのロルアド侯爵家と婚約者を変える際に契約を結び、ギーナが問題を起こせば責任はロルアド侯爵家が負うこととなっている。
更にギーナはミアラナ伯爵家から勘当されるけど、これはゴルドーが認めたことだ。
学園側にも連絡していたようで、先生はゴルドーの元にギーナの起こした行動を報告している。
ようやく妹から解放されそうになっていたけど、ゴルドーが私の元へやって来た。
「ケイトよ! お前の妹ギーナが生徒を魔法で攻撃したようだ! 謝ってこい!!」
「……ゴルドー様は、一昨日の出来事を忘れているのでしょうか?」
婚約者を変えているし、契約に関しても納得していた。
確か「ギーナがゴルドーと婚約すれば、愛する者に相応しくなろうと頑張る」とか言っていたはずだ。
問題を起こすわけがないと確信していたのに、問題が起きれば今まで通り対応させようとしている。
呆れ果ててしまうと、ゴルドーの隣に先生が立ち肩をつかんで。
「ミアラナ伯爵家とロルアド侯爵家の領主から報告を受けています。ギーナ様が問題を起こした場合、責任はゴルドー様とロルアド侯爵家が負う。それなら貴方が謝罪に行くしかないでしょう」
「そ、それは……ならば一緒に行くとしよう! ギーナの姉はケイトだからな!」
「ケイト様が行く必要はないでしょう。ギーナ様の婚約者であるゴルドー様だけで行くべきです」
「ロザリーは黙ってろ! 俺はケイトに頼んでいる!!」
近くにいてくれるロザリーは反対したけど、ゴルドーは怒声を浴びせてで黙らせようとしている。
確かにこれから勘当になるけど現時点ではギーナの姉だから、その方がいいのだろうか?
困惑してしまうと、私の隣にいたアリオス様がゴルドーの前に立つ。
「それならケイトの婚約者である私が、ゴルドーの提案を拒むとしよう」
「アリオスッ……俺はケイトの気持ち的に謝りたいと思っているからこそ、一緒に行くべきと言っているだけです!」
「元婚約者に甘えるな。これはギーナが起こした問題で、責任はゴルドーがとる。その覚悟があったから婚約者を変えたのだろう」
とにかく私を連れて行きたいゴルドーだけど、アリオス様が断ってくれる。
委縮しながらもゴルドーは両手を強く握りしめて、相手が公爵家の令息だとしても叫び出す。
「まさか婚約者を変えてすぐに問題を起こすとは思わなかったんだ! 生徒からすれば何も知らないだろうし、ギーナの姉であるケイトも一緒に謝らせる!!」
「お前と一緒に謝らせることで周囲に婚約者を変えてもケイトとは仲がいいと思わせたいようだが、そんなことを今の婚約者である私がさせない」
「うっっ……」
どうやらアリオス様の発言は図星だったようで、ゴルドーが言い返せなくなっている。
目論見が酷すぎるし、私としてもこれからはギーナと関わりたくなかった。
「婚約者をギーナに変えたのはお前の意思だろう。後悔は自業自得、ケイトを巻き込むな」
「それではゴルドー様。ギーナ様と一緒に話があります」
何か言いたそうにしていたけど、アリオスの発言に気圧されて項垂れたゴルドーを先生が連行している。
これからゴルドーは魔法で攻撃した生徒とその家に謝罪して賠償を支払い、学園側から処罰を言い渡されるはず。
王子の騎士団員ということもあって重い罪にはならないかもしれないけど、他の騎士団員から非難されるのは間違いなさそうだ。
近づいてきた時は困惑してしまったけど、私は関わらずに済んだことに安堵している。
そしてアリオス様は、ゴルドーの背中を眺めた後に私を見て。
「婚約者としてゴルドーの発言が許せなくなったが、ケイトは悩んでいたな。一緒に謝りたかったのだろうか?」
「ゴルドー様というよりも、被害者の生徒が気になりました」
「そういうことか……それでもギーナは勘当されて無関係となるし、責任はゴルドーが負うと決めたことだ」
「そうですね。考え過ぎていたのかもしれません……アリオス様、ありがとうございます」
今日の出来事から、私は押しに弱いと再認識できてしまう。
アリオス様が傍にいてくれたから助かり、これからも傍にいたい。
その後は魔法を扱う授業が終わり、私は屋敷に戻っている。
魔法学園から連絡があったようで、謹慎が終わったと同時にギーナは勘当されるようだ。
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