婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓

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46話 カルス視点

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 禁魔法の存在を知り、激高した領民がカルスを仕留めるために動く。

 カルスの目の前には……殺意を剥き出しにした領民の男が、ナイフを構えて迫っていた。

「俺はお前達に支配されたりはしない! カルスッ!!」

「ぐっっ……」

 支配――その発言を聞いて、カルスは唖然とするしかない。

 領民なんて領主に支配されている存在だろうと考えて……実際は違うと、ようやく理解する。

 駒ではなく人であり、不満が爆発すれば何をしてきてもおかしくはない。

 そのことすらカルスは考えることができず、禁魔法で限界を超えて酷使させようとしていた。

「……当然の、報いか」

 全てはパトリシアを追い出したことが原因で、カルスは強く恨んでいた。

 そして禁魔法に頼るも……その末路として、領民に殺されようとしている。

 カルスが死を受け入れようとした瞬間――走馬燈を見て、カルスは反射的に動く。

「まだ領主になっていない……俺の人生はこれからだ!!」

 自分が領主となって禁魔法で支配した領民の力を使い――パトリシアを見返す。 

 あの時の屈辱が原動力になって、カルスは必死に足掻こうとしていた。

 そして――駆けつけた婚約者のミュリナが暗殺を目論んでいた領民を仕留め、疲弊しているカルスに告げる。

「あれだけ厳重にした警備の中でも侵入できるだなんて……屋敷に入り、報告していたエバンドの仕業ね」

「……奴は優秀だった。だからこそ禁魔法に気付けて、俺を暗殺しようと考えたのでしょう」

「見限られたということね……警戒はしておくわ」

 本性を出したミュリナは、カルスに対して敬わずに話してくる。

 そんな中で……聞けば怒られると解っていながらも、カルスは尋ねるしかない。

「……グラン様は、今何をしているのですか?」

 まだ力が必要だと考えているカルスは、最初に会って以降、一切関わっていないグランと話がしたかった。

 そんなカルスの発言を聞いて、ミュリナは呆れた表情を浮かべて告げる。

「貴方如き無能に、お兄様が話をするわけないじゃない……ただでさえローウォン家をどう対処するかで忙しいのよ!」

 ミュリナとの会話で出てきたローウォン家という名前を聞いて、カルスが硬直する。

 その反応が気になったのか……ミュリナは困惑しながらも、カルスに尋ねる。

「伯爵家のルジャス家だからないと思ってたけど……もしかして、カルスかルジャス家は、ローウォン家と関わったことがあるの?」

「ルジャス家は無関係ですが……元婚約者のパトリシアの、新たな婚約者がジャック・ローウォン様だと聞いています」

「なんですって!?」

 カルスは普通に、パトリシアとの最後の会話を思い出して説明する。

 それを聞いたミュリナが驚いている理由が、カルスには解らなかった。
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