婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓

文字の大きさ
27 / 74

27話

しおりを挟む
 ジャック様と会話をしてから……私はジャック様のことばかり考えてしまう。

 魔力と魔法に興味を持って行動する私と同類の人と会ったのは初めてで、ジャック様の魔法に関する知識は私より上だ。

 会った時に言っていた公爵家の権力を使って好き勝手しているというのは本当のようで、私の知らないことを知っている。

 なにより私を見下さず気遣ってくれて……対等に、同類として接してくれたのが嬉しかった。

 私が嬉しかったようにジャック様も嬉しかったから、また来ると言ってくれたはず。

 次はいつ会えるだろうかと待ち遠しくなって――すぐに再会することとなる。

 × × ×

 あれから3日後……私の屋敷にジャック様がやって来る。

 どうやらジャック様が会いたいと言ったようで、お母様がとてつもなく喜んでいた。

 ジャック様の話をするとお父様が不安になりながらも「パトリシアが嬉しそうにしているのなら、何が起きても対処してみせるよ」と言ってくれている。

 ジャック様と魔力や魔法の話になって……私はジャック様から聞いた話を参考にして、思いついたことを口にしていた。

 それにジャック様は感銘を受けたようで会話が弾み……私は気になっていたことを尋ねる。

「私と話がしたいと言っていた貴族の方々が関わらなくなりましたけど……ジャック様が何かしたのですか?」

 また次も来ると言って帰った貴族の人達が、会う約束を取り消して欲しいと言ってきたらしい。

 理由はジャック様なのではないかと考えた私が尋ねると、ジャック様は頷いて。

「その通りだ。パトリシアが煩わしそうにしていたから会うべきではないと判断したが……余計だったか?」

「いいえ。ありがとうございます」

 会話の中で他の貴族の人達の話をして、私が会いたくないと考えていたのが知られてしまったらしい。

 そして私の為にジャック様は行動してくれて……それが、私はとてつもなく嬉しかった。

 私は毎回、ジャック様が帰る度に「また来て欲しい」「早く会いたい」と言ってしまう。

 その発言を聞いたジャック様の笑顔が好きで――この日常がずっと続いて欲しいと、私は思うようになっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

当店では真実の愛は取り扱っておりません

鍛高譚
恋愛
「平民だから、言うことを聞くと思った?」 「……ふざけるのも大概にしてください。平民なめんな。」 公爵家令嬢ココア・ブレンディは、突然の婚約破棄を告げられる。 理由は“真実の愛”に目覚めたから──? しかもそのお相手は、有力商会の娘、クレオ・パステル。 ……って、えっ? 聞いてませんけど!? 会ったことすらないんですが!? 資産目当ての“真実の愛”を押しつけられた商人令嬢クレオは、 見事な啖呵で公爵家の目論見を一刀両断! 「商人の本気、見せてあげます。取引先ごと、手を引いていただきますね」 そして、婚約を一方的に破棄されたココアは、クレオとまさかのタッグを組む! 「ココア様、まずはお友達からよろしくなのです」 「ええ。ではまず、資本提携から始めましょうか」 名門貴族と平民商人――立場を超えて最強の令嬢コンビが誕生! 没落寸前のブラック公爵家を、“商売と優雅さ”でじわじわ追い詰める痛快ざまぁ劇! ――平民を侮る者には、優雅で冷酷な報いを。 “真実の愛”では買えない未来が、ここにある。

婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有
恋愛
伯爵令嬢のミレナは、双子の妹キサラより劣っていると思われていた。 婚約者のルドノスも同じ考えのようで、ミレナよりキサラと婚約したくなったらしい。 排除しようとルドノスが突き飛ばした時に、ミレナは前世の記憶を思い出し危機を回避した。 今までミレナが支えていたから、妹の方が優秀と思われている。 前世の記憶を思い出したミレナは、キサラのために何かすることはなかった。

「君は地味な裏方だ」と愛人を優遇するサイコパス気質の夫。〜私が去った後、商会の技術が全て私の手によるものだと気づいても、もう手遅れです〜

水上
恋愛
「君は地味だから裏方に徹しろ」 効率主義のサイコパス気質な夫は、妻であるクララの磨いた硝子を愛人の手柄にし、クララを工房に幽閉した。 彼女は感情を捨て、機械のように振る舞う。 だが、クララの成果を奪い取り、夫が愛人を壇上に上げた夜、クララの心は完全に凍りついた。 彼に残した書き置きは一通のみ。 クララが去った後、商会の製品はただの石ころに戻り、夫の計算は音を立てて狂い始める。 これは、深い絶望と、遅すぎた後悔の物語。

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。 (さて、さっさと逃げ出すわよ) 公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。 リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。 どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。 結婚を申し込まれても・・ 「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」 「「はあ? そこ?」」 ーーーーーー 設定かなりゆるゆる? 第一章完結

私を見下していた婚約者が破滅する未来が見えましたので、静かに離縁いたします

ほーみ
恋愛
 その日、私は十六歳の誕生日を迎えた。  そして目を覚ました瞬間――未来の記憶を手に入れていた。  冷たい床に倒れ込んでいる私の姿。  誰にも手を差し伸べられることなく、泥水をすするように生きる未来。  それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。  だが、彼の言葉は、決定的だった。 「――君のような役立たずが、僕の婚約者だったことが恥ずかしい」

【完結】真面目だけが取り柄の地味で従順な女はもうやめますね

祈璃
恋愛
「結婚相手としては、ああいうのがいいんだよ。真面目だけが取り柄の、地味で従順な女が」 婚約者のエイデンが自分の陰口を言っているのを偶然聞いてしまったサンドラ。 ショックを受けたサンドラが中庭で泣いていると、そこに公爵令嬢であるマチルダが偶然やってくる。 その後、マチルダの助けと従兄弟のユーリスの後押しを受けたサンドラは、新しい自分へと生まれ変わることを決意した。 「あなたの結婚相手に相応しくなくなってごめんなさいね。申し訳ないから、あなたの望み通り婚約は解消してあげるわ」  ***** 全18話。 過剰なざまぁはありません。

虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……

くわっと
恋愛
21.05.23完結 ーー 「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」 差し伸べられた手をするりとかわす。 これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。 決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。 彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。 だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。 地位も名誉も権力も。 武力も知力も財力も。 全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。 月並みに好きな自分が、ただただみっともない。 けれど、それでも。 一緒にいられるならば。 婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。 それだけで良かった。 少なくとも、その時は。

処理中です...