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56話
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前とは全然違うサリナを見ても、私は何も思うことがない。
精神的に疲れているのがわかるほどに目の下には隈があり、どうやら魔力を常に使っている様子だ。
どこからどう見ても不安定な精神状態で、サリナは私を指差しながら。
「その女が来たんだからもう私はいいでしょ!? 早く聖女としての役目を代わってよ!」
「私は交渉にきただけよ。代わるつもりは一切ないわ」
「なっ……ふざけないで!」
どうやら相当魔力を酷使されていたようで、それが代われることに希望を抱いていたのでしょう。
サリナの発言を聞く気は一切なくて、私が断言するとサリナは取り乱し。
「先輩のあたしがこう言ってるのよ! それなのに逆らう気!?」
「ええ。もう先輩後輩でもないし、どうして私より下のサリナが命令して、それを私が聞かないといけないのよ?」
「っっ……ああああああっっ!!」
私の発言によって、サリナは限界がきたらしい。
頭を抱えながら喚き散らすサリナを見て、黒龍が叫ぶ。
「黙っていろ!!」
「っっ――」
その叫び声と威圧によって、サリナは意識を失って倒れていた。
「完全にトドメを刺しましたね。精神が壊れた彼女は魔法が使えなくなりましたが……もう不要なのでどうでもいいことです」
白龍がそう言い放ち、神龍は私とゼスタを眺めて。
「サリナか、最後まで哀れな女だったな……話を戻すが、今のままでは我が納得しても、他の者が納得しないだろう」
そう言って周囲を眺めると、私達を囲んでいるバトルドラゴンは鳴き声をあげている。
どうやら神龍の発言に賛同しているようで、それを眺めながらゼスタが告げる。
「それなら、どうすれば納得してもらえる?」
「そうだな……この場で黒龍と一騎打ちを行い、その結果次第だ。一騎打ちと言ったが、シーファは加護の力は使って構わない」
いきなり黒龍と……神龍の部下で一番強い存在との一騎打ちと知り、無謀だと思うしかない。
「わかった。受けよう」
それでも即答したゼスタを見て――私は全力で、ゼスタの助けになることを決意していた。
精神的に疲れているのがわかるほどに目の下には隈があり、どうやら魔力を常に使っている様子だ。
どこからどう見ても不安定な精神状態で、サリナは私を指差しながら。
「その女が来たんだからもう私はいいでしょ!? 早く聖女としての役目を代わってよ!」
「私は交渉にきただけよ。代わるつもりは一切ないわ」
「なっ……ふざけないで!」
どうやら相当魔力を酷使されていたようで、それが代われることに希望を抱いていたのでしょう。
サリナの発言を聞く気は一切なくて、私が断言するとサリナは取り乱し。
「先輩のあたしがこう言ってるのよ! それなのに逆らう気!?」
「ええ。もう先輩後輩でもないし、どうして私より下のサリナが命令して、それを私が聞かないといけないのよ?」
「っっ……ああああああっっ!!」
私の発言によって、サリナは限界がきたらしい。
頭を抱えながら喚き散らすサリナを見て、黒龍が叫ぶ。
「黙っていろ!!」
「っっ――」
その叫び声と威圧によって、サリナは意識を失って倒れていた。
「完全にトドメを刺しましたね。精神が壊れた彼女は魔法が使えなくなりましたが……もう不要なのでどうでもいいことです」
白龍がそう言い放ち、神龍は私とゼスタを眺めて。
「サリナか、最後まで哀れな女だったな……話を戻すが、今のままでは我が納得しても、他の者が納得しないだろう」
そう言って周囲を眺めると、私達を囲んでいるバトルドラゴンは鳴き声をあげている。
どうやら神龍の発言に賛同しているようで、それを眺めながらゼスタが告げる。
「それなら、どうすれば納得してもらえる?」
「そうだな……この場で黒龍と一騎打ちを行い、その結果次第だ。一騎打ちと言ったが、シーファは加護の力は使って構わない」
いきなり黒龍と……神龍の部下で一番強い存在との一騎打ちと知り、無謀だと思うしかない。
「わかった。受けよう」
それでも即答したゼスタを見て――私は全力で、ゼスタの助けになることを決意していた。
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