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36話

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 私達の居るロウーラ国にやって来た人の言葉を話せるバトルドラゴンの白龍は、私をモルドーラ国に戻そうとしている。

 そして……白龍は、私が前に聖女として居た国、モルドーラ国の先輩聖女サリナの命令を受けているらしい。

 私が動揺していると、ゼスタが陛下に尋ねる。

「どういうことですか? モルドーラ国を神龍が支配しているのはわかりますが、白龍に命令を出している?」

 そう考えていると、ロギオンが私達を見て。

「推測するに聖女サリナと協力関係にあるか……神龍にとって聖女が必要だから、サリナ以外の聖女を集めているか」

 確かに、神龍が聖女を必要としているのなら、サリナの性格なら私を連れてこようと考えるでしょう。

 サリナは自分のためなら、私がどうなろうと構わない……むしろシーファは酷い目に合うべきだと考えている。

「全然変わってなさそうね……私はどうすればいいですか?」

 サリナに苛立ちを覚えながらも、私は陛下に尋ねると。

「さっきも言ったが、まずは話し合う……どんな条件を出されたとしても、シーファを引き渡すつもりはない。恐らく戦闘になるだろう」

 それなのに話し合うのは、モルドーラ国がどうなっているのかを知るためでしょう。

 私をモルドーラ国に戻す理由も何かあるに決まっているから、それも話し合いで知っておきたい。

 そう考えていると、陛下の発言が続く。

「どうやら白龍は、威圧しただけで伝達に使った兵士は以外気を失うほどの強さらしい……ゼスタ、ロギオン、エグニースの3人に、シーファが加護を与える。これしかないだろう」
 
 加護の力は与える人が少なければ少ないほど、効果が増す。

 普通の兵士や冒険者は威圧されて倒れてしまうほどだから、陛下の言った通りにするべきでしょう。

「倒した場合、神龍を敵に回すこととなりますが……」

 ロギオンは不安に陛下に告げると、エグニースがロギオンを見て。

「その時は冒険者ギルドも総力をあげて協力致します。戦う理由ができますからね」

 ここ最近、バトルドラゴンの被害は皆無だった。

 今まではモルドーラ国にしか被害が出ていなかったのに、今回は他の国を狙った行動だ。

 国にとって必要な聖女を攫おうと言うのなら対立するのは当然で……冒険者ギルド側も納得できる理由らしい。

 そこまで考えてから――とにかく私達は、待っている白龍の元へ向かうべきでしょう。

 話し合いで終わるのが一番だと言っていたけど、そうなるとはまったく思えなかった。
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