21 / 58
21話
しおりを挟む
翌日の朝――目が覚めて鏡を眺めると、そこに地味聖女は存在していない。
髪で半分以上隠れていた表情がはっきりと見えて、藍色の奇麗な瞳……ゼスタに美しいと言われた本来の私が、そこにはあった。
「こ、この姿なら、流石に聖女だって思うわよね……」
モルドーラ国で聖女をしていた頃、地味聖女だと蔑まれていたけど……あの時にサリナの命令を無視してこの姿になっていれば、まだモルドーラ国の聖女で居られたかもしれない。
もう終わったこと……こうして今、ゼスタに会えたことが幸せだから、地味聖女と蔑まれながら生きてきてよかったとすら覚えている。
そう考えながら、私はゼスタの部屋に向かっていた。
× × ×
ゼスタの部屋の前まで来たけど……やっぱり緊張してしまう。
そう考えていると扉が開いて、私はゼスタと対面していた。
本来の見た目に戻った私を見て、ゼスタは少し驚きながら。
「髪を切ったのか……その見た目は目立ちそうだけど、大丈夫か?」
私の過去を話したから、ゼストは心配してくれている。
前に私の眼を見ていたからか、そこまで驚いてはいない様子だ。
「大丈夫です……それより、どうでしょうか?」
ゼスタは気遣って何も言わないでくれたのだと思うけど、私はゼスタに思わず尋ねてしまう。
私の方から尋ねてくるとは思わなかったのか、ゼスタは驚きながらも微笑みを浮かべて。
「ああ……とてつもなく綺麗だ」
ゼスタがそう言ってくれるだけで、私はとてつもなく嬉しくなる。
これから城に向かって聖女だと紹介されることになっているけど、地味聖女だと呼ばれることはないも、いきなり隣国の元聖女を聖女にすると言われて納得するのだろうか?
ゼスタの反応を見ると大丈夫のような気もするけど、不安になりながら、私はゼスタと共に城へ向かっていた。
髪で半分以上隠れていた表情がはっきりと見えて、藍色の奇麗な瞳……ゼスタに美しいと言われた本来の私が、そこにはあった。
「こ、この姿なら、流石に聖女だって思うわよね……」
モルドーラ国で聖女をしていた頃、地味聖女だと蔑まれていたけど……あの時にサリナの命令を無視してこの姿になっていれば、まだモルドーラ国の聖女で居られたかもしれない。
もう終わったこと……こうして今、ゼスタに会えたことが幸せだから、地味聖女と蔑まれながら生きてきてよかったとすら覚えている。
そう考えながら、私はゼスタの部屋に向かっていた。
× × ×
ゼスタの部屋の前まで来たけど……やっぱり緊張してしまう。
そう考えていると扉が開いて、私はゼスタと対面していた。
本来の見た目に戻った私を見て、ゼスタは少し驚きながら。
「髪を切ったのか……その見た目は目立ちそうだけど、大丈夫か?」
私の過去を話したから、ゼストは心配してくれている。
前に私の眼を見ていたからか、そこまで驚いてはいない様子だ。
「大丈夫です……それより、どうでしょうか?」
ゼスタは気遣って何も言わないでくれたのだと思うけど、私はゼスタに思わず尋ねてしまう。
私の方から尋ねてくるとは思わなかったのか、ゼスタは驚きながらも微笑みを浮かべて。
「ああ……とてつもなく綺麗だ」
ゼスタがそう言ってくれるだけで、私はとてつもなく嬉しくなる。
これから城に向かって聖女だと紹介されることになっているけど、地味聖女だと呼ばれることはないも、いきなり隣国の元聖女を聖女にすると言われて納得するのだろうか?
ゼスタの反応を見ると大丈夫のような気もするけど、不安になりながら、私はゼスタと共に城へ向かっていた。
43
お気に入りに追加
6,609
あなたにおすすめの小説
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。
それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。
婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。
これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。
【完結】我儘で何でも欲しがる元病弱な妹の末路。私は王太子殿下と幸せに過ごしていますのでどうぞご勝手に。
白井ライス
恋愛
シャーリー・レインズ子爵令嬢には、1つ下の妹ラウラが居た。
ブラウンの髪と目をしている地味なシャーリーに比べてラウラは金髪に青い目という美しい見た目をしていた。
ラウラは幼少期身体が弱く両親はいつもラウラを優先していた。
それは大人になった今でも変わらなかった。
そのせいかラウラはとんでもなく我儘な女に成長してしまう。
そして、ラウラはとうとうシャーリーの婚約者ジェイク・カールソン子爵令息にまで手を出してしまう。
彼の子を宿してーー
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
婚約破棄された公爵令嬢は本当はその王国にとってなくてはならない存在でしたけど、もう遅いです
神崎 ルナ
恋愛
ロザンナ・ブリオッシュ公爵令嬢は美形揃いの公爵家の中でも比較的地味な部類に入る。茶色の髪にこげ茶の瞳はおとなしめな外見に拍車をかけて見えた。そのせいか、婚約者のこのトレント王国の王太子クルクスル殿下には最初から塩対応されていた。
そんな折り、王太子に近付く女性がいるという。
アリサ・タンザイト子爵令嬢は、貴族令嬢とは思えないほどその親しみやすさで王太子の心を捕らえてしまったようなのだ。
仲がよさげな二人の様子を見たロザンナは少しばかり不安を感じたが。
(まさか、ね)
だが、その不安は的中し、ロザンナは王太子に婚約破棄を告げられてしまう。
――実は、婚約破棄され追放された地味な令嬢はとても重要な役目をになっていたのに。
(※誤字報告ありがとうございます)
虐げられていた姉はひと月後には幸せになります~全てを奪ってきた妹やそんな妹を溺愛する両親や元婚約者には負けませんが何か?~
***あかしえ
恋愛
「どうしてお姉様はそんなひどいことを仰るの?!」
妹ベディは今日も、大きなまるい瞳に涙をためて私に喧嘩を売ってきます。
「そうだぞ、リュドミラ!君は、なぜそんな冷たいことをこんなかわいいベディに言えるんだ!」
元婚約者や家族がそうやって妹を甘やかしてきたからです。
両親は反省してくれたようですが、妹の更生には至っていません!
あとひと月でこの地をはなれ結婚する私には時間がありません。
他人に迷惑をかける前に、この妹をなんとかしなくては!
「結婚!?どういうことだ!」って・・・元婚約者がうるさいのですがなにが「どういうこと」なのですか?
あなたにはもう関係のない話ですが?
妹は公爵令嬢の婚約者にまで手を出している様子!ああもうっ本当に面倒ばかり!!
ですが公爵令嬢様、あなたの所業もちょぉっと問題ありそうですね?
私、いろいろ調べさせていただいたんですよ?
あと、人の婚約者に色目を使うのやめてもらっていいですか?
・・・××しますよ?
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
妹に全てを奪われるなら、私は全てを捨てて家出します
ねこいかいち
恋愛
子爵令嬢のティファニアは、婚約者のアーデルとの結婚を間近に控えていた。全ては順調にいく。そう思っていたティファニアの前に、ティファニアのものは何でも欲しがる妹のフィーリアがまたしても欲しがり癖を出す。「アーデル様を、私にくださいな」そうにこやかに告げるフィーリア。フィーリアに甘い両親も、それを了承してしまう。唯一信頼していたアーデルも、婚約破棄に同意してしまった。私の人生を何だと思っているの? そう思ったティファニアは、家出を決意する。従者も連れず、祖父母の元に行くことを決意するティファニア。もう、奪われるならば私は全てを捨てます。帰ってこいと言われても、妹がいる家になんて帰りません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる