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15話 サリナ視点

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 あれから半月が経ち、サリナはようやく城から戻ってくることができていた。

「魔力回復ポーションは味も最悪で副作用もあるのに……あんなに飲むなんて……」

 護衛の人達はサリナの魔力が切れる中、緊急時以外は使うべきではない魔力回復ポーションを飲まされながらも、聖女として動けと命じてくる。

 今までとは全然違う……聖女という職が地獄だと理解して、全てはシーファが居たからだと確信していた。

 廊下を1人で歩いていると、周辺の視線が蔑んでいるように見え、聞こえない発言が全て陰口だと感じてしまう。

 これは被害妄想でもなんでもない……本当にその通りで、サリナが使えない聖女だと言われるようになっていた。

「今になってシーファの方が凄いって手の平を返す……そんなの、シーファが居ないからに決まってる!」

 魔力を抑えるように言って、シーファはサリナの見ている範囲では大したことがないと思わせていた。

 実際は陰で重傷の人を治したりしていて、助けられた人達の声が大きいも、サリナは知る由もない。

「もういい……陛下はシーファを見つけ出して構わないから、この状況をなんとかしてよ……」

 惨めだと自覚することはできている。

 こんな生活は嫌だけど、今まで聖女として楽をしてきたのに、本来の聖女としての活動で弱音を吐けない。

 楽しむだけ楽しんだから、聖女を辞めると言えばどうなるか……最悪、処刑までいくかもと考えていた。

 × × ×

 サリナは王の間に到着すると、そこにはモルドーラ王と、婚約者の第2王子グレイだけだった。

 労いの言葉をかけてくれるものだと思っていたのに、2人の表情は険しい。

「陛下、グレイ殿下……シーファは見つかりましたか?」

 そんな中――サリナは、シーファが戻ってくることを期待していた。

 今までのことは謝りたくないし、どうにかして元の関係を維持したまま楽な聖女生活を送りたい。

 そう考えた結果、つい口から出ていた言葉を聞いて、モルドーラ王が激昂する。

「貴様が追い出したようなものだろうが!! どうするつもりだ!!」

「なっ……」

「父上。最初から説明しなければなりません……俺はてっきり、サリナの秘めた力だと思っていたのに、シーファの方だとは……最悪だ」

 シーファの方……最悪。

 今までの優しい瞳が嘘のように、蔑んだ眼を婚約者のグレイが向けてきて、サリナは恐怖するしかなかった。
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