106 / 109
2章
87話
しおりを挟む
復活したロウデスを相手に、私達は劣勢だった。
邪神の膨大な魔力を相手に私が折れないのは、ゲームのエンディングで勝つことを知っているから。
そして――それ以上に、私達が負けるわけがないと確信しているからだ。
「理解できないな……勝てないと理解できているのに、なぜ抗う」
魔法は精神力が重要で、勝てないと判断した時点で決着がつくとロウデスは考えていたようだ。
私はレックス殿下を回復魔法で治しながら、魔力に意志を籠めて策を伝えている。
今まで私達に近づけないため、レックス殿下は接近戦を任せていた。
主にロウデスの動きを止める為で、負傷してもすぐ治せるロウデスは魔法を使い続けている。
そして――私が暴風と稲妻の、私が使える最大魔法に、カレンとロイが魔力を上乗せした。
「勝負に出たようだが――無駄だ!!」
時間をかければロウデスは周囲の人達の魂を取り込むから、全力の攻撃で時間をかけずに倒す必要がある。
私達は全力の攻撃をロウデスが対処して、その時間が欲しかった。
今までロウデスの動きに合わせていたレックス殿下が、私達の前までロウデスと距離をとる。
そして――私達は魔法を解除して、レックス殿下の剣に魔力を籠めていた。
「それこそ無駄だ! リリアン以外の魔力も籠めるのだろう! それでも限度があるぞ!!」
「――貴様の常識で人を、俺達を測るな」
カレンとロイは私に魔力を流し、それを私は最大限に自らの魔法に籠めることができている。
ゲームでの最終決戦は――カレンがレックス殿下を信じていたからこそ、邪神に勝利した。
今の私は同じ気持ちで、いいえ――それ以上だと確信することができている。
邪神を撃退するとその想いが強くなっていくのは、ゲームでの問題を全て解決した後が楽しみだから。
そして――同じ気持ちで協力してくれる人達が、この場にはいてくれる。
同じ転生者で、いつも力になってくれるカレン。
病が治り、夢を追うようになったロイ。
そして――ゲームではありえない行動を魅せて、常に私の力になってくれるレックス殿下。
レックス殿下は私がいるから、負けることはないと確信してくれている。
レックス殿下はいつも、私のことを信じてくれている。
その想いに応えるための魔法を、私は編み出すことができていた。
「なんだ、この魔力……魔法剣技に特化した魔法だと!?」
「さっきの魔力による攻撃を参考に――貴方に対抗する為だけの、聖魔力による魔法を編み出しました」
今まで魔法に夢中になってきたからこそ、私は魔法の極地――敵の魔法を理解し、対処する領域に到達することができていた。
この魔法は――対魔法士との戦闘で最強といっても過言ではない魔法だ。
「魔法剣技に特化した魔法――これは、邪神を穿つ為だけの魔法です」
相手の魔力を理解して、それを上回る力を魔法剣技に与える魔法。
そんな無茶苦茶な魔法だけど――私は、そんな魔法を編み出すことに成功した。
「そんな魔法は知らない……どういうことだ!?」
「これは私が編み出した魔法です。夢中になり、魔法のことばかり考えた私が編み出した――魔法の極致」
更にレックス殿下が扱う剣技の極致――魔力を駆使する魔法剣技を上乗せする。
それによる破壊力は甚大で、邪神の魔力だとしても、再生できずロウデスは滅ぶ。
「――不可能だ!!」
「私とレックス殿下なら、不可能なことはありません」
「ならば不可能だと証明してやろう! 私の、邪神教の全てで穿つまでだ!」
どうやらロウデスは口撃で私の精神を揺らがせようとしたけど、無理だと悟ったようだ。
レックス殿下の剣に膨大な魔力が集まった時点で、ロウデスは右手に魔力を集中させている。
お互い全力の攻撃で――ロウデスとしては、威力を弱めて耐えれば勝ちだと確信していそう。
「魔力で再生できないほどの致命傷を、レックス殿下の一撃で与えます!」
揺るがない意志と、互いを信じる想いで――邪神を打ち払う。
ゲームと違い完全な姿になっていたとしても、倒し方は同じだ。
私は魔法に夢中となって、レックス殿下はそんな私を溺愛してくれた。
それによる力が――ゲームを凌駕する邪神ロウデスを、討ち倒す力となる。
「リリアンを苦しめた貴様は――俺達が倒す!!」
レックス殿下が叫び、剣を振るう。
それによって発生した魔法剣技による閃光を、邪神が漆黒の魔力の閃光で防ごうとする。
魔法で防ごうとしても、ロウデスの魔力を私は理解していた。
ロウデスが全力の魔力で防ごうとしても、私達とレックス殿下の方が上だ。
闇魔法の閃光は一瞬で掻き消えて、ロウデスに魔法剣技の閃光が直撃する。
邪神は完全に消滅して――私達とロウデス教との戦いが、終わりを迎えた。
邪神の膨大な魔力を相手に私が折れないのは、ゲームのエンディングで勝つことを知っているから。
そして――それ以上に、私達が負けるわけがないと確信しているからだ。
「理解できないな……勝てないと理解できているのに、なぜ抗う」
魔法は精神力が重要で、勝てないと判断した時点で決着がつくとロウデスは考えていたようだ。
私はレックス殿下を回復魔法で治しながら、魔力に意志を籠めて策を伝えている。
今まで私達に近づけないため、レックス殿下は接近戦を任せていた。
主にロウデスの動きを止める為で、負傷してもすぐ治せるロウデスは魔法を使い続けている。
そして――私が暴風と稲妻の、私が使える最大魔法に、カレンとロイが魔力を上乗せした。
「勝負に出たようだが――無駄だ!!」
時間をかければロウデスは周囲の人達の魂を取り込むから、全力の攻撃で時間をかけずに倒す必要がある。
私達は全力の攻撃をロウデスが対処して、その時間が欲しかった。
今までロウデスの動きに合わせていたレックス殿下が、私達の前までロウデスと距離をとる。
そして――私達は魔法を解除して、レックス殿下の剣に魔力を籠めていた。
「それこそ無駄だ! リリアン以外の魔力も籠めるのだろう! それでも限度があるぞ!!」
「――貴様の常識で人を、俺達を測るな」
カレンとロイは私に魔力を流し、それを私は最大限に自らの魔法に籠めることができている。
ゲームでの最終決戦は――カレンがレックス殿下を信じていたからこそ、邪神に勝利した。
今の私は同じ気持ちで、いいえ――それ以上だと確信することができている。
邪神を撃退するとその想いが強くなっていくのは、ゲームでの問題を全て解決した後が楽しみだから。
そして――同じ気持ちで協力してくれる人達が、この場にはいてくれる。
同じ転生者で、いつも力になってくれるカレン。
病が治り、夢を追うようになったロイ。
そして――ゲームではありえない行動を魅せて、常に私の力になってくれるレックス殿下。
レックス殿下は私がいるから、負けることはないと確信してくれている。
レックス殿下はいつも、私のことを信じてくれている。
その想いに応えるための魔法を、私は編み出すことができていた。
「なんだ、この魔力……魔法剣技に特化した魔法だと!?」
「さっきの魔力による攻撃を参考に――貴方に対抗する為だけの、聖魔力による魔法を編み出しました」
今まで魔法に夢中になってきたからこそ、私は魔法の極地――敵の魔法を理解し、対処する領域に到達することができていた。
この魔法は――対魔法士との戦闘で最強といっても過言ではない魔法だ。
「魔法剣技に特化した魔法――これは、邪神を穿つ為だけの魔法です」
相手の魔力を理解して、それを上回る力を魔法剣技に与える魔法。
そんな無茶苦茶な魔法だけど――私は、そんな魔法を編み出すことに成功した。
「そんな魔法は知らない……どういうことだ!?」
「これは私が編み出した魔法です。夢中になり、魔法のことばかり考えた私が編み出した――魔法の極致」
更にレックス殿下が扱う剣技の極致――魔力を駆使する魔法剣技を上乗せする。
それによる破壊力は甚大で、邪神の魔力だとしても、再生できずロウデスは滅ぶ。
「――不可能だ!!」
「私とレックス殿下なら、不可能なことはありません」
「ならば不可能だと証明してやろう! 私の、邪神教の全てで穿つまでだ!」
どうやらロウデスは口撃で私の精神を揺らがせようとしたけど、無理だと悟ったようだ。
レックス殿下の剣に膨大な魔力が集まった時点で、ロウデスは右手に魔力を集中させている。
お互い全力の攻撃で――ロウデスとしては、威力を弱めて耐えれば勝ちだと確信していそう。
「魔力で再生できないほどの致命傷を、レックス殿下の一撃で与えます!」
揺るがない意志と、互いを信じる想いで――邪神を打ち払う。
ゲームと違い完全な姿になっていたとしても、倒し方は同じだ。
私は魔法に夢中となって、レックス殿下はそんな私を溺愛してくれた。
それによる力が――ゲームを凌駕する邪神ロウデスを、討ち倒す力となる。
「リリアンを苦しめた貴様は――俺達が倒す!!」
レックス殿下が叫び、剣を振るう。
それによって発生した魔法剣技による閃光を、邪神が漆黒の魔力の閃光で防ごうとする。
魔法で防ごうとしても、ロウデスの魔力を私は理解していた。
ロウデスが全力の魔力で防ごうとしても、私達とレックス殿下の方が上だ。
闇魔法の閃光は一瞬で掻き消えて、ロウデスに魔法剣技の閃光が直撃する。
邪神は完全に消滅して――私達とロウデス教との戦いが、終わりを迎えた。
10
お気に入りに追加
7,364
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?
藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」
9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。
そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。
幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。
叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。