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2章

74話

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 魔法披露会という名前の学園祭で私は、二年生以降の生徒達が行っている出し物を楽しもうとしていた。
 私、レックス殿下、ロイ、ルート、カレンの五人で行動していて――見て回っているだけでも面白い。

 使われている魔道具に異変がないかを確認して、ロウデス教団員が最終日の準備をしているのではないかと調査もするけど、特に変わった様子はない。
 そう考えていると……先頭を歩くラギルと、エドガーの姿が見えた。

「ラギル様、エドガー様。おはようございます」

 警戒していたラギルの姿が見えたから、私は挨拶をしておく。
 エドガーが笑顔を浮かべて、隣のラギルの肩に手を置いて話す。

「おはようございます……リリアン様。二日後、ラギルとの魔法披露が楽しみです」

「ぼくも推薦してくれたエドガー様の為にも、完璧な魔法を披露してみせます!」

 ラギルは自信に満ちていて、それを聞くエドガーは嬉しそうにしている。
 昨日の前夜祭もラギルをエドガーは招待していて、二人はかなり仲がいい。
 ラギルはエドガーの腕を引いて、楽しそうに私達に話す。 

「これからぼくは、エドガー様と披露会を楽しみますので失礼致します」

「そうだな……レックス殿下、皆様の邪魔をするわけにもいきません。失礼致します」

 そう言って、ラギルとエドガーが去って行く。 
 ラギルはエドガーと一緒に行動しているけど、あそこまで忠実な姿は昔のルートとレックス殿下のようだ。

「昔のルートみたいだな」

 同じことを考えていたレックス殿下が呟き、ルートが困惑する。

「私はあそこまで、護衛する人に干渉していたということですか……」

 どうやらルートは、昔の自分を客観的に見ることができなかったようだ。
 最終日の三日目までは何も問題が起きないから……警戒と調査をしつつ、今日を楽しもう。

   ◇◆◇

 あれから私達は、グリムラ魔法学園を巡っていく。
 ロイ、ルート、カレンはそれぞれ行きたい場所があるようで、別行動をとっている。
 昼過ぎにはレックス殿下と二人きりになったけど……これはロイ達が仕組んでいるような気がした。

「午後からは下級生の魔法披露があるが、どうする?」

「そこはカレンとロイが魔道具がないか探っていますし……私達は、他の場所を楽しみながら調べましょう」

「そ、そうだな! リリアンが言うのならそうしよう」

 会場内に魔法具をロウデス教が設置しているかどうかは、ゲームに詳しいカレン、魔法道具の知識があるロイに任せればいい。
 私達は出し物や出店に普通ではない魔法具がないか調べつつ、レックス殿下と二人で学園祭――魔法披露会を楽しもうとしていた。
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