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2章
71話
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その後もアクシデントが発生して、私達は対処していた。
今回は近くにいたのが私、レックス殿下、ロイで……魔法道具の暴走を止めていく。
そして魔法道具の傍にダドリックの姿があって、レックス殿下が尋ねる。
「もうすぐ魔法披露会がはじまる……ダドリックよ、躍起になっているのではないか?」
ほぼ毎日アクシデントが発生して、二、三日に一度はダドリックの姿が見える。
レックス殿下は明らかにイライラしているけど、ダドリックは平然と返答した。
「オレは何もしていませんよ。偶然、近くにいただけさ」
「それにしては遭遇する回数が多すぎる……発言は記録されるようだが、それ以外は記録されないからな」
どうやらレックス殿下は、口が使えなくても合図を送れると考えているようだ。
流石に今のダドリックが何かできるとは思えないけど、ここまで遭遇していると怪しまない方がおかしい。
それでもダドリックは、レックス殿下を嘲笑いながら話す。
「ハッ、それならシーマ様に聞いてみたらどうだ? あの方はオレの位置を把握できるからな」
「貴様に言われると誘導されているみたいで癪だが、そうするしかあるまい」
確かに、ダドリックが先に言っているということは、手を打っているに違いない。
それでもレックス殿下は確認のため、ダドリックに場所を聞いてシーマの元に向かっていた。
◇◆◇
シーマはダドリックの近くで作業をしていて、すぐに発見する。
私とレックス殿下とロイの姿を見て、魔法道具に使っていた手を止め、一礼して尋ねる。
「レックス殿下、リリアン様、ロイ様……私が動く前にアクシデントを対処したと聞いています。ありがとうございました」
「礼はいい……それより、ダドリックのことだ」
「ダドリックが、何かしましたか?」
「アクシデントの発生している場所にいる頻度が多すぎる。言動や位置を把握できているのなら、シーマは奴を怪しまないのか?」
疑心の目を向けるレックス殿下に対して、シーマが少し思案してから話す。
「そうですね……まず、ダドリックは場所を知っているので、一年生の校舎を担当することが多くなるのはわかりますか」
「……そうだな。グリムラ魔法学園は広い、構造を知っている者を置くのは適材適所だ」
「そしてアクシデントは一年、二年生が主な校舎で頻繁に起きています」
レックス殿下とロイの発言に対して、シーマが断言する。
「疑われても仕方ありませんが……枷で私の許可無しに魔法が使えないのですから、ダドリックが悪事を働くのは不可能です」
犯人の邪神教は何人か捉えているけど、記憶を失って証拠が出ていない。
そして魔法や魔道具を扱う時の許可を出しているシーマが、違うと断言している。
「……奴は、本当に何も問題を起こしていないのか?」
「発言にも幾つか問題があり、暴走した魔道具の近くにいるのは確認できています。それでも、私の許可なく魔法や魔力を使った形跡はありません」
「枷の魔道具を信用しているみたいだが、無効化する方法があるのではないか?」
レックス殿下が問い詰めるのは、ダドリックが怪しすぎるからだ。
それでも、シーマは首を左右に振って応える。
「今まで枷が壊されたことは一度もありませんし、確認もしています……ダドリックが万一にもロウデス教側としても、警戒されいている者を使うとは思えません」
「……確かにそうだな。だが、偶然とも思えない」
レックス殿下が呟き、ロイが推測を口にする。
「ダドリック君は応援で魔道具について調査しているし、暴走する可能性のある魔道具を推測して、アクシデントが起きないよう動いているとか……かな」
「なるほど。トラブルに乗じて、魔法を使いたいのかもしれませんね」
魔法を使えないなんて苦痛でしかないから、ロイの発言が正しい気がする。
シーマは更に警戒を強めてくれるようだけど、ダドリックの目的が解らない。
その後もアクシデントが発生するけど解決して――魔法披露会、そして前夜祭の時が迫っていた。
今回は近くにいたのが私、レックス殿下、ロイで……魔法道具の暴走を止めていく。
そして魔法道具の傍にダドリックの姿があって、レックス殿下が尋ねる。
「もうすぐ魔法披露会がはじまる……ダドリックよ、躍起になっているのではないか?」
ほぼ毎日アクシデントが発生して、二、三日に一度はダドリックの姿が見える。
レックス殿下は明らかにイライラしているけど、ダドリックは平然と返答した。
「オレは何もしていませんよ。偶然、近くにいただけさ」
「それにしては遭遇する回数が多すぎる……発言は記録されるようだが、それ以外は記録されないからな」
どうやらレックス殿下は、口が使えなくても合図を送れると考えているようだ。
流石に今のダドリックが何かできるとは思えないけど、ここまで遭遇していると怪しまない方がおかしい。
それでもダドリックは、レックス殿下を嘲笑いながら話す。
「ハッ、それならシーマ様に聞いてみたらどうだ? あの方はオレの位置を把握できるからな」
「貴様に言われると誘導されているみたいで癪だが、そうするしかあるまい」
確かに、ダドリックが先に言っているということは、手を打っているに違いない。
それでもレックス殿下は確認のため、ダドリックに場所を聞いてシーマの元に向かっていた。
◇◆◇
シーマはダドリックの近くで作業をしていて、すぐに発見する。
私とレックス殿下とロイの姿を見て、魔法道具に使っていた手を止め、一礼して尋ねる。
「レックス殿下、リリアン様、ロイ様……私が動く前にアクシデントを対処したと聞いています。ありがとうございました」
「礼はいい……それより、ダドリックのことだ」
「ダドリックが、何かしましたか?」
「アクシデントの発生している場所にいる頻度が多すぎる。言動や位置を把握できているのなら、シーマは奴を怪しまないのか?」
疑心の目を向けるレックス殿下に対して、シーマが少し思案してから話す。
「そうですね……まず、ダドリックは場所を知っているので、一年生の校舎を担当することが多くなるのはわかりますか」
「……そうだな。グリムラ魔法学園は広い、構造を知っている者を置くのは適材適所だ」
「そしてアクシデントは一年、二年生が主な校舎で頻繁に起きています」
レックス殿下とロイの発言に対して、シーマが断言する。
「疑われても仕方ありませんが……枷で私の許可無しに魔法が使えないのですから、ダドリックが悪事を働くのは不可能です」
犯人の邪神教は何人か捉えているけど、記憶を失って証拠が出ていない。
そして魔法や魔道具を扱う時の許可を出しているシーマが、違うと断言している。
「……奴は、本当に何も問題を起こしていないのか?」
「発言にも幾つか問題があり、暴走した魔道具の近くにいるのは確認できています。それでも、私の許可なく魔法や魔力を使った形跡はありません」
「枷の魔道具を信用しているみたいだが、無効化する方法があるのではないか?」
レックス殿下が問い詰めるのは、ダドリックが怪しすぎるからだ。
それでも、シーマは首を左右に振って応える。
「今まで枷が壊されたことは一度もありませんし、確認もしています……ダドリックが万一にもロウデス教側としても、警戒されいている者を使うとは思えません」
「……確かにそうだな。だが、偶然とも思えない」
レックス殿下が呟き、ロイが推測を口にする。
「ダドリック君は応援で魔道具について調査しているし、暴走する可能性のある魔道具を推測して、アクシデントが起きないよう動いているとか……かな」
「なるほど。トラブルに乗じて、魔法を使いたいのかもしれませんね」
魔法を使えないなんて苦痛でしかないから、ロイの発言が正しい気がする。
シーマは更に警戒を強めてくれるようだけど、ダドリックの目的が解らない。
その後もアクシデントが発生するけど解決して――魔法披露会、そして前夜祭の時が迫っていた。
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