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2章
54話
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数日後、明日には中間試験が行われようとしていた。
一学期と同じように筆記の試験が二日あり、実技が二日の計四日間で行われる。
実技の一日目はコロシアムでの魔法披露で、二日目はダンジョン探索。
ゲームでは中間試験の最終日まで悪事は起きないけど……悪役令嬢リリアンが婚約破棄を受ける日だ。
不安になった私は、女子寮に行きカレンと話をする。
ここ数日間は休日、放課後とルートの修行のようなものに付き合わされていた。
「ルートの修行に関しては、レックス殿下も同行する形で了承していましたけど……試験の結果が不安です」
「今のレックス殿下とリリアンなら余裕でしょ。それで、修行はルートのイベントと同じことが起きたの?」
カレンが尋ねて、私は頷く。
結構ゲームのイベントを思い返していたけど、違う点が幾つかあった。
レックス殿下が同行している点が一番で、恋愛イベントには発展していない。
それでも私をよく眺めていた気がするし、レックス殿下も気にしていた様子だった。
「ゲームと違いレックス殿下が一緒でしたけど……何度か、ゲームを思い返す展開になりました」
「へぇ、そうなんだ」
「あの……もっと驚かないのですか?」
「最初にリリアンを見た時の衝撃が大きすぎたもの」
それを言われると、私は何も言うことができない。
確かにルートのイベントが発生したなんて、今更な気がしてくる。
攻略キャラのレックス殿下、ロイ、ダドリックのイベントは発生していた。
むしろ四人の一人であるルートのイベントが今まで起きなかったのが、不自然なのか。
「……大丈夫かな」
それでも気になるようで、カレンは呟く。
「ルートなら立ち直ることができると、私とレックス殿下は考えています」
修行に関しては迷走しているとしか思えなかったけど、ルートは思い込みが激しいから効果はある。
ここ数日でかなり強くなっていて、立ち直りつつある様子を見たレックス殿下は嬉しそうにしていた。
そのことを私が話すと――カレンは困惑しながら呟く。
「いや、そういう意味じゃないんだけど……確かに、目の前で知っている人が困っていると、なんとかしたいと思ってしまうわね」
「えっ?」
「今のところ、レックス殿下の二学期イベントがメインで発生しているから……本当なら、ルートは放置しておくのが一番なのよ」
カレンがそう言うけど、まだ何か隠していそうな気がする。
確かに今後何が起こるかわからないのなら、ゲームと同じような時間の流れにしておくのがいいのかもしれない。
「私は楽しめてるけど、明日からが少し不安かな」
中間試験の私を案じて、カレンが呟く。
不安なのは私も同じで、尋ねることにしていた。
「そうですね……四日後、私はレックス殿下に婚約破棄を言い渡されるのでしょうか?」
「絶対ありえないと思うけど、中間試験で婚約破棄を受けるのはゲームだと確定事項なのが、気になるわね」
私も、カレンの言うとおりだと思う。
今のレックス殿下が、四日経つと私に婚約破棄を言い渡すだなんて考えられない。
それでももし言われてしまった場合を考えると、不安になってしまう。
「レックス殿下が傍にいる以上、ルートは大丈夫のはずです」
「そうね……あたし達が今一番気にするべきは、中間試験になりそう」
カレンの言うとおりだ。
中間試験の四日目に盗賊団の襲撃があるのなら、命の危機でもある。
対処できると思うけど、警戒はしておかないと危険だ。
そう考えて――翌日、中間試験が始まろうとしていた。
一学期と同じように筆記の試験が二日あり、実技が二日の計四日間で行われる。
実技の一日目はコロシアムでの魔法披露で、二日目はダンジョン探索。
ゲームでは中間試験の最終日まで悪事は起きないけど……悪役令嬢リリアンが婚約破棄を受ける日だ。
不安になった私は、女子寮に行きカレンと話をする。
ここ数日間は休日、放課後とルートの修行のようなものに付き合わされていた。
「ルートの修行に関しては、レックス殿下も同行する形で了承していましたけど……試験の結果が不安です」
「今のレックス殿下とリリアンなら余裕でしょ。それで、修行はルートのイベントと同じことが起きたの?」
カレンが尋ねて、私は頷く。
結構ゲームのイベントを思い返していたけど、違う点が幾つかあった。
レックス殿下が同行している点が一番で、恋愛イベントには発展していない。
それでも私をよく眺めていた気がするし、レックス殿下も気にしていた様子だった。
「ゲームと違いレックス殿下が一緒でしたけど……何度か、ゲームを思い返す展開になりました」
「へぇ、そうなんだ」
「あの……もっと驚かないのですか?」
「最初にリリアンを見た時の衝撃が大きすぎたもの」
それを言われると、私は何も言うことができない。
確かにルートのイベントが発生したなんて、今更な気がしてくる。
攻略キャラのレックス殿下、ロイ、ダドリックのイベントは発生していた。
むしろ四人の一人であるルートのイベントが今まで起きなかったのが、不自然なのか。
「……大丈夫かな」
それでも気になるようで、カレンは呟く。
「ルートなら立ち直ることができると、私とレックス殿下は考えています」
修行に関しては迷走しているとしか思えなかったけど、ルートは思い込みが激しいから効果はある。
ここ数日でかなり強くなっていて、立ち直りつつある様子を見たレックス殿下は嬉しそうにしていた。
そのことを私が話すと――カレンは困惑しながら呟く。
「いや、そういう意味じゃないんだけど……確かに、目の前で知っている人が困っていると、なんとかしたいと思ってしまうわね」
「えっ?」
「今のところ、レックス殿下の二学期イベントがメインで発生しているから……本当なら、ルートは放置しておくのが一番なのよ」
カレンがそう言うけど、まだ何か隠していそうな気がする。
確かに今後何が起こるかわからないのなら、ゲームと同じような時間の流れにしておくのがいいのかもしれない。
「私は楽しめてるけど、明日からが少し不安かな」
中間試験の私を案じて、カレンが呟く。
不安なのは私も同じで、尋ねることにしていた。
「そうですね……四日後、私はレックス殿下に婚約破棄を言い渡されるのでしょうか?」
「絶対ありえないと思うけど、中間試験で婚約破棄を受けるのはゲームだと確定事項なのが、気になるわね」
私も、カレンの言うとおりだと思う。
今のレックス殿下が、四日経つと私に婚約破棄を言い渡すだなんて考えられない。
それでももし言われてしまった場合を考えると、不安になってしまう。
「レックス殿下が傍にいる以上、ルートは大丈夫のはずです」
「そうね……あたし達が今一番気にするべきは、中間試験になりそう」
カレンの言うとおりだ。
中間試験の四日目に盗賊団の襲撃があるのなら、命の危機でもある。
対処できると思うけど、警戒はしておかないと危険だ。
そう考えて――翌日、中間試験が始まろうとしていた。
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