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2章
49話
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授業を終えた放課後、教室で私達は集まっていた。
一学期の出来事を知らないラギルも参加して、私が今日起きた出来事について話す。
「まさか私ではなく、カレンが狙われるなんて……」
実際のゲームだと主役カレンが狙われてたけど、今はこう言っておこう。
邪神ロウデスの復活を目論む集団は私を捕らえようとしていたのに、急に目標をカレンに変えた。
理由がわからないでいると、カレンが話す。
「確かに、カルドレス公爵家のリリアン様を狙う理由は思いつきますけど、平民の私を狙う理由がわかりません」
そうカレンが言うけど、同じ転生者だから様々な理由を考えていそう。
悪事は悪役令嬢リリアンが行っていはずだけど、一学期は学園に潜むロウデス教だと推測した。
今回も同じだろうかと考えていると、ロイがカレンを眺めて話す。
「カレンさんを妬んでいる人は僕が遠回しに注意していたけど、それでも動くとはね」
「……妬んでいる人ですか。考えもしませんでした」
カレンがショックを受けているけど、これは演技だ。
それでも、考えていなかったというのは事実かもしれない。
ゲームだとカレンはレックス殿下に好意を寄せられていて、嫉妬から被害を受けていた。
悪役令嬢リリアンが女子生徒達を唆したみたいだけど、今は別の人が唆している可能性が高い。
今回はロウデス教と関係ないのかも……いいえ、あの規模は間違いなく邪神教絡みだ。
「カレンに嫉妬している人を手駒にして、今後は私を狙うとかでしょうか」
私は推測を口にするけど、可能性は高そうだ。
公爵令嬢の私を狙う人は、この学園でもあまりいない気がする。
恋愛感情を抱いていたダドリックぐらいで、リスクが高いから提案しても拒まれそう。
平民カレンに対する嫉妬は、ロウデス教も取り入りやすいかもしれない。
「まずはカレンを潰すための力を与え、更なる力を渡す条件にリリアンを狙わせる……か?」
「力を得ると更に力を得たくなるだろうし、無茶な条件でも受け入れるかもしれないね」
「なるほど」
レックス殿下が険しい顔で呟くも困惑して、ロイが詳しく説明することで納得していた。
悪役令嬢リリアンは権力が強いから、主役カレンを襲わせる手駒が多い。
更に邪神教の支援も得ることで、悪事がどんどんエスカレートしていた。
私達の話を聞いて、何も知らないラギルが驚きながらも頷く。
「邪神教ですか……ぼくも、気をつけておきます」
「冒険者をしていた時は、何も聞かなかったのかい?」
「様々な組織がありましたから、詳しくはわかりません……今回の事件は、遠くで魔道具を使った犯人がいそうです」
「そうだろうな」
ラギルの発言を受けて、レックス殿下が賛同する。
今回の犯人はカレンを妬んでいる学園の生徒だと思うし、ラギルは関与していないはず。
剣で攻撃を防いで倒すことに協力してくれたのは、疑われたくないからなのかもしれない。
私とカレンは転生者で、詳しく説明したいけど自然に話せないかもしれない。
こうしてレックス殿下とロイ、ラギルが推測を話した方がよさそうだと、私は考えていた。
そして――私は近くにいるけど、何かを思い悩んでいそうなルートが気になってしまう。
「ルート様、大丈夫ですか?」
「はい。私は先に精神面を鍛えるべきだと再認識致しました……いえ、全てが足りていません」
「そ、そうですか」
「必死に鍛えても動けなければ意味がなく、精神面を鍛えたら時間がなさそうです」
呟くルートは鬼気迫るものがあるけど、もしかしたらあまり寝てないのかもしれない。
いきなり魔獣の群れが現れて、ルートは困惑して動けなくなっていた。
今までならロイも恐怖して動けなかったはずだけど、夏休みを経てすぐに行動することができている。
試験で成績の差がつき、今回は行動で皆と差がついているのは明らかだ。
ショックを受けているのは間違いないけど……今の私がルートに何を言っても、逆効果となりそうだった。
一学期の出来事を知らないラギルも参加して、私が今日起きた出来事について話す。
「まさか私ではなく、カレンが狙われるなんて……」
実際のゲームだと主役カレンが狙われてたけど、今はこう言っておこう。
邪神ロウデスの復活を目論む集団は私を捕らえようとしていたのに、急に目標をカレンに変えた。
理由がわからないでいると、カレンが話す。
「確かに、カルドレス公爵家のリリアン様を狙う理由は思いつきますけど、平民の私を狙う理由がわかりません」
そうカレンが言うけど、同じ転生者だから様々な理由を考えていそう。
悪事は悪役令嬢リリアンが行っていはずだけど、一学期は学園に潜むロウデス教だと推測した。
今回も同じだろうかと考えていると、ロイがカレンを眺めて話す。
「カレンさんを妬んでいる人は僕が遠回しに注意していたけど、それでも動くとはね」
「……妬んでいる人ですか。考えもしませんでした」
カレンがショックを受けているけど、これは演技だ。
それでも、考えていなかったというのは事実かもしれない。
ゲームだとカレンはレックス殿下に好意を寄せられていて、嫉妬から被害を受けていた。
悪役令嬢リリアンが女子生徒達を唆したみたいだけど、今は別の人が唆している可能性が高い。
今回はロウデス教と関係ないのかも……いいえ、あの規模は間違いなく邪神教絡みだ。
「カレンに嫉妬している人を手駒にして、今後は私を狙うとかでしょうか」
私は推測を口にするけど、可能性は高そうだ。
公爵令嬢の私を狙う人は、この学園でもあまりいない気がする。
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平民カレンに対する嫉妬は、ロウデス教も取り入りやすいかもしれない。
「まずはカレンを潰すための力を与え、更なる力を渡す条件にリリアンを狙わせる……か?」
「力を得ると更に力を得たくなるだろうし、無茶な条件でも受け入れるかもしれないね」
「なるほど」
レックス殿下が険しい顔で呟くも困惑して、ロイが詳しく説明することで納得していた。
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更に邪神教の支援も得ることで、悪事がどんどんエスカレートしていた。
私達の話を聞いて、何も知らないラギルが驚きながらも頷く。
「邪神教ですか……ぼくも、気をつけておきます」
「冒険者をしていた時は、何も聞かなかったのかい?」
「様々な組織がありましたから、詳しくはわかりません……今回の事件は、遠くで魔道具を使った犯人がいそうです」
「そうだろうな」
ラギルの発言を受けて、レックス殿下が賛同する。
今回の犯人はカレンを妬んでいる学園の生徒だと思うし、ラギルは関与していないはず。
剣で攻撃を防いで倒すことに協力してくれたのは、疑われたくないからなのかもしれない。
私とカレンは転生者で、詳しく説明したいけど自然に話せないかもしれない。
こうしてレックス殿下とロイ、ラギルが推測を話した方がよさそうだと、私は考えていた。
そして――私は近くにいるけど、何かを思い悩んでいそうなルートが気になってしまう。
「ルート様、大丈夫ですか?」
「はい。私は先に精神面を鍛えるべきだと再認識致しました……いえ、全てが足りていません」
「そ、そうですか」
「必死に鍛えても動けなければ意味がなく、精神面を鍛えたら時間がなさそうです」
呟くルートは鬼気迫るものがあるけど、もしかしたらあまり寝てないのかもしれない。
いきなり魔獣の群れが現れて、ルートは困惑して動けなくなっていた。
今までならロイも恐怖して動けなかったはずだけど、夏休みを経てすぐに行動することができている。
試験で成績の差がつき、今回は行動で皆と差がついているのは明らかだ。
ショックを受けているのは間違いないけど……今の私がルートに何を言っても、逆効果となりそうだった。
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