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2章

24話

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 書庫に到着して数十分後――私はレックス殿下に呼び止められていた。

「リリアン、どこに行く?」

 広場に向かおうとした瞬間に読書の手を止めたレックス殿下が、私の動きも止めている。
 そんなレックス殿下に対して、私は話す。

「魔法を使おうと思いまして……少しぐらいなら、大丈夫だと思います」

 私の発言を聞いて、ロイ、カレン、アスファは唖然とした表情を浮かべていた。
 その中でレックス殿下だけが、真剣な表情を浮かべて。

「昨日は魔法を一切使わず、今日魔法に関する本を読めば使いたくなるのはわかっていた……ゲオルグ様が言っていたのだから、止めておくべきだ」

「えっ!?」

 私が驚いたのは、レックス殿下が完全に思考を読み切っていたからだ。
 剣の訓練に行かなかったのも、私を心配してくれたからで……こうなることを予測していたからでしょう。

 そこまで言われて、ようやく私は落ち着きを取り戻しつつある。
 聖堂内で一番偉いとされる大賢者ゲオルグが言ったのだから、レックス殿下の言うとおり止めておくのが一番だ。

「そ、そうですね。聖堂は聖魔力に関する魔法を扱う絶好の場でしたから、焦っていました」

 二日前にやらかしたせいで――私は、あまり聖堂で魔法を使うことができていないと考えてしまった。

 焦っていたのは、ゲームではリリアンが、この聖堂に来ていないからなのかもしれない。 
 試練が始まる日程もゲームの知識で知っているし、今日と明日を逃せば、試練が終わるまで魔法はあまり使えないはず。

 書庫で魔法に関する今まで読んだことのない本を読んだのも原因で、今日は書庫にいるべきではなさそう。
 ここにいたら自分を抑えきれる気がしないと考えてしまうと……レックス殿下が、私を見つめて話す。

「リリアン……今日は魔法について学ばず、俺と一緒に王都を見て回らないか?」

「えっ?」

「せっかくの夏休みだ。一日ぐらい気分転換に、王都を二人で観光しようではないか」

 確かにそうだ。
 この夏休みは二学期に備えるための準備だと考えてしまったけど、私達は別大陸に来ている。

 次に来る機会があるのかどうかもわからないし、観光したいという気持ちはあった。 
 それに……このままだと、忠告されているのに魔法を使ってしまいそう。
 別大陸の王都には興味があったから、レックス殿下の言う通り気分転換になるのは間違いない。

「……そうですね。そうしましょう」

「よし! 決まりだな!」

 カレンとロイは書庫で魔法について学ぶようで、アスファは聖堂外に出る場合は着いてこないようだ。 

 レックス殿下の提案を聞いた私は――この国の王都を観光するため、二人で聖堂から出ることにしていた。
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