妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

黒木 楓

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25話 セローナ視点

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 翌日――セローナはいつものように、聖女としての役目を果たそうとしていた。

 今までなら怪我人の治療から始まるも、セローナは聖域に聖魔力を流すことに専念している。

 聖域に魔力を流すことで国に加護を与えるらしく、それは聖女の力を継承したセローナにしかできない。

 数人の聖魔力をセローナに与える補助役が居るも、シャロンと比べると大して力はなかった。

 聖域に聖魔力を流している間、シャロンは城内での会話を思い返す。

「シャロン様が居れば、怪我人の治療も難無く行えるというのに……」

「早くシャロン様とアゼル殿下が戻って来ないものだろうか。同じタイミングで消えた辺り、きっと2人は一緒に居るに違いない」

 無能だと見下す発言や、数値の低さを蔑む発言が多い中――セローナが一番屈辱なのは、シャロンが戻ってきて欲しいという発言だった。

 聖女に相応しい姉という評価を認めたくないも、アゼル殿下の魔道具によって認めるしかない状況となっている。

 今までは優しかった人達が蔑み、首輪のせいで一切抵抗ができない……これは、ルオドラン国に被害を与えようと思えばできるからだ。

(私が聖域の力を部分的に解除したら大混乱になる……首輪をつけたのは、それを恐れたからね)

 聖域は聖女の力を持っている者なら加護を与える地点を調節でき、見下したことで報復を恐れたからこそ、セローナに首輪をつけるという判断になったのは間違いない。

 この首輪は膨大な魔力を与えると壊せるも、それだけの魔力は今のセローナにはない。

 そして――数日間もの間、聖魔力を扱い鍛えようと考えて、セローナは現実を知る。

 どれだけ鍛えたとしても、成長している実感がない。

 魔力は使えば使うほど体内の魔力が大きくなるも、それは扱い方に長けていた場合らしい。

 何日経っても聖魔力はあまり成長しない――現実を知り、セローナは絶望するしかなかった。
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