妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

黒木 楓

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23話

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 アゼル殿下は魔将衆と呼ばれる国を幾つも滅ぼした集団を倒すため、私に協力して欲しいらしい。

「私の為に動くって……ど、どういう意味ですか?」

 これからどうするべきか話し合おうとしたら、アゼル殿下が私を眺めて。

「その前に場所を変えよう。そろそろ誰かが来そうだ」

 私が協力すると言ったことで、アゼル殿下は王子の地位も捨てて、私と同行してくれるらしい。

 それはとてつもなく嬉しい……いいえ、どうしてそうなったのかを聞いておかないといけない。

 アゼル殿下が用意していた2頭の魔力を宿した馬に乗って、私達はこの場から離れることにしていた。

 × × ×

 数時間もの間、馬を走らせて……王都からかなり離れた草原地帯に、私とアゼル殿下は到着する。

 聖魔力で回復しながら走らせていたから、馬はかなりの速度が出ていて、追ってくることはない。

「それではアゼル殿下、話の続きをしましょう」

「俺はもうただのアゼルだ……魔将衆を倒せるのはシャロンだけだと思っているから、俺は俺のできることをしようと思っている」

 どうやらアゼル殿下、いいえアゼルは協力してくれる私の力になりたいようだ。

「俺は魔道具制作の腕もあるし、商会と個人的に取引をしていたから金もある。これから一生、シャロンを困らせたりしない」

 もうそれって夫婦のような気がする……いいえ、協力関係として見ているだけかも。

 それでも、私を助けるために魔道具作りを急いでくれたり、今回の話を聞いていると……思わず期待してしまう。

「わ、わかりました……これからずっと、よろしくお願いします」

「ああ。よろしく頼む!」

 まだお互いのことを知らないから、今は協力関係で満足しよう。

 世界にある幾つもの国を滅ぼした集団、魔将衆を倒した時に――私はアゼルに告白する。

 嫌いなルオドラン国がどうなっても構わないけど、アゼルの望んだ未来を守るためなら、私は戦える。

 これは私の好きなアゼルの力になるためと考えて――国に潜む凶悪な集団を倒してみせると、私は決意していた。
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