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16話

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 私がこの国から、ルオドラン国から出て行くと宣言すると、訓練場が一気に静まり返る。

 全員が茫然としている中、対面していたルオドラン王が、焦りながらも尋ねる。

「お、おい……シャロン、お前は今、なんと言った?」

「私は、この国から出て行きます。今まであれほど蔑んでいたのに、私がこの国の力になると本気で思っていたのですか?」

 きっとこの場の人は、蔑んでいたことを記憶から消そうと考えているのでしょう。

 そんなことをしても、私が覚えている以上は無意味で呆れるしかない。

 私の発言を受け入れたくなかったのか、貴族の1人が私に向かって叫ぶ。

「貴様……セローナの言う通り、牢から出たら脱走するつもりだったのか!?」

「私の力なら、あんな牢は破壊することもできます」

「ぐ……」

 私の返答に対して、この場に居た人は何も言えなくなっている。

 そんなことは無理だと断言できないのは、測定結果の数値が規格外だからなのでしょう。

 更に、今この場で白翼の魔法を使ったことから……私の発言が正しいと証明することができている。

 さっきの戦いでセローナの魔法の凄さがわかっているからこそ、簡単に対処した私の強さが本物だと理解し、歓喜していた。 

 あの牢は魔法が使えなくなるだけで、魔力に制限をかけたりはしていないから……魔力を籠めた力で破壊できる。

 私の発言に貴族達は何も言えず絶望していると、必死の形相で陛下が叫ぶ。

「ま、待ってくれ! 今までのことは全て謝罪するから、早まらないでくれ!!」

「数年間、私が何を言ってもセローナの発言を信じて無能な姉だと蔑み、牢に幽閉した……謝罪されてもこの国に居たくありません」

 もしアゼル殿下が呼び止めていたら、私はどう反応していたか解らない。

 アゼル殿下がこの場に居ない以上、この場に居る誰に何を言われたとしても、私の決意が変わることはなかった。
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