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13話

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 私は妹セローナの聖魔力による殺意の籠った全力の攻撃を、平手で掻き消した。

 周囲の貴族達が茫然としているのは、セローナの聖魔力に驚いていたこともあるのでしょう。

 セローナが放った聖魔力の閃光は、魔力だけではなく体力、精神力すら魔力に変えて、聖女の力によるものなのかとてつもなく強化されている。
 恐らくこの国でもあれほどの閃光魔法を扱える人は居なくて、貴族達はセローナの勝ちを確信していた。

 確かに、セローナの魔法はアゼル殿下の魔道具の測定数値が間違っていると証明できるほどの力があったと思う。

 必死にこの状況を打破しようとセローナが考えた結果でもあり、セローナなりに抗おうとしている。

 それでもセローナが勝てないのは、単純に私の魔力の方が上だったから。

 ふらつきながらも、必死なセローナは周囲の貴族達に叫ぶ。

「そ、そんな……不正よ! お姉様は私を貶めようとしているのです!!」

 セローナが私を倒す為に全力を出していたから、それは通らない。

「魔力を使い果たし、体力まで減らしている……体力を魔力に変えて、全力の魔法を使ったのか」

「あの魔法は素晴らしい魔法でした。聖女の力もありますし……魔法学園生徒の平均の全力なのかもしれません」

「っっ……な、なにを言っているのですか!?」

 あの魔法は凄く――それを平手の一撃で消し飛ばした私は、更に凄い。

 それは……アゼル殿下の魔道具の測定結果が正しいと考えれば、当然の結果だった。

 試合によって測定が間違っていると理解した貴族達は、セローナを蔑み始める。

「ここ数日、セローナ様は聖女としての活動も完璧ではなかったし、やはり無能なのだろう」

「ああ……シャロン様が簡単に打ち消して、打ち消されたセローナは明らかに消耗しているからな」

「幽閉されて万全でないシャロン様に何もできないとは……聖女に相応しい姉と、無能な妹か」

 貴族達の発言を耳にして、セローナは顔を歪ませていた。

 今までとは逆になった発言を聞いて、逆鱗に触れたのかセローナは激昂する。

「無能!? この私が、今までのお姉様だというの!?」 

「聖女の力を得ても魔法学園の平均値……私の協力がなければ、貴方はどうしようもないのよ」

「お姉様は黙ってよ!」

 黙らない。
 これがセローナとの最後の会話になると、私は確信して告げる。

「セローナ……貴方は病弱なのが魔力の才能に溢れているせいだと思い込んでいたけど、魔力は使い続けないと意味がないのよ」

「っっ……」

 これは私が散々言っていたことで、セローナはその発言を無視していた。

 セローナは聖魔力を扱えるだけで才能があったのかもしれないけど、甘やかされてそれを活かすことがなかった。

 私を利用して楽ができると思い始めて……上手くいかなくなったら、全て私のせいにする。

 セローナはそうしながら今まで生きてきたけど、今回はそれができなくなっていた。
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