料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

91話

　ドラゴンとワイバーンの違いは、ドラゴンは地上で行動するのが主で、ワイバーンは常に空を飛んでいるらしい。

　ドラゴンも空を飛べるけど、ワイバーンは空を飛ぶことに特化されている。

　そんなワイバーンの肉は……空を飛んでいた場面を見たことで、鶏肉のイメージが強かった。

　冒険者ギルドに提出するのは頭部だけで、ウォルは肉や素材となる部位を綺麗に解体している。

　首以外は提出しなくていいみたいだから、私達は昼食を食べようとしていた。

「とりあえず……照り焼きにしてみましょう」

　ウォルの手際いい解体によるワイバーンの肉を眺めながら、私はワイバーンの照り焼きをイメージする。

　醤油とみりんは売られていたから、料理スキルによって魔力で砂糖は作れて、照り焼きのたれは問題ない。

　まずは蒸し焼きにして、そこからたれを混ぜながらフライパンで焼く……この程度の知識だけど、料理スキルは問題なく発動して――私達の目の前には、ワイバーンの照り焼きが3人分完成している

　人を5，6人ぐらい乗せられるほど大きかったから、これでもワイバーンの肉はほんの一部だ。

「見た目は分厚い照り焼きだけど……問題は、味ね」

　かなり分厚い鶏の照り焼きで、スキルの力によって食べやすい大きさに切られている。

　料理スキルは完璧だけど、ワイバーンの肉の味が気になりながら、恐る恐る食べてみると……鶏肉のように弾力があって濃厚な味で、たれと合わさってとてつもなく美味しい。

　ウォルは一心不乱に食べていて、最初は抵抗があったレーリアも、一口食べると徐々に食べるペースが早くなっていた。

「美味い！　やっぱアカネの料理は最高だな！！」

「ワイバーンの肉は初めて食べましたが、ここまでとは……アカネ様のスキルも相まって、素晴らしい料理です」

　ウォルとレーリアも絶賛していて、私も満足している。

　この弾力がありながらも噛むと柔らかい触感から、夜もワイバーンのお肉で料理がしたい。

　そう考えた私は、2人に提案していた。

「……今日の夜も、ワイバーンのお肉で料理がしたいけど、いいかしら？」

「ああ！　楽しみだ！」

「アカネ様の提案を拒むわけがありません。アカネ様の知識から作られる料理は完璧です……私も、食事が楽しみです」

　期待に応えられるかわからないけど、料理スキルなら大丈夫のはず。

　私の提案を2人は賛同してくれて……依頼を達成した私達は、冒険者ギルドに戻ろうとしていた。