料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

89話 マミカ視点

　マミカ、ミユキ、リアークは食堂に到着していた。

　マミカは料理スキルによる料理を振る舞い、アカネに対する苛立ちをミユキとリアークに話す。

「アカネの奴……あたし達に内緒で、こんないい思いをしていたのよ！」

「このスキルを見せなかったのは、差別されていたことが気に食わなかったから……でも、こうしてマミカちゃんが使えるようになったから、もういいじゃない」

「ミユキ様の言うとおり、過ぎたことは仕方ありません……こうしてとてつもなく美味しい料理が食べられたことを喜ぶべきでしょう」

　リアークの発言にミユキが睨みながらも、マミカはお腹いっぱいになるまで料理を作る気でいた。

　ケーキや元の世界のパンも一瞬で作れる……お米がないのは残念だけど、それは仕方がないことだと割り切っている。

　そして――料理を作って食べて感想を言い合っていると、1時間はあっという間に過ぎていた。

　1時間が経過して、夢のような料理スキルが使えなくなり、マミカは混乱するしかない。

「ど、どうしてよ……どうして、料理スキルが使えないの！？」

　取り乱すマミカに対して、レーリアは少し考える素振りを見せてから。

「わかりません……考えられる理由としては、時間制限があったということでしょうか？」

「時間制限……そんなの、使った時は解らなかったけど……そんな……」

　マミカは項垂れているのは、まだ作ろうとしていた料理を半分も作れなかったせいだ。

　ミユキの部屋に行ったのが間違いだった……違う、リアークがミユキを迎えに来るまで待てなかった自分が悪い。

　そんな中――ミユキはリアークを睨んで。

「リアーク、貴方本当は、時間制限があるって知っていたんじゃないの？　だから私と会話を――」

「私はカードについて何も知りませんでした」

「推測はしていたんじゃないの？」

「ミユキ様も推測はしていたはずです」

「このっ……」
　
　ミユキとリアークが話す機会はあまりないけど、聖女スキルで失言を出させようとしていることが多い。

　リアークは本心からマミカを愛しているのに、ミユキは疑っているようだ。

　そうマミカは思い込みながらも、悔しさで頭を抱えながら。

「もう消えたんだからどうでもいいわよ……アカネはもっと凄い料理スキルが使えて、あたしは使えない？」

　マミカは今まで、城を出たアカネとレーリアのことはどうでもよかった。

　アカネはむしろ会いたくない……レーリアと一緒に居るから、捜索するように命じただけ。

　そのレーリアも、リアークが彼氏になっている今のマミカにとっては、どうでもいい存在だ。

　捜索を打ち切ったけど……こうなったら、アカネを捕まえるしかない。

「決めた……あいつには会いたくなかったけど、アカネを捕えて、あたし達の専属料理人にしてやるわ！」

　その発言を聞いて、リアークがマミカの前で膝をつき。

「今回の件、私にお任せください」

「リアーク！」

　ミユキが叫ぶも、マミカは強く頷いて。

「私も協力するわ……だからリアーク、絶対にアカネを捕まえて！」

　リアークのお陰でスキルのカードが手に入ったから、リアークに任せればいいことがあるとマミカは考えていた。

　賢者スキルを持つマミカが命令すれば、王都の戦力全てをリアークが使えるようになる。

「畏まりました。必ずや、アカネという女をマミカ様の前に差し出してみせましょう」

　王都の戦力を使い……料理スキルを持つアカネ、同行しているレーリアを捕えるため――リアークは行動を起こそうとしていた。