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57話

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 この街の冒険者ギルドで一番偉いらしい、ギルドマスターのロドリゴと、私とレーリアは対面している。

 レーリアがリドラの街を破壊すると思い込んでいたみたいだけど、ロドリゴの隣に居るゾートの力で誤解は解けている。

「数ヶ月前だ……この街の東の門からまっすぐ進んだ場所に塔が発生した。特殊なダンジョンとかじゃねぇ、謎の塔だ」

「その塔が、この街を滅ぼそうとしているのですか?」

 レーリアが尋ねると、ロドリゴが頷いて。

「ああ。1ヶ月に1度ぐれぇの頻度で、塔からゴーレムが発生して一直線に街へと向かう。かなりの強さで自爆するから、今ではBランク以上の冒険者に限定して防衛の依頼を出すことにしている」

 塔からゴーレム……恐らくモンスターが現れて、それに冒険者ギルドが迷惑しているようだ。

 今のところレーリアが疑われている理由が解らないでいると、ゾートが握っていた鉄棒の先端を見せて。

「……先端に向ければ、その人の魔力を記憶できる」

「ゾートに記録させるため、塔を監視する依頼を出していた。そして塔から姿を現したエルフは、レーリアと瓜二つだったということだ」

 容姿について伝わっていたから、受付の人はレーリアをロドリゴの部屋に案内していたようね。

 そしてゾートがレーリアではないと言うことで皆が納得したけど……もしゾートが居ない時に冒険者登録をしていたらどうなってたか、あまり考えたくはない。

「……塔の中へ入らなかったのですか?」

「中に入ろうとすれば、とんでもなく強いゴーレムが現れて戦闘になる。あのゴーレムが街に向かったら一大事だから、刺激させないようにしていた。塔の制作者が街に現れたとなればとっ捕まえて壊させたかったが、別人なら無理か?」

「無理ですが……恐らく塔の中には魔石が置かれているだけで、中に入ってすぐ破壊すれば塔は活動を停止するでしょう」

 質問にレーリアが答えて、ロドリゴは深い溜息を吐く。

 それほどまでに、塔を守っているゴーレムが強いのかもしれないわね。

「……この街の危機については話した。次はお前の番だ」

 レーリアは私を見て微笑み、真剣な表情をロドリゴに向けて。

「塔を作った人ですが、奴は私が精霊界を追い出された原因にして双子の兄――リアークです」
 
 リアーク……今までレーリアの意志で話すのを待っていたけど、これが精霊界を追い出されて城で生活していた理由。

 双子の兄なら、見た目が似ているのは納得できて、エルフの人達が避けていたのもリアークの弟だからなのかもしれない。

 レーリアがこの街に来たかった理由も、きっとリアークが関わっているはずだ。
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