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26話

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 平原で切株を椅子にしながら、私はレーリアが背負っていた大きなリュックの中身を確認する。

 サイズが違う食器が数枚と、解体が終わっているスーパーで売っていそうな鳥の肉と豚の肉、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、キャベツといった各野菜、小麦粉、瓶に入ったミルク、小さな蓋のできる籠に卵が6個って……卵?

「よく割れなかったわね……」

「この籠は魔力を籠めることで蓋をすれば数日間籠内部の衝撃を抑えます……籠が小さくて6個しか卵は持ち運べませんでした」

 申し訳なさそうな表情をするレーリアだけど、むしろ卵を持ち運んでいたことが凄すぎる。

「十分よ。これだけあれば1週間は大丈夫そうね。ありがとう」

 こんなのを背負って私を両腕で抱えて移動しているって、レーリアの身体能力はとてつもないわね。

「喜んでもらえて嬉しいです。2日もあれば港町に到着するでしょう……夜には私が魔法で建物を作りますので心配しないでください」

 これほどまでの食材を持ってきてくれて、更には寝る時は野宿にならないようだ。

 覚悟してきたのに、レーリアが居ると大丈夫だと安心する……私のスキルも野営向きだと思っていたけど、レーリアも凄い。

「まだお昼にはなってないけど……歩く前に、軽く料理スキルを使ってみるわね」

「軽く、ですか?」

 朝食があまり満足できてないから昼食を食べたいけど、今食べると夕食前にお腹が空く。

 それでも何かしらは食べたいと思ってしまうから……私は袋に入った小麦粉、牛乳の瓶、卵の籠を取り出す。

 作ろうと思っているのはクッキーなんだけど……分量とかまったく覚えていない。

 そもそも前の世界では作り方を調べるも結局作らなかった程度の知識で……それでも、こうして自由になると、お菓子が食べたくなってしまった。

 料理ならマミカとミユキに万が一バレても誤魔化せたけど、お菓子は流石に怪しまれていたはずだから、それを警戒して今まで作ろうとも思っていなかったけど、今は違う。

 必死に思い出していると、レーリアが私を眺めて。

「アカネ様は、どのような料理を作ろうとしているのですか?」

「クッキーなんだけど……卵は卵黄を使うだけのような、泡立て器を使うんだっけ? 砂糖と塩は魔力で勝手に作られるとして……」

 呟いている内に、どんどん不安になってしまう。

 バターは牛乳から料理スキルを使った時点でできているでしょう。

 冷やして型抜きして焼くはずだけど、その手順すら省略して一瞬で作れてしまう。

 卵2個分の卵黄を使ったクッキーと意識してスキルを使うと、他の食材はそこまで減っていないけど、数十枚ものクッキーがお皿の上に並べられていた。

 クッキー、ビスケットは保存食になるとも聞いたことがあるし、今全部食べなくてもいいでしょう。

 驚きながら眺めていたレーリアと一緒に食べようと考えて……もしかしてこれって、初めて作ったお菓子をレーリアに渡すってことなのではないかしら?

 いや、スキルで一瞬だから作ったって気がしないんだけど、そう思えば思うほど、なんだかレーリアに渡すのが恥ずかしくなってしまった
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