21 / 117
21話
しおりを挟む
あれから翌日――私が国外追放を言い渡される日がやってくる。
朝食を持ってきたのはレーリアじゃない。
それも装備から兵士長らしき人が監視するように眺めているから、今は料理スキルが使えない。
国外追放が決まったから、余計なことをしないか監視しているのかもしれないわね。
「本日、アカネさんは朝食を終えてから、王の間に向かってください」
「わかりした」
今まで料理スキルの料理だったから、この硬いパンと薄味のスープは辛い。
温かいからパンにつけて食べるけど……こうなるとさっさと国外追放を受けて、料理スキルを使いたくなってしまう。
食事を終えた私は兵士長に案内されて王の間に向かっていると、急に兵士長が私と距離を空けてくる。
何かあったのかと思っていると、通路の曲がり角にはマミカとミユキ……そしてマミカの後ろにはレーリアが居た。
「あらあら? なんだか体調が悪そうだけど、この世界の料理は口に合わなかったみたいね」
「…………」
マミカが私を小馬鹿にしたように笑い、ミユキは私から目を逸らしている。
罪悪感があるのかもしれないけど、ミユキが言ったから私が国外追放になっていると知っている。
私の前で悪いことをしているとポーズをとることで、自分は関係ないと私に思わせたいのかもしれない。
解りやすいマミカと違い、ミユキの方が得体の知れなさがあるけど……この2人と会うのも今日限りでしょう。
私は無言で前に進もうとするも、マミカが行く手を阻んできて。
「……どいてくれますか?」
食事が酷かったこともあって不機嫌だと自覚していると、マミカが睨んでくる。
「私達と比べると天地の差があるスキルの時点で、私の方が立場が上なのにその態度……奇妙な眼鏡をかけたこのエルフを味方につけたみたいだけど、コイツは大したことないわよ」
それは私が天って意味かしら?とは言わないでおこう。
それよりレーリアに対してマミカが親指を向けて馬鹿にしたことに、私は苛立ってしまう……ここは抑えるしかない。
「この世界でエルフは避けられているのに、コイツはこの城に居る。故郷に戻れない奴隷のようなエルフよ。何の役にも立たない貴方とはお似合いかもね!」
「このっ――」
私が咄嗟に叫ぼうとするけど、マミカの背後でレーリアがジッと私を見つめている。
ここで私が怒ったとしてもマミカの得にしかならない……それなら、この状況を利用しよう。
「なによ?」
「貴方は、レーリアが何の役にも立たないと思っているの?」
「ええ。眼鏡の魔道具だって他の人が使えるみたいだし、役立たずのアンタの力になってる時点で気にくわないわね!」
どうやらマミカが苛立っているのは、私に協力的という部分のようだ。
「レーリアは優秀だと思うけど、この城に不要だと思っているの?」
私はマミカに否定させるように誘導しながら質問すると、ミユキがピクリと反応している。
私の発言の意図を理解しているようで……やっぱりマミカよりミユキの方が怖い。
「マ、マミカちゃん。あのー―」
「ミユキは黙ってて! 優秀? それは貴方にとってはでしょ? この城には不要よ!」
どうやら賢者スキルで発言力が増したからか、マミカは自分の発言が絶対だと思っているようね。
もしミユキの方がマミカより発言力があったら怖かったけど、マミカの方が立場が上なら扱いやすい。
「そうですか……その発言、覚えておいてください」
レーリアが私の会話を聞きながら驚いて、そして口元を緩ませている……私はレーリアの為に行動できたようだ。
× × ×
「お前は不要だ。この国から出て行ってもらう」
あれから私は王の間に向かって、国王に国外追放を言い放たれる。
「……わかりました」
マミカと宰相ドグは勝ち誇り、ミユキは何かを警戒しているようだけど、マミカに言うことはできなそうだ。
これで私は国外追放が決まったけど……レーリアの予定通り進んでいるのか、私は少し不安になっていた。
朝食を持ってきたのはレーリアじゃない。
それも装備から兵士長らしき人が監視するように眺めているから、今は料理スキルが使えない。
国外追放が決まったから、余計なことをしないか監視しているのかもしれないわね。
「本日、アカネさんは朝食を終えてから、王の間に向かってください」
「わかりした」
今まで料理スキルの料理だったから、この硬いパンと薄味のスープは辛い。
温かいからパンにつけて食べるけど……こうなるとさっさと国外追放を受けて、料理スキルを使いたくなってしまう。
食事を終えた私は兵士長に案内されて王の間に向かっていると、急に兵士長が私と距離を空けてくる。
何かあったのかと思っていると、通路の曲がり角にはマミカとミユキ……そしてマミカの後ろにはレーリアが居た。
「あらあら? なんだか体調が悪そうだけど、この世界の料理は口に合わなかったみたいね」
「…………」
マミカが私を小馬鹿にしたように笑い、ミユキは私から目を逸らしている。
罪悪感があるのかもしれないけど、ミユキが言ったから私が国外追放になっていると知っている。
私の前で悪いことをしているとポーズをとることで、自分は関係ないと私に思わせたいのかもしれない。
解りやすいマミカと違い、ミユキの方が得体の知れなさがあるけど……この2人と会うのも今日限りでしょう。
私は無言で前に進もうとするも、マミカが行く手を阻んできて。
「……どいてくれますか?」
食事が酷かったこともあって不機嫌だと自覚していると、マミカが睨んでくる。
「私達と比べると天地の差があるスキルの時点で、私の方が立場が上なのにその態度……奇妙な眼鏡をかけたこのエルフを味方につけたみたいだけど、コイツは大したことないわよ」
それは私が天って意味かしら?とは言わないでおこう。
それよりレーリアに対してマミカが親指を向けて馬鹿にしたことに、私は苛立ってしまう……ここは抑えるしかない。
「この世界でエルフは避けられているのに、コイツはこの城に居る。故郷に戻れない奴隷のようなエルフよ。何の役にも立たない貴方とはお似合いかもね!」
「このっ――」
私が咄嗟に叫ぼうとするけど、マミカの背後でレーリアがジッと私を見つめている。
ここで私が怒ったとしてもマミカの得にしかならない……それなら、この状況を利用しよう。
「なによ?」
「貴方は、レーリアが何の役にも立たないと思っているの?」
「ええ。眼鏡の魔道具だって他の人が使えるみたいだし、役立たずのアンタの力になってる時点で気にくわないわね!」
どうやらマミカが苛立っているのは、私に協力的という部分のようだ。
「レーリアは優秀だと思うけど、この城に不要だと思っているの?」
私はマミカに否定させるように誘導しながら質問すると、ミユキがピクリと反応している。
私の発言の意図を理解しているようで……やっぱりマミカよりミユキの方が怖い。
「マ、マミカちゃん。あのー―」
「ミユキは黙ってて! 優秀? それは貴方にとってはでしょ? この城には不要よ!」
どうやら賢者スキルで発言力が増したからか、マミカは自分の発言が絶対だと思っているようね。
もしミユキの方がマミカより発言力があったら怖かったけど、マミカの方が立場が上なら扱いやすい。
「そうですか……その発言、覚えておいてください」
レーリアが私の会話を聞きながら驚いて、そして口元を緩ませている……私はレーリアの為に行動できたようだ。
× × ×
「お前は不要だ。この国から出て行ってもらう」
あれから私は王の間に向かって、国王に国外追放を言い放たれる。
「……わかりました」
マミカと宰相ドグは勝ち誇り、ミユキは何かを警戒しているようだけど、マミカに言うことはできなそうだ。
これで私は国外追放が決まったけど……レーリアの予定通り進んでいるのか、私は少し不安になっていた。
139
お気に入りに追加
4,365
あなたにおすすめの小説
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました
ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】
ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です
※自筆挿絵要注意⭐
表紙はhake様に頂いたファンアートです
(Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco
異世界召喚などというファンタジーな経験しました。
でも、間違いだったようです。
それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。
誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!?
あまりのひどい仕打ち!
私はどうしたらいいの……!?
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる