17 / 117
17話
しおりを挟む
レーリアと契約で、私はレーリアに対して条件を出そうとしている。
もしかしたら私を見定めているかもしれないから、欲は出さないでおこう。
「えっと……私のスキルを教えるけど、それを他言無用としない。それでいいわ」
「えっ? あの……それだけ、ですか?」
唖然としたようにレーリアが私に尋ねるけど、それだけで十分な気がする。
「自由を奪うのはレーリアとしても嫌でしょ? 私はスキルを誰にも言わなければそれでいいもの」
「会って日が浅いのに信頼し過ぎではないでしょうか? 嬉しくもありますが、発言に嘘をつかない。基本的に傍に居るぐらいはつけておきましょう」
どうやら条件は相手が自分からつけることもできるみたいだけど、レーリアの方からそう言ってくれるのならそうしておこう。
レーリアとの会話を聞いて、私は更に条件を出す。
「それなら、レーリアにはスキルで使う食材をとってきて欲しいのと……あと、敬語は使わなくていいわ。これからはアカネって呼んで」
「前者は賛成ですが後者は……私はエルフですし、従っていると見せるべきです」
「そう……それなら、2人の時は敬語で喋らない。これでいい?」
「いっ、いえ。常に私は敬語でしたから……その条件でも、変わらないはずです」
私が条件を出した時より驚いているけど、そんなに驚くことだったのだろうか?
次はレーリアの番だから、私は尋ねる。
「それで、レーリアは私にどんな条件を出すの?」
こういう契約はちゃんとしておくべきだと思うから、冒険者になった時の報酬は半々とか、衣食住の提供とかなのかもしれない。
ちゃんと働くとか、切り捨てないとか……会って日が浅いと言っていたから、これぐらいは言われなければおかしいでしょう。
「私はアカネさんが私を優先して行動しない。それだけで構いません」
「えっ? あの、それだけ?」
さっきのレーリアと同じような反応をしたけど、レーリアは自分の発言を忘れているのだろうか?
そもそも、それはレーリアにとっていい条件でもない……私にとっていい条件だとは思うけど、それは欲がなさ過ぎる。
「私は条件をつけるほどの立場はありませんし、アカネさんが一緒に行かないかと誘ってくださった時点で、アカネさんのことを信頼しています」
「そ、そう……それでも、衣食住の保証……ができるか自信はないけど、食事! 食事に関しては困らせないって条件をつけるわね!」
信頼してくれているのが嬉しくなって、契約時、レーリアには言っていないけどもう一つ自分から条件をつけている。
絶対にレーリアを裏切らない――そう条件をつけるとレーリアの魔力が流れてきて、私の頭の中に何かが記されていく。
――レーリアとの契約に関する約束。
その1、レーリアは私のスキルを誰にも教えることができない。
その2、食材をとってきて欲しいという命令には逆らえない。
その3、絶対に私を裏切らない……どうやらレーリアも、同じことを考えていたようだ。
どうやら相手の出した条件、約束が頭の中で再確認できて了承するか決めることができるらしい。
それって……私がこっそり付け足していた裏切らないという条件も、レーリアに把握されていると思うと顔が赤くなっているのを自覚してしまった。
赤くなっている内に、脳内で約束を認証するかどうか問いかけられたから――私は認証すると強く意識する。
こうして契約を終えると……レーリアは私の前で膝をついて。
「明日、アカネ様がこの城から追い出された時、私はアカネ様の味方になるとここに宣言します」
「きゅ、急にどうしたの?」
「アカネ様の思いやりに私は感銘を受けました……絶対に裏切らないとの約束に応えるため、私は全身全霊をもってアカネ様の力となります」
アカネさんからアカネ様になったのは契約したからなのかもしれないけど、レーリアがそう言いたいというのなら気にしないでおこう。
「私も、レーリアと共に生活をして、少なくとも食事で困らせないことを約束するわ!」
「はい……ありがとう、ございます」
そう言ってレーリアが起き上がりながら頭を下げて、部屋の扉まで歩き。
「それでは……アカネ様のスキルで使う食材を、とってきます」
「ちょっと待って。それなら……今から言う食材があれば、とってきてくれないかしら?」
レーリアが食材をとりに行くのなら、とってきて欲しい食材があった。
もしかしたら私を見定めているかもしれないから、欲は出さないでおこう。
「えっと……私のスキルを教えるけど、それを他言無用としない。それでいいわ」
「えっ? あの……それだけ、ですか?」
唖然としたようにレーリアが私に尋ねるけど、それだけで十分な気がする。
「自由を奪うのはレーリアとしても嫌でしょ? 私はスキルを誰にも言わなければそれでいいもの」
「会って日が浅いのに信頼し過ぎではないでしょうか? 嬉しくもありますが、発言に嘘をつかない。基本的に傍に居るぐらいはつけておきましょう」
どうやら条件は相手が自分からつけることもできるみたいだけど、レーリアの方からそう言ってくれるのならそうしておこう。
レーリアとの会話を聞いて、私は更に条件を出す。
「それなら、レーリアにはスキルで使う食材をとってきて欲しいのと……あと、敬語は使わなくていいわ。これからはアカネって呼んで」
「前者は賛成ですが後者は……私はエルフですし、従っていると見せるべきです」
「そう……それなら、2人の時は敬語で喋らない。これでいい?」
「いっ、いえ。常に私は敬語でしたから……その条件でも、変わらないはずです」
私が条件を出した時より驚いているけど、そんなに驚くことだったのだろうか?
次はレーリアの番だから、私は尋ねる。
「それで、レーリアは私にどんな条件を出すの?」
こういう契約はちゃんとしておくべきだと思うから、冒険者になった時の報酬は半々とか、衣食住の提供とかなのかもしれない。
ちゃんと働くとか、切り捨てないとか……会って日が浅いと言っていたから、これぐらいは言われなければおかしいでしょう。
「私はアカネさんが私を優先して行動しない。それだけで構いません」
「えっ? あの、それだけ?」
さっきのレーリアと同じような反応をしたけど、レーリアは自分の発言を忘れているのだろうか?
そもそも、それはレーリアにとっていい条件でもない……私にとっていい条件だとは思うけど、それは欲がなさ過ぎる。
「私は条件をつけるほどの立場はありませんし、アカネさんが一緒に行かないかと誘ってくださった時点で、アカネさんのことを信頼しています」
「そ、そう……それでも、衣食住の保証……ができるか自信はないけど、食事! 食事に関しては困らせないって条件をつけるわね!」
信頼してくれているのが嬉しくなって、契約時、レーリアには言っていないけどもう一つ自分から条件をつけている。
絶対にレーリアを裏切らない――そう条件をつけるとレーリアの魔力が流れてきて、私の頭の中に何かが記されていく。
――レーリアとの契約に関する約束。
その1、レーリアは私のスキルを誰にも教えることができない。
その2、食材をとってきて欲しいという命令には逆らえない。
その3、絶対に私を裏切らない……どうやらレーリアも、同じことを考えていたようだ。
どうやら相手の出した条件、約束が頭の中で再確認できて了承するか決めることができるらしい。
それって……私がこっそり付け足していた裏切らないという条件も、レーリアに把握されていると思うと顔が赤くなっているのを自覚してしまった。
赤くなっている内に、脳内で約束を認証するかどうか問いかけられたから――私は認証すると強く意識する。
こうして契約を終えると……レーリアは私の前で膝をついて。
「明日、アカネ様がこの城から追い出された時、私はアカネ様の味方になるとここに宣言します」
「きゅ、急にどうしたの?」
「アカネ様の思いやりに私は感銘を受けました……絶対に裏切らないとの約束に応えるため、私は全身全霊をもってアカネ様の力となります」
アカネさんからアカネ様になったのは契約したからなのかもしれないけど、レーリアがそう言いたいというのなら気にしないでおこう。
「私も、レーリアと共に生活をして、少なくとも食事で困らせないことを約束するわ!」
「はい……ありがとう、ございます」
そう言ってレーリアが起き上がりながら頭を下げて、部屋の扉まで歩き。
「それでは……アカネ様のスキルで使う食材を、とってきます」
「ちょっと待って。それなら……今から言う食材があれば、とってきてくれないかしら?」
レーリアが食材をとりに行くのなら、とってきて欲しい食材があった。
138
お気に入りに追加
4,365
あなたにおすすめの小説
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました
ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】
ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です
※自筆挿絵要注意⭐
表紙はhake様に頂いたファンアートです
(Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco
異世界召喚などというファンタジーな経験しました。
でも、間違いだったようです。
それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。
誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!?
あまりのひどい仕打ち!
私はどうしたらいいの……!?
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる