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17話

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 レーリアと契約で、私はレーリアに対して条件を出そうとしている。

 もしかしたら私を見定めているかもしれないから、欲は出さないでおこう。

「えっと……私のスキルを教えるけど、それを他言無用としない。それでいいわ」

「えっ? あの……それだけ、ですか?」

 唖然としたようにレーリアが私に尋ねるけど、それだけで十分な気がする。

「自由を奪うのはレーリアとしても嫌でしょ? 私はスキルを誰にも言わなければそれでいいもの」

「会って日が浅いのに信頼し過ぎではないでしょうか? 嬉しくもありますが、発言に嘘をつかない。基本的に傍に居るぐらいはつけておきましょう」

 どうやら条件は相手が自分からつけることもできるみたいだけど、レーリアの方からそう言ってくれるのならそうしておこう。

 レーリアとの会話を聞いて、私は更に条件を出す。

「それなら、レーリアにはスキルで使う食材をとってきて欲しいのと……あと、敬語は使わなくていいわ。これからはアカネって呼んで」

「前者は賛成ですが後者は……私はエルフですし、従っていると見せるべきです」

「そう……それなら、2人の時は敬語で喋らない。これでいい?」

「いっ、いえ。常に私は敬語でしたから……その条件でも、変わらないはずです」

 私が条件を出した時より驚いているけど、そんなに驚くことだったのだろうか?

 次はレーリアの番だから、私は尋ねる。

「それで、レーリアは私にどんな条件を出すの?」

 こういう契約はちゃんとしておくべきだと思うから、冒険者になった時の報酬は半々とか、衣食住の提供とかなのかもしれない。

 ちゃんと働くとか、切り捨てないとか……会って日が浅いと言っていたから、これぐらいは言われなければおかしいでしょう。

「私はアカネさんが私を優先して行動しない。それだけで構いません」

「えっ? あの、それだけ?」

 さっきのレーリアと同じような反応をしたけど、レーリアは自分の発言を忘れているのだろうか?

 そもそも、それはレーリアにとっていい条件でもない……私にとっていい条件だとは思うけど、それは欲がなさ過ぎる。

「私は条件をつけるほどの立場はありませんし、アカネさんが一緒に行かないかと誘ってくださった時点で、アカネさんのことを信頼しています」

「そ、そう……それでも、衣食住の保証……ができるか自信はないけど、食事! 食事に関しては困らせないって条件をつけるわね!」

 信頼してくれているのが嬉しくなって、契約時、レーリアには言っていないけどもう一つ自分から条件をつけている。

 絶対にレーリアを裏切らない――そう条件をつけるとレーリアの魔力が流れてきて、私の頭の中に何かが記されていく。

 ――レーリアとの契約に関する約束。

 その1、レーリアは私のスキルを誰にも教えることができない。

 その2、食材をとってきて欲しいという命令には逆らえない。

 その3、絶対に私を裏切らない……どうやらレーリアも、同じことを考えていたようだ。

 どうやら相手の出した条件、約束が頭の中で再確認できて了承するか決めることができるらしい。

 それって……私がこっそり付け足していた裏切らないという条件も、レーリアに把握されていると思うと顔が赤くなっているのを自覚してしまった。

 赤くなっている内に、脳内で約束を認証するかどうか問いかけられたから――私は認証すると強く意識する。

 こうして契約を終えると……レーリアは私の前で膝をついて。

「明日、アカネ様がこの城から追い出された時、私はアカネ様の味方になるとここに宣言します」

「きゅ、急にどうしたの?」

「アカネ様の思いやりに私は感銘を受けました……絶対に裏切らないとの約束に応えるため、私は全身全霊をもってアカネ様の力となります」

 アカネさんからアカネ様になったのは契約したからなのかもしれないけど、レーリアがそう言いたいというのなら気にしないでおこう。

「私も、レーリアと共に生活をして、少なくとも食事で困らせないことを約束するわ!」

「はい……ありがとう、ございます」

 そう言ってレーリアが起き上がりながら頭を下げて、部屋の扉まで歩き。

「それでは……アカネ様のスキルで使う食材を、とってきます」

「ちょっと待って。それなら……今から言う食材があれば、とってきてくれないかしら?」

 レーリアが食材をとりに行くのなら、とってきて欲しい食材があった。
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