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3話

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 あれから私は、レーリアの後ろをついて歩くことで部屋に到着する。

 どうやら服も用意してくれたみたいだけど、村人の服という簡素な服で、ファンタジーという感じがしていた。

 城の端にある小部屋は、ベッドと椅子と小さなテーブルがあるだけ……ワンルームより狭くて、埃が多いからレーリアと一緒に掃除をして換気することで、なんとか寝泊まりできるぐらいにはなっている。

 夕暮れになっていて、掃除を終えたレーリアは私に頭を下げて。

「明日はスキルを試して貰います……それでは失礼します。後ほど食事を持ってきますね」

 そう言ってレーリアが部屋から出て、私は小部屋で1人になっていた。

 ようやく落ち着くことができた私は、今日の――異世界に転移してからのことを思い返す。

 私は、他の二人とは扱いが明らかに違っている。

「間違いなくスキルのせいだけど、私は巻き込まれただけなのだから仕方ないじゃない」

 これからどうするか必死に考えているけれど、そもそもこの世界のことを、私は何も知らない。

 食事は出るみたいだから、カバンの中の食材を使わないでおこうと考えていると、扉をノックしてレーリアが入ってくる。

 どうやら夜の食事を持ってきてくれたみたいだけど……トレーに乗っていた料理を見て、私は動揺しながら。

「……あの、料理はこれだけですか?」

 レーリアが持ってきたのは乾いた硬そうなパン2つと、具がないから恐らくだけど、冷めている野菜のスープだけだった。

「……申しわけありません。時間が時間でしたので、兵士の食事の残りとなります」

 申しわけないというのは、別の意味がありそうだから聞いてみる。

「……これって、私が転移した時に居た2人、マミカとミユキも同じ料理なの?」

「いえ。察しの通りです……それと、呼び捨てではなく、マミカ様とミユキ様と呼び、敬語で接した方がよろしいと進言します」

 露骨に立場が違うし、これから私はマミカとミユキを様付けで、それも敬語でなければならないらしい。

 きっと食事を持ってくるまでの間に、私の立場がどうなるのか決まったようね。

 辛そうな表情をしているレーリアだけど、これからのことは聞くしかないでしょう。

「あの、私はこれから、どうなってしまうのでしょうか?」

「明日見せるスキルの力次第ですが……正直に言いますと、もしスキルがとてつもなく美味しい料理が作れるスキルだと判明しても、奴隷のように扱われる気がします」

「……えっ?」

 いきなり奴隷のように扱われると言われて恐怖してしまうと、その私の反応を見てからレーリアが告げる。

「異世界の住人に求められているのは力です……もし力を持たないも有能だと判断されれば、力で脅されて従わせようとしてくるでしょう」

「そんな……」

「それは聖女と賢者のスキルと同等の力を持つ料理スキルならの話です……それなら、大したことのない力だと思わせて、普通にこの城で暮らすのが一番なのではないでしょうか?」

 そう言ってくれるレーリアは、私のことを心配してくれているのでしょう。

「あの、どうしてレーリアは、そこまで私を心配してくれるんですか?」

「それは……私が正直にスキルを伝えたせいで、こうなってしまったからです。私は、これぐらいのことしかできません」

 その発言の意図は、これから何があったとしても、自分よりも私を優先して動くことはないと伝えたかったのでしょう。

 そう言って料理を置いてレーリアは去っていき、この食器は朝にとりに来るから置いておいて欲しいと言われている。

 不幸中の幸いか、私が持っていた手提げカバンの中は食材だけだったから、没収されず私が持ち運んでいいらしい。

 試しに私は料理スキルを持っていると意識してみると、色々なことが解り始めていた。

 どうやら調理器具とかは必要なさそうで、この場所でも料理をすることができそうだけど、使ってみないと解らないわね。

 ひとまずスープの食器は手に入ったから――これでようやく、私は料理スキルを扱うことができそうだ。
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