28 / 45
ラーファ
しおりを挟む
「それぞれが一騎当千の猛者。あいつらが加勢してくれるだけでだいぶ楽になるぜ」
「けどたった4人でか。せめて俺等も加勢出来れば・・」
「しかし、ポーションが足りてない・・」
「みなさーん!新しいポーションが支給されます!」
後方の診療所に回復と解毒のポーション、前方には魔力のポーションが手渡された。
「ありがてぇ、しかし誰が用意したんだ?」
「最近出来た会社で、配達会社グリフォンフライというらしいです」
「やはり来たか。クックック、希望は繋がったか・・」
ガイアスは不敵に笑った。
「グリフォンフライ・・キール・・」
「覚えておく必要があるな」
「少し、調べておこう」
他のギルド長もその名を意識しだした。
そこからは時間の問題だった。
戦力の増強による、モンスターの減少。ポーションによる持久力増大で、戦況はみるみる好転していった。
「よし、これが最後の一匹だな」
無事ロイが最後のモンスターを倒した。
「「「「「「「勝ったぞおおおおおおおお」」」」」」」
その日の冒険者たちの雄叫びは王都の中心地まで届いた。
「助かった。感謝してもしきれないぐらいだ。ところで、今まで引退してから行方知れずだったロイとグランツに、槍仙のユリ、もっと珍しいのは宗方か。共通点のない4人が共闘だなんて、どういう巡り合わせだ?」
ガイアスが代表して、4人に感謝を述べ、浮上した疑問を口にした。
「あはは、共通点ならあるよ」
「まぁ、たしかにな。そら珍しいな」
「小生らの共通点といえば、一つしかないの。今回もそれ関係でここにおるしのう」
「俺らは、社員なんだよ。配達会社グリフォンフライのな」
4人はケラケラと巡り合わせを笑いあった。
「アハハハハハハハ、キールが言ってた周りが優秀とはあんたらのことだったのか。それを束ねる本人の器量が具体的に見えてきたな」
そんな4人を見て、ガイアスも豪快に笑った。
「お、社長を知っているのか?」
ロイが不思議そうに尋ねた。不思議に思うのも当然である。キールは普段会社から出ることが少なく、積極的に人と関わることもない。そんなキールが冒険者ギルドのギルド長に知られているなど、思いもしなかったのである。
「ああ、先日知り合ってな。そうだ、ポーションもキールの仕業か?報告によると9000本集めてくれたとか」
途中から支給されたポーションは、最高のタイミングで希望の光となった。それを集めていたことまで含めて、その手腕からキールだと判断していた。
「ああ、そうだぜ。最初にお宅らの依頼を引き受けたときに、一緒に買っていたぞ」
「俺たちもどうやって予測しているのかは分からぬがな。」
「面白いだろ?うちの社長?」
「ああ、まったくだ」
ガイアスは本心からそう思った。久しぶりに面白い奴が現れたと思ったら、その後すぐにスタンピードにおいて多大なる功績を残し、見事、勝利に導いた。
「それからというものだな。キールの注目が広まっていってこの王都全体に知れ渡るようになったのは」
酒場ゴールドラッシュの冒険者は、何杯目か分からないお酒のジョッキを空にして語り終えた。
「なるほど、その類い稀なる先見の明が武器であるのか。」
ラーファはキールをそう素直に評価した。
「あぁ、そうだな。いや正確にはそうだったな。最近は身体がスライムと特殊な契約をしたらしく、物理耐性を得たとの噂だ。だから、単純な戦闘力も上がったんじゃないかと予想されているぞ」
冒険者は最近のより正確な情報を伝えた。
「ほう、それは面白いことをきいた。感謝する。ここのお題は私が出させてもらうよ」
ラーファは、とっくの前に酒場を後にしたキールの顔を思い出しながら、ふっと笑った。
そうして酒場を後にしたラーファは、キールに会うために行動を開始するのであった。
ラーファは配達会社グリフォンフライがある地区まで来ると、影を潜め、存在感を消し、会社まで向かった。
グリフォンフライの建物が見えてくると最上階に見える窓を眺め、そこまでの侵入経路を頭の中で計算した。
パッと計算した限りでも、あまりに容易でセキュリティが薄すぎる。建物の構造上の面もあるが、建物の中の人間からの警戒の気配が全くしない・・・特に最上階は本当に人がいるかどうかも怪しいほど人の気配がない。
「罠か?いや、その可能性は低い。だがしかし、警戒するに越したことはないな」
ラーファは潜入を開始した。
グリフォンフライと書かれた看板のある表のドアを普通に開けた。だが、通り過ぎる社員も、受付嬢もドアが開いたことに気がついていなかった。
そしてそのまま、階段を上がっていた。
誰もそれに気がつかない。
やはり簡単だったな。こんなもんだったか。
少しがっかりした様子のラーファは、遂にキールの部屋の前までたどり着いた。もう一度部屋の中の気配を確認すると、よく隠せているようだが、ほんの少し人の気配がした。
キールの実力を試すべく、部屋に入り、軽く戦ってみようとした。
「・・・どうしたの?何か用かい?」
ラーファは戦慄した。今まで看破されたことがなかった自身の気配を殺す能力を見破られたからだ。さらに言えば念のために遠く離れたところから気配を消していたというのに。
「けどたった4人でか。せめて俺等も加勢出来れば・・」
「しかし、ポーションが足りてない・・」
「みなさーん!新しいポーションが支給されます!」
後方の診療所に回復と解毒のポーション、前方には魔力のポーションが手渡された。
「ありがてぇ、しかし誰が用意したんだ?」
「最近出来た会社で、配達会社グリフォンフライというらしいです」
「やはり来たか。クックック、希望は繋がったか・・」
ガイアスは不敵に笑った。
「グリフォンフライ・・キール・・」
「覚えておく必要があるな」
「少し、調べておこう」
他のギルド長もその名を意識しだした。
そこからは時間の問題だった。
戦力の増強による、モンスターの減少。ポーションによる持久力増大で、戦況はみるみる好転していった。
「よし、これが最後の一匹だな」
無事ロイが最後のモンスターを倒した。
「「「「「「「勝ったぞおおおおおおおお」」」」」」」
その日の冒険者たちの雄叫びは王都の中心地まで届いた。
「助かった。感謝してもしきれないぐらいだ。ところで、今まで引退してから行方知れずだったロイとグランツに、槍仙のユリ、もっと珍しいのは宗方か。共通点のない4人が共闘だなんて、どういう巡り合わせだ?」
ガイアスが代表して、4人に感謝を述べ、浮上した疑問を口にした。
「あはは、共通点ならあるよ」
「まぁ、たしかにな。そら珍しいな」
「小生らの共通点といえば、一つしかないの。今回もそれ関係でここにおるしのう」
「俺らは、社員なんだよ。配達会社グリフォンフライのな」
4人はケラケラと巡り合わせを笑いあった。
「アハハハハハハハ、キールが言ってた周りが優秀とはあんたらのことだったのか。それを束ねる本人の器量が具体的に見えてきたな」
そんな4人を見て、ガイアスも豪快に笑った。
「お、社長を知っているのか?」
ロイが不思議そうに尋ねた。不思議に思うのも当然である。キールは普段会社から出ることが少なく、積極的に人と関わることもない。そんなキールが冒険者ギルドのギルド長に知られているなど、思いもしなかったのである。
「ああ、先日知り合ってな。そうだ、ポーションもキールの仕業か?報告によると9000本集めてくれたとか」
途中から支給されたポーションは、最高のタイミングで希望の光となった。それを集めていたことまで含めて、その手腕からキールだと判断していた。
「ああ、そうだぜ。最初にお宅らの依頼を引き受けたときに、一緒に買っていたぞ」
「俺たちもどうやって予測しているのかは分からぬがな。」
「面白いだろ?うちの社長?」
「ああ、まったくだ」
ガイアスは本心からそう思った。久しぶりに面白い奴が現れたと思ったら、その後すぐにスタンピードにおいて多大なる功績を残し、見事、勝利に導いた。
「それからというものだな。キールの注目が広まっていってこの王都全体に知れ渡るようになったのは」
酒場ゴールドラッシュの冒険者は、何杯目か分からないお酒のジョッキを空にして語り終えた。
「なるほど、その類い稀なる先見の明が武器であるのか。」
ラーファはキールをそう素直に評価した。
「あぁ、そうだな。いや正確にはそうだったな。最近は身体がスライムと特殊な契約をしたらしく、物理耐性を得たとの噂だ。だから、単純な戦闘力も上がったんじゃないかと予想されているぞ」
冒険者は最近のより正確な情報を伝えた。
「ほう、それは面白いことをきいた。感謝する。ここのお題は私が出させてもらうよ」
ラーファは、とっくの前に酒場を後にしたキールの顔を思い出しながら、ふっと笑った。
そうして酒場を後にしたラーファは、キールに会うために行動を開始するのであった。
ラーファは配達会社グリフォンフライがある地区まで来ると、影を潜め、存在感を消し、会社まで向かった。
グリフォンフライの建物が見えてくると最上階に見える窓を眺め、そこまでの侵入経路を頭の中で計算した。
パッと計算した限りでも、あまりに容易でセキュリティが薄すぎる。建物の構造上の面もあるが、建物の中の人間からの警戒の気配が全くしない・・・特に最上階は本当に人がいるかどうかも怪しいほど人の気配がない。
「罠か?いや、その可能性は低い。だがしかし、警戒するに越したことはないな」
ラーファは潜入を開始した。
グリフォンフライと書かれた看板のある表のドアを普通に開けた。だが、通り過ぎる社員も、受付嬢もドアが開いたことに気がついていなかった。
そしてそのまま、階段を上がっていた。
誰もそれに気がつかない。
やはり簡単だったな。こんなもんだったか。
少しがっかりした様子のラーファは、遂にキールの部屋の前までたどり着いた。もう一度部屋の中の気配を確認すると、よく隠せているようだが、ほんの少し人の気配がした。
キールの実力を試すべく、部屋に入り、軽く戦ってみようとした。
「・・・どうしたの?何か用かい?」
ラーファは戦慄した。今まで看破されたことがなかった自身の気配を殺す能力を見破られたからだ。さらに言えば念のために遠く離れたところから気配を消していたというのに。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説

俺だけ2つスキルを持っていたので異端認定されました
七鳳
ファンタジー
いいね&お気に入り登録&感想頂けると励みになります。
世界には生まれた瞬間に 「1人1つのオリジナルスキル」 が与えられる。
それが、この世界の 絶対のルール だった。
そんな中で主人公だけがスキルを2つ持ってしまっていた。
異端認定された主人公は様々な苦難を乗り越えながら、世界に復讐を決意する。
※1話毎の文字数少なめで、不定期で更新の予定です。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる