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スタンピード
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スタンピードが起こったという知らせはギルドないに響き駆け回った。
「全員、早急に支度をし、迎え撃つぞ!」
ガイアスは、檄を飛ばしキールを思い返していた。
「キール・・このことが分かっていたのか?1ヶ月という期限設定もそのためか・・」
何をもってその予測が出来たのか、ガイアスは不思議で仕方なかった。日常的にモンスターと接している冒険者でさえ察することができなかったのに。
そこでガイアスは頭を軽く左右にに振り、思考を切り替え、スタンピードに向けて指示を出していった。
冒険者ギルド連盟により、王都にある冒険者ギルドの全てが王都の門の外に勢揃いし、それは壮観な眺めであった。
そうして始まったスタンピードはこれまでにないほどの規模の大きさであった。
これだけの勢力が揃えば、必ずこのスタンピードも乗り越えられる。と思っていた。
実際の所は、今まで、気楽に何も対策をしていないかった冒険者は大敗を喫し、それなりに備えていた者でもうまく攻めきれず、防戦一方となり、戦場は多くの負傷者を生みだしていた。
「おい!回復のポーションを持って来てくれ!もうさっきの分はなくなってしまったぞ!」
「今持って来ます!何でも良いから出血を抑えておいてください!」
後方の診療所は阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。
「魔力のポーションを貸してくれ!俺の分はもうなくなってしまった!」
「ああ、もうダメだ・・・」
「おい!ポーションの飲み過ぎで魔力酔いするから気をつけろ!」
前線の魔法部隊は気力だけで持ちこたえている状態であり、立つことすら困難な者も大勢いた。
「くそ、あれだけあったポーションがもうなくなってきてやがった・・」
ガイアスは砦のうえから戦況を眺め、自分の読みの甘さに怒りをおぼえた。
そう考えていても戦況は覆らず、どんどんと劣勢になっていった。
スタンピードが続き、数時間が経った頃
「ガイアスさん!ポーションがなくなりやした!」
冒険者の1人が緊急事態時に仮設されるテントにやってきた。
そのテントでは、各冒険者ギルドのギルド長たちが戦略を練っていた。
「遂にか・・あと少し粘れることが出来れば、勝機も見えてきただろうに」
「もう、終わりなのだろうか・・・」
「まだ、諦めるわけにはいかない。だが、しかし!」
各ギルド長が少しずつ弱音を吐き出していた。
「まだだ、まだ。最後の頼みの綱が残っている!!」
そんな中ガイアスだけが目に光を宿していた。
「キール頼むぜ・・・」
ガイアスはある男の名前を呟いた。
「キール?誰だそれは」
当然の如く、不安と絶望の中に見えた一筋の光を他のギルド長たちが見逃すはずがなかった。
「ああ、最近出来た知り合いでな・・配達会社グリフォンフライの社長をしててな・・このスタンピードが起こることを予測していやがった」
「なんだと!?我々でさえ予測できなかったのにか」
ギルド長たちは狼狽えた。
「それを、予測していた奴がこの事態を予測していないとは思いにくい」
ガイアスはそれだけを頼りにしていた。
時間の流れが、速いのか遅いのか、感覚が狂いだすほどの不安の中、それでも確実に時間は過ぎていった。
「もう、時間じゃな・・・」
「アタシらも、最後のあがきにでるかね」
「大将が奥で隠れてちゃ、元とはいえど冒険者の名が廃るぜ」
「・・・・・・・」
彼は元とはいえそれぞれのギルドで最強の名を冠した冒険者である。覚悟を決め、テントの中を出ようと椅子から立ち上がった。
「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」」
その瞬間、そとから歓声が響いた。
何事かと急いで外に出ると、前線の前衛職の冒険者とモンスターたちの間に大きな空間が生まれていた。その一直線の空間に等間隔で4人の人物が佇んでいた。
「まったく、急いで戻ってくる羽目になったじゃねぇか」
「まぁまぁ、早く言ってくれたら良いのにとはいつも思うけどね」
「私は近場にいたから楽だったよ」
「ふふふ、基本的に連絡の取れない小生がこの日に帰ってくるのもわかっていたのでしょう」
戦場で異質なほどのリラックスを見せる4人は冒険者のなかで知らぬ者はいなかった。
『サラマンダー』ことロイ、『怪力無双』ことグランツ、『槍仙』ことユリ、『浮雲』こと宗方
彼らは希望となって戦場に舞い降りた。
「全員、早急に支度をし、迎え撃つぞ!」
ガイアスは、檄を飛ばしキールを思い返していた。
「キール・・このことが分かっていたのか?1ヶ月という期限設定もそのためか・・」
何をもってその予測が出来たのか、ガイアスは不思議で仕方なかった。日常的にモンスターと接している冒険者でさえ察することができなかったのに。
そこでガイアスは頭を軽く左右にに振り、思考を切り替え、スタンピードに向けて指示を出していった。
冒険者ギルド連盟により、王都にある冒険者ギルドの全てが王都の門の外に勢揃いし、それは壮観な眺めであった。
そうして始まったスタンピードはこれまでにないほどの規模の大きさであった。
これだけの勢力が揃えば、必ずこのスタンピードも乗り越えられる。と思っていた。
実際の所は、今まで、気楽に何も対策をしていないかった冒険者は大敗を喫し、それなりに備えていた者でもうまく攻めきれず、防戦一方となり、戦場は多くの負傷者を生みだしていた。
「おい!回復のポーションを持って来てくれ!もうさっきの分はなくなってしまったぞ!」
「今持って来ます!何でも良いから出血を抑えておいてください!」
後方の診療所は阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。
「魔力のポーションを貸してくれ!俺の分はもうなくなってしまった!」
「ああ、もうダメだ・・・」
「おい!ポーションの飲み過ぎで魔力酔いするから気をつけろ!」
前線の魔法部隊は気力だけで持ちこたえている状態であり、立つことすら困難な者も大勢いた。
「くそ、あれだけあったポーションがもうなくなってきてやがった・・」
ガイアスは砦のうえから戦況を眺め、自分の読みの甘さに怒りをおぼえた。
そう考えていても戦況は覆らず、どんどんと劣勢になっていった。
スタンピードが続き、数時間が経った頃
「ガイアスさん!ポーションがなくなりやした!」
冒険者の1人が緊急事態時に仮設されるテントにやってきた。
そのテントでは、各冒険者ギルドのギルド長たちが戦略を練っていた。
「遂にか・・あと少し粘れることが出来れば、勝機も見えてきただろうに」
「もう、終わりなのだろうか・・・」
「まだ、諦めるわけにはいかない。だが、しかし!」
各ギルド長が少しずつ弱音を吐き出していた。
「まだだ、まだ。最後の頼みの綱が残っている!!」
そんな中ガイアスだけが目に光を宿していた。
「キール頼むぜ・・・」
ガイアスはある男の名前を呟いた。
「キール?誰だそれは」
当然の如く、不安と絶望の中に見えた一筋の光を他のギルド長たちが見逃すはずがなかった。
「ああ、最近出来た知り合いでな・・配達会社グリフォンフライの社長をしててな・・このスタンピードが起こることを予測していやがった」
「なんだと!?我々でさえ予測できなかったのにか」
ギルド長たちは狼狽えた。
「それを、予測していた奴がこの事態を予測していないとは思いにくい」
ガイアスはそれだけを頼りにしていた。
時間の流れが、速いのか遅いのか、感覚が狂いだすほどの不安の中、それでも確実に時間は過ぎていった。
「もう、時間じゃな・・・」
「アタシらも、最後のあがきにでるかね」
「大将が奥で隠れてちゃ、元とはいえど冒険者の名が廃るぜ」
「・・・・・・・」
彼は元とはいえそれぞれのギルドで最強の名を冠した冒険者である。覚悟を決め、テントの中を出ようと椅子から立ち上がった。
「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」」
その瞬間、そとから歓声が響いた。
何事かと急いで外に出ると、前線の前衛職の冒険者とモンスターたちの間に大きな空間が生まれていた。その一直線の空間に等間隔で4人の人物が佇んでいた。
「まったく、急いで戻ってくる羽目になったじゃねぇか」
「まぁまぁ、早く言ってくれたら良いのにとはいつも思うけどね」
「私は近場にいたから楽だったよ」
「ふふふ、基本的に連絡の取れない小生がこの日に帰ってくるのもわかっていたのでしょう」
戦場で異質なほどのリラックスを見せる4人は冒険者のなかで知らぬ者はいなかった。
『サラマンダー』ことロイ、『怪力無双』ことグランツ、『槍仙』ことユリ、『浮雲』こと宗方
彼らは希望となって戦場に舞い降りた。
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