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ユリがこのような状態になったきっかけはキールにブレスレットを買って貰った日の翌日に遡る。
あれからユリは自身に芽生えた魔法という可能性に挑戦していた。
幼い頃は魔法に憧れを持ち、しかしながら魔法の才能がないと断言された。そのおかげで今のユリがあるのだが、可能性があるならばと近辺の森で荒らしていた。
「すごいぞこれ。魔法を使うのがだいぶ楽になった」
魔法とは一朝一夕にあらず。日々の積み重ねによる魔力量の増大やせいみつな魔力コントロールを強いられる。いままで魔法とは無縁だった、ユリにとって、族生が付与された物を媒介とすることで、その苦労を減らしていたのである。
「もっと、魔法が使えるようになりたい。そしていつか魔法槍士と呼ばれるかもね、えへへへ」
妄想で顔がだらしなくなると、行動力は人一倍あるユリは、早速魔法の練習を終えると、物が集まる王都の商業区で聖属性が付与されている物を、これでもかと集め出した。
「えへへ、これでもっと魔法が強くなるぞ~」
そうして、どんどん装飾物が増え、魔法の撃てる数は増えていった。しかし、肝心の自力がないため魔法の威力は微々たるものしか増えなかった。そのことを知らない魔法素人のユリは、ふたたび聖属性の媒介となるものを集め始めた。
この連鎖を繰り返しているうちに、ほとんどの物をユリが集めてしまったのである。
そうして
「ここにもない・・どこにあるのおおおお」
ユリは街をふらふらと歩いていた。
「お、こんなとこに居やがったか。じゃらじゃらしすぎて一瞬ユリじゃないと思ったぜ」
「お、グランツにロイか、なんだかさっぱりしてるね」
「さっきまで銭湯にいってたんだ」
「ユリは、何してんだ?なんだかやつれてるように見えるんだが」
「あー、ちょっとね・・・聞いて貰って良い?」
グランツとロイは一瞬顔を見合わせて「もちろん」と頷いた。
酒場「ゴールドラッシュ」にてユリとグランツとロイは、ユリのこれまでのことを聞いていた。
「なるほどな、で、いくらぐらい使ったんだ?」
「へ?・・・いや、あははは」
「あはははじゃなくて、相当な額だろ。数だけでもまぁまぁするけど、聖属性なんて珍しい物はもっとするだろう」
「その・・・あの・・・・2000万」
ユリは、しどろもどろに濁しながら、最期に二人から視線をずらしボソッと呟いた。
「・・・・・・こんの馬鹿野郎」
「・・・・・・それは、馬鹿だねぇ」
二人は一瞬何を言ってるのかと間を置いたが、理解し始めると、二人して嘆いた。
「あのなぁ、先に行っとくけど、魔法は何処まで行っても自分自身なんだよ・・・・・・」
それから魔法士として一家言あるロイのお説教が始まった。ユリはみるみる小さくなっていって、グランツは子どもを見守るような目で、新しくお酒を頼んだ。
「ううぅ、じゃあね皆。今までありがとう!」
ユリは、装飾具屋に来て、装飾品を売っていた。そのユリの後ろには、のほほんとしているグランツと、鬼の形相で監視するロイがいた。
「よし、そしたら、実際に魔法を教えてやろう」
「ありがとう、ロイ。頑張って魔法槍士になれるように頑張るよ」
そうして三人は仲良く森でモンスターを狩りにいった。
ちなみに、ここからしばらくモンスターを森で全く見かけなくなったと、冒険者ギルドの中で異変が起きたと噂になっていたのはまた別の話であった。
「うーん、お礼かぁ、何が良いかなぁ」
キールは、三人と入れ替わりで酒場ゴールドラッシュに来て、保安局からのお礼の内容を考えていた。
キールは銭湯の後、会社に戻るとエリーナから手紙を預かっているとのことで、その手紙の中身を読むと、グランツとロイのおかげで王国は救われたと、そのお礼がしたいとのことらしい。
そういうのは、ちゃんと本人に還元するべきだよなぁ。社長として社員の評価は正当に行わないと・・・
お金はちゃんと払ってるから余ってるだろうし、武器も最高級の物を使ってて手になじんでて相棒だとか言ってたし、うーん何が良いんだろう。
「珍しい物とかかなー。美味しい物、綺麗なものは・・・ないな」
お金が一番確実で簡単な見返りであるのに、素直な気持ちでキールはそれを受け取らなかった。
「珍しい物?」
「おいしくて、綺麗じゃないもの?」
「一体今度はなんのヒントだ?」
「まて、おいしいが味覚かどうかも分からないぞ」
ゴールドラッシュに集まっている各ギルドの情報伝達係はキールの言葉に振り回されてばっかりであった。
そうだ!二人ともお酒好きだから、珍しいお酒を貰って宴会でもしようかな。社員旅行とかしてお酒でも飲みたいなぁ。
そんなことを妄想して気持ちよくお酒を飲んでいるキールは周りが慌ただしくしていることなど気づくよしもなかった。
「さて、そうと決まれば早速行動だ」
その言葉に周りは再び驚かされた。なぜならキールという男はその頭脳をもってして行動に移す男であり、自ら動くことは滅多にないのだ。
「一体何が起こるんだ・・・」
周りの冒険者達は、かってに事をおおきくしていった。
あれからユリは自身に芽生えた魔法という可能性に挑戦していた。
幼い頃は魔法に憧れを持ち、しかしながら魔法の才能がないと断言された。そのおかげで今のユリがあるのだが、可能性があるならばと近辺の森で荒らしていた。
「すごいぞこれ。魔法を使うのがだいぶ楽になった」
魔法とは一朝一夕にあらず。日々の積み重ねによる魔力量の増大やせいみつな魔力コントロールを強いられる。いままで魔法とは無縁だった、ユリにとって、族生が付与された物を媒介とすることで、その苦労を減らしていたのである。
「もっと、魔法が使えるようになりたい。そしていつか魔法槍士と呼ばれるかもね、えへへへ」
妄想で顔がだらしなくなると、行動力は人一倍あるユリは、早速魔法の練習を終えると、物が集まる王都の商業区で聖属性が付与されている物を、これでもかと集め出した。
「えへへ、これでもっと魔法が強くなるぞ~」
そうして、どんどん装飾物が増え、魔法の撃てる数は増えていった。しかし、肝心の自力がないため魔法の威力は微々たるものしか増えなかった。そのことを知らない魔法素人のユリは、ふたたび聖属性の媒介となるものを集め始めた。
この連鎖を繰り返しているうちに、ほとんどの物をユリが集めてしまったのである。
そうして
「ここにもない・・どこにあるのおおおお」
ユリは街をふらふらと歩いていた。
「お、こんなとこに居やがったか。じゃらじゃらしすぎて一瞬ユリじゃないと思ったぜ」
「お、グランツにロイか、なんだかさっぱりしてるね」
「さっきまで銭湯にいってたんだ」
「ユリは、何してんだ?なんだかやつれてるように見えるんだが」
「あー、ちょっとね・・・聞いて貰って良い?」
グランツとロイは一瞬顔を見合わせて「もちろん」と頷いた。
酒場「ゴールドラッシュ」にてユリとグランツとロイは、ユリのこれまでのことを聞いていた。
「なるほどな、で、いくらぐらい使ったんだ?」
「へ?・・・いや、あははは」
「あはははじゃなくて、相当な額だろ。数だけでもまぁまぁするけど、聖属性なんて珍しい物はもっとするだろう」
「その・・・あの・・・・2000万」
ユリは、しどろもどろに濁しながら、最期に二人から視線をずらしボソッと呟いた。
「・・・・・・こんの馬鹿野郎」
「・・・・・・それは、馬鹿だねぇ」
二人は一瞬何を言ってるのかと間を置いたが、理解し始めると、二人して嘆いた。
「あのなぁ、先に行っとくけど、魔法は何処まで行っても自分自身なんだよ・・・・・・」
それから魔法士として一家言あるロイのお説教が始まった。ユリはみるみる小さくなっていって、グランツは子どもを見守るような目で、新しくお酒を頼んだ。
「ううぅ、じゃあね皆。今までありがとう!」
ユリは、装飾具屋に来て、装飾品を売っていた。そのユリの後ろには、のほほんとしているグランツと、鬼の形相で監視するロイがいた。
「よし、そしたら、実際に魔法を教えてやろう」
「ありがとう、ロイ。頑張って魔法槍士になれるように頑張るよ」
そうして三人は仲良く森でモンスターを狩りにいった。
ちなみに、ここからしばらくモンスターを森で全く見かけなくなったと、冒険者ギルドの中で異変が起きたと噂になっていたのはまた別の話であった。
「うーん、お礼かぁ、何が良いかなぁ」
キールは、三人と入れ替わりで酒場ゴールドラッシュに来て、保安局からのお礼の内容を考えていた。
キールは銭湯の後、会社に戻るとエリーナから手紙を預かっているとのことで、その手紙の中身を読むと、グランツとロイのおかげで王国は救われたと、そのお礼がしたいとのことらしい。
そういうのは、ちゃんと本人に還元するべきだよなぁ。社長として社員の評価は正当に行わないと・・・
お金はちゃんと払ってるから余ってるだろうし、武器も最高級の物を使ってて手になじんでて相棒だとか言ってたし、うーん何が良いんだろう。
「珍しい物とかかなー。美味しい物、綺麗なものは・・・ないな」
お金が一番確実で簡単な見返りであるのに、素直な気持ちでキールはそれを受け取らなかった。
「珍しい物?」
「おいしくて、綺麗じゃないもの?」
「一体今度はなんのヒントだ?」
「まて、おいしいが味覚かどうかも分からないぞ」
ゴールドラッシュに集まっている各ギルドの情報伝達係はキールの言葉に振り回されてばっかりであった。
そうだ!二人ともお酒好きだから、珍しいお酒を貰って宴会でもしようかな。社員旅行とかしてお酒でも飲みたいなぁ。
そんなことを妄想して気持ちよくお酒を飲んでいるキールは周りが慌ただしくしていることなど気づくよしもなかった。
「さて、そうと決まれば早速行動だ」
その言葉に周りは再び驚かされた。なぜならキールという男はその頭脳をもってして行動に移す男であり、自ら動くことは滅多にないのだ。
「一体何が起こるんだ・・・」
周りの冒険者達は、かってに事をおおきくしていった。
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