配達屋はうまくいく!~何もしてないのに勘違いされて国の重要人物!?~

一色3世

文字の大きさ
上 下
6 / 45

ユリ

しおりを挟む
・番外編です。読み飛ばしても大丈夫な内容です。本編五話で委員長が響介に語っていた、中学の頃の律の話です。
・律と沢根の一人称視点で交互に語られるので少し読みづらいかもしれませんが、一人称「僕」が律、「俺」が沢根です。



 あれは中学三年の秋のことだった。当時僕が通っていた中学は、毎年十月に合唱コンクールが催されていた。普段なら学校行事の合唱なんかにそれ程意欲を持つ生徒はおらず、適当にやり過ごすのが恒例の行事だったのだが、その年、三年の僕のクラスは卒業前ということもあって妙に活気付いていた。
 僕のクラスの課題曲は“空駆ける天馬”だった。空駆ける天馬は混声三部構成のため、男子は全員が同じパートを歌う。僕は低い音程を周りに合わせて上手く歌う自信がなく、こっそりと声を出さずに、口だけをそれらしく動かして、歌うふりをしていた。いわゆる口パクというやつだ。周囲のクラスメイトは揃って知らんふりでもしているのか、それとも本当に誰も気づいていないのか、僕が声を出していないことを咎める者は誰もいなかった。
 一年や二年の頃は男子の殆どに意欲がなく、それを女子が徒党を組んで咎めるという光景が散見されていたが、どうやら今年の僕のクラスに限っては、珍しく男子の方がやる気らしい。周りのクラスメイトが各々声を張って響かせる中で、僕は一人だけ唇を金魚のように開閉させながら、この行事が早く過ぎ去ることばかりを願っていた。

---

 最後なんだからさ。そう言い出したのは、俺の後ろの席でいつも授業中に昼寝や落書きなんかをしている、とても真面目とは言い難い友人だった。
 これは後から知った話だが、そいつは高校には進学せず、中卒で家の仕事を継ぐことが決まっていたらしい。三年のクラスメイトは進学先も散り散りで、卒業したらもう顔を合わせないであろう連中もいる。「確かにそうだな」と俺が適当に相槌を打つと、周りの友人達も波紋を広げるように頷き始めた。
 合唱コンクールなんて絵に描いたような真面目な行事は、正直俺は好きじゃなかったし、大抵の男子生徒は同じことを考えていた。けれど改まって“最後だ”と言われると、何故かその退屈な行事が急に特別な物に思えてきたのだ。実際に俺たちが一丸になって歌い始めると、それまでふざけていた他の連中すら急に真剣になり始めて、やがて不揃いだった歌声が一つに纏まり始めた。
 練習を重ねるごとに合唱の質が上がっていくことに、次第に俺たちは高揚感を抱き始めた。気づけば俺のクラスは全員が放課後に他のクラスよりも長く居残るほど、合唱コンの練習に夢中になっていた。
 ただ一人、椀田の奴を除いて。
 妙な因果というものはあるものだ。俺はいけ好かない事に小学校の頃からこいつと幾度も同じクラスに属し、中学最後の年まで椀田と同じ教室の空気を吸う羽目になっていた。
 練習中、俺の前に立っている椀田はあからさまなくらいの仏頂面で、それこそ死んだ魚のような濁った目をしているくせに、生きた金魚みてえに口ばっかパクパクしやがって、まるで自分だけが違う世界にでもいるかのような様相だった。一人で周りと違うことをしているのに、恥なんかちっとも感じないのだろう。隠す気すらないのが手に取るようにわかるほど、明確な“フリ”をしていた。
 こいつはいつだってそういう奴だった。周りがどんな空気だろうとお構いなしで、常に自分一人の世界に篭っている。俺は椀田のそういう所が心底嫌いだった。
 たとえば何故それが気に食わないのか、もっと明確に説明しろなどと言われたとしても、俺は上手く言葉には纏められないだろう。が、嫌いなんて気持ちは所詮感情だ。理由なんか説明できなくても、俺は兎に角この椀田律という野郎が気に食わないのだ。ガキの頃にこいつと口喧嘩をしたなんてのは、ただのきっかけに過ぎない。口喧嘩から数年が経った今でも、俺は椀田のことが嫌いで嫌いで仕方がなかった。
 好きの反対は無関心とはよく言ったもんだ。俺以外のクラスメイトはみんな、椀田の口パクなんか知ってても何とも思っていないのに、俺だけは苛立ちを抑えられずにいた。それが顔にまで出てしまっていたのだろう、仲の良い友人から「一人くらい歌ってなくても大丈夫だろ。邪魔されてるわけじゃないんだから」と諭されて、俺はますます自分が惨めに感じた。
 嫌いな奴のことなんか気にするだけ無駄で、わざわざ苛立つほうがずっと損で馬鹿げている。中学三年にもなれば、たとえ子供だろうとそのくらいは学習していた。現に周りのクラスメイトはもう椀田のことを“そういう奴だから”と諦めているし、椀田の方に至っては、俺のことなんかちっとも気にかけていやしない。
 俺ばかりが未だ一方的にあいつを意識して、勝手に一人で苛立ち続けているのだ。その事実が、ますます俺の腹底を煮えたぎらせていた。

---

 合唱コンクール本番の、一週間ほど前のことだった。僕のクラスの伴奏担当だった女子生徒が、急に体調を崩したらしい。朝のホームルームで担任がそう告げると、教室はひそやかに騒ついた。
 僕のクラスの伴奏担当は、ピアノを弾ける人物が他にいないという消極的な理由で決まったものだった。それはつまり、代わりに弾ける人物がいないことを意味していた。何人かのクラスメイトが、担任に練習がどうなるのかを尋ねると、彼は残念そうな顔で「暫くは休みになります」と告げた。
 教室の騒めきが大きくなった。それまで珍しくあれだけ活気付いていたのだから、当然の反応だろう。本番直前のタイミングで急に練習ができなくなると、今までの努力は水の泡だ。担任は音楽教師に代奏を頼んでみると話していたが、正直その案への期待は薄かった。
 放課後になるとやはり担任は申し訳なさそうな顔をして、音楽教師はコンクール本番へ向けた他の仕事で手一杯であることを説明した。伴奏担当の体調がいつ回復するかもわからない。教室はもう騒つくでもどよめくでもなく、ただ納得した様子で落胆した空気に満ちていった。
「なあ、お前ピアノ弾けたりしない?」
「無理だよ。俺ピアノなんかドレミの歌しか弾けないよ」
「だよな。俺なんかドレミすらわかんねぇや」
 隣の席の男子生徒が、未だ諦めきれないのか小声でそう交わすのが耳に入った。後ろの方からは「こうなるなら、真面目に練習なんかしなきゃ良かったな」という嘆きまで聞こえてきた。
 昨日まで活気で溢れていた教室じゅうが、一転して失望で埋まっていく。そのあまりの居心地の悪さに耐えられず、僕は思わず右手を挙げていた。
「すみません。あまり上手くはないですけど……」

---

 あまり上手くはないですけど。などと悲観的な保身に走っておいて、椀田は楽譜を少し見るや否や鍵盤を軽々しく叩き始めた。その演奏は“上手くはない”なんていう謙遜には、微塵も似つかわしくないものだった。椀田は数分ほどピアノを弾くともう譜面を覚えてしまったらしく、楽譜を閉じて姿勢を正し「お願いします」と呟いた。
 椀田の唐突な行動に、クラスメイトの過半数がどよめいていた。なんたって、常日頃から明らかに一人だけやる気がないことを、咎められすらされないような奴だ。“そういう奴”が自らピアノの代奏者に立候補したとなれば、驚くのが自然な反応だろう。無論、俺だって困惑していた。
 指揮担当の生徒が合図を送るのを見やりながら、椀田は伴奏を弾き始めた。ごく自然に、さも当然そうに慣れた手つきでピアノを弾く椀田の姿に狼狽えながらも、クラスメイト達は皆後に続いて歌い始めた。呆けていた俺も、慌てて一小節後に続けて歌い出す。
 異様、または不可思議としか言いようのない気分だった。俺は小学校の頃から幾度も椀田と同じ校門をくぐってきたが、今まであいつがピアノどころか、楽器を弾けるだなんて話は聞いたことがなかった。ただあいつのことは、俺より賢くて、俺より裕福で、俺より容姿が整っていて、俺より成績も良くて、俺より家族に恵まれていて、俺が欲しているものを全て持っているような奴で──その程度にしか考えていなかったのだ。
 椀田の伴奏は完璧だった。その証拠に練習を終えると、早速クラスメイトの一人が「本番も弾いてくれ」と直談判し始める程だった。それほど整った旋律だった。あまりにも美しい弾き方だった。
 俺は胃の底の辺りに、再びかっと熱が込み上げてくるのを感じた。

---

 歌い終えた男子生徒の一人から、好奇的な表情で「本番も弾いてくれ」と頼まれて、正直悪い気がしなかったわけではない……と言えば嘘になる。
 けれど僕はかぶりを振った。あくまでもこれは練習だから、という前提ありきの演奏だった。自宅で一人、ただの趣味として弾いている時と同じで、『失敗しても構わない』という保険がなければ、僕はまともに鍵盤を叩くこともままならないのだ。練習とはいえクラスメイトの前で演奏できたことすら、僕にとっては奇跡のようなものだった。
 実際先程の自分の伴奏を振り返れば、あれは無事に弾き終えることにばかり必死で、ただ正確なだけの、気持ちの籠っていない演奏だったと評価をせざるを得なかった。合唱の伴奏なら、正確なだけでも充分かもしれない。しかし僕の場合に限っては、この矮小な精神性が誘因し、舞台に立ってしまうとその正確さすら危うくなるのだ。その程度の分際が壇上に上がるなど、無謀も甚だしいだろう。
 別にこの程度は上手くない。本番なら僕はもっと下手になる。だから弾けない。そう言い放って僕が拒否すると、男子生徒は大層気を悪くしたらしく、拗ねた様子で退いていった。話が長続きするのが嫌で、あえて嫌味な言葉を選んだのだから、当然の流れだった。
 後方で「これだから椀田は」と自分を揶揄する声が聞こえて、僕はひっそりと肩を震わせた。
 人に嫌われるのも、失望されるのも、頭ではもはや慣れきっているつもりだった。けれど未だ心の方は追いつかないらしい。胸のあたりが重くなるのを感じて俯くと、不意に横から声がかかった。
「ねえ、椀田くんだよね」
 僕は黙ったまま顔だけを声の方へ向けた。女子生徒が柔かな笑みをたたえて、僕の席の横に立っていた。僕が返事もせずに硬直していると、彼女は笑みを緩めながら話を続けた。
「急にごめんね。さっきの伴奏、凄く上手かったから……」
「別に上手くはないよ」
 僕は敢えて彼女の言葉を遮った。こうすれば彼女も僕に失望して、離れてくれるだろうという算段だった。
 しかし、どうやら彼女は例外のようだった。
「うん、そっか……さっきも田中くんとそんな話をしてたもんね。もちろん本番までお願いをするつもりなんてないよ。けど、あの演奏は良かったよってことは伝えたかったの」
 女子生徒は再び笑みを作った。いかにも人から好かれそうな、愛嬌のある仕草だった。「そう」と僕は正反対に全く愛想のない返事を突きつけたが、それでも彼女はさらに話を続けた。
「だから、ありがとう椀田くん。弾いてくれて……」
 彼女の唐突な感謝に、僕が否定や反応を返すよりも先に、帰り際の女子生徒達が「飯野さん、早く帰ろう」と彼女を急かすのが聞こえた。
「飯野さん、呼ばれてるよ」
 僕はそれだけ言ってから再び俯いて、押し黙った。飯野さんは「うん。ありがとう。じゃあね」と二度目の謎の感謝を述べてから、僕から離れていった。
 僕はああいう手合いはどうにも苦手だった。優しい人にはこちらが冷たくすればするほど、罪悪感ばかりが募ってくる。そんな自分勝手で浅ましい考えが脳裏をよぎって、僕はますます気が重くなった。

---

「だから言ったろ委員長、椀田なんかに話しかけない方がいいって」
 廊下を歩く委員長──こと飯野の背に向けて、俺は思わずそう声をかけた。飯野は振り向くと、歯痒そうに苦笑した。
「あはは、そうかも。私、椀田くんに邪魔しちゃったみたい」
「そうじゃねえよ。どっちかっつうと、邪魔されたのは委員長の方だろ」
 俺がかっとなって言い返すと、飯野はやはり困った様子で「そうかなあ」と呟いた。飯野の隣に並ぶ女子生徒が続いてフォローを入れる。
「そうだよ。あんな突き返し方する子に、わざわざ感謝なんか言わなくていいよ」
「勿体ないよね、椀田くん。顔は綺麗だし、お金持ちらしいのに」
「ねぇ。あの性格は流石にちょっと、ね」
 気づけば話の軸が逸れていき、女子生徒達は椀田を肴に井戸端会議を始める始末だった。俺がため息をつくと、飯野がぽつりと呟いた。
「椀田くん、悪い子じゃないと思うんだけどな」
 俺はうっかり舌打ちをしそうになって、抑えようと歯を食いしばったのを、誤魔化そうと戯けて笑ってみせた。
「委員長。あんた、とんだお人好しだよ」
 てめえは性善説信者かよ。本当はそう言いたかったのを、なんとか堪えた。この人の良すぎる女子には、その言い方はあまりに辛辣すぎるだろう。そう選び直したところで、それでも俺の口から出るのは皮肉めいた台詞だった。
 飯野はそんな俺にすら、相変わらず気の良い笑みを向けてくる。
「沢根くんもありがとう。心配してくれて」
 やはりこいつはとことん人を見る目がないらしい。恐らくこの苦笑いはもう誤魔化せなかっただろうが、彼女のような善人は俺の真意になんか気づくはずがないだろう。
 胃の底が、焼け爛れたようにひりつくのを感じた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。 けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。 というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない? そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。 小説家になろうでも掲載しております。

【完結】追放された実は最強道士だった俺、異国の元勇者の美剣女と出会ったことで、皇帝すらも認めるほどまで成り上がる

岡崎 剛柔
ファンタジー
【あらすじ】 「龍信、貴様は今日限りで解雇だ。この屋敷から出ていけ」  孫龍信(そん・りゅうしん)にそう告げたのは、先代当主の弟の孫笑山(そん・しょうざん)だった。  数年前に先代当主とその息子を盗賊団たちの魔の手から救った龍信は、自分の名前と道士であること以外の記憶を無くしていたにもかかわらず、大富豪の孫家の屋敷に食客として迎え入れられていた。  それは人柄だけでなく、常人をはるかに超える武術の腕前ゆえにであった。  ところが先代当主とその息子が事故で亡くなったことにより、龍信はこの屋敷に置いておく理由は無いと新たに当主となった笑山に追放されてしまう。  その後、野良道士となった龍信は異国からきた金毛剣女ことアリシアと出会うことで人生が一変する。  とある目的のためにこの華秦国へとやってきたアリシア。  そんなアリシアの道士としての試験に付き添ったりすることで、龍信はアリシアの正体やこの国に来た理由を知って感銘を受け、その目的を達成させるために龍信はアリシアと一緒に旅をすることを決意する。  またアリシアと出会ったことで龍信も自分の記憶を取り戻し、自分の長剣が普通の剣ではないことと、自分自身もまた普通の人間ではないことを思い出す。  そして龍信とアリシアは旅先で薬士の春花も仲間に加え、様々な人間に感謝されるような行動をする反面、悪意ある人間からの妨害なども受けるが、それらの人物はすべて相応の報いを受けることとなる。  笑山もまた同じだった。  それどころか自分の欲望のために龍信を屋敷から追放した笑山は、落ちぶれるどころか人間として最悪の末路を辿ることとなる。  一方の龍信はアリシアのこの国に来た目的に心から協力することで、巡り巡って皇帝にすらも認められるほど成り上がっていく。

処理中です...