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辻 欽一

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3章 沖田畷の戦い

03 出陣

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   時は戦国、一五八四年――天正(てんしょう)十二年の春。

 島原半島を統治していた国人、
有馬氏が其れまで従属していた龍造寺から離反した。

 理由は色々だか、
一番はここ最近の龍造寺が内通疑わしき家臣を大量に粛清したため、
疑いをかけられた有馬氏は離反したのだろう。

 一方、龍造寺はこれを機に有馬氏を滅ぼし、
島原半島を我が物をすべく出兵した。

  此処で島津側に問題が生じる。
島津と龍造寺は長年敵対関係であり、龍造寺に島原半島を制圧
されると戦略上とても厳しくなる。

 有馬氏としてもこのままでは龍造寺に滅ぼされるのは必定。

 有馬氏は島津側に援軍を要請。

 軍議により島津家久(しまずいえひさ)が派遣されることになった。
家久の軍には、川上氏の忠堅親子、
そして桃華が扮(ふん)している川上久貞も従軍していた。

 ここは島津方の陣の内、
兄の命で肥後八代(ひごやつしろ)(熊本県南部)を立って数日―――。

 海を渡った島津家久の軍勢は島原半島の南岸に上陸していた。

 夕餉(ゆうげ)を終えて半時、主な将が集まり軍議を重ねている。

 方針は野戦と決まっていたが何処で仕掛けるかを諸将が論を張っていた。
その一番奥に見えるのは家久と一人の侍大将、
見た目は二十前半といったところだろうか名を川上久貞と云う。

 久貞は軍議の最中にあった―――。

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