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3章 沖田畷の戦い
01 武家屋敷
しおりを挟むゆさゆさ―――ゆさゆさ―――ゆさゆさ―――。
「……おい、……主よ、いつまで寝ておるのだ―――??」
ん……いたた……。頭がズキズキする。またぞろ着地をミスって昏倒したか。
まったく……、実体があるとこれだから……。
私は目を覚ますと、こめかみの辺りにコンコンと軽く手を当てた。
が、まだ頭痛は治まらない。小梅は私の傍らにちょこんと座り、
私は四畳ほどある板の間に寝転がっていた。
多分、ここが今回の私が演じる者の部屋なのだろう。
少しして、頭痛も治まったので小梅に現状を訊いた。
「小梅、今は―――?」
と、訊くと、直ぐさま答えが返ってくる。
まー、私達は見る者が見れば二人に見えるが、
心も体も私が主で、小梅は私が神として在るのに必要な通力を供給してくれた初代神様なのだ。
なんでも素は白い大蛇だったとか……。
まあ、その話はまたいずれ。
「ここは川上の屋敷じゃ、満月の夜で、梅はもう散ってしまったのう……。
それと、人払いの術を施してあるから卯の刻(朝の六時ごろ)までは自由が利くはずじゃ……」
となれば、この真っ暗な部屋に籠もる必要もない。私は襖を開けて外にでた。
襖を開けると廊下を隔てて、広くはないが中庭がある。
察するに、この部屋は客間だ。
「そんなことはどうでもいい」と思うだろうが、
これは私がこちらで演ずる役の重要なファクターになる。
今回は、川上忠堅の遠縁といったところか。それだけ分かればもう十分。
私は、軒に腰をかけて夜空を見上げた―――。
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