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〈十二〉
しおりを挟む「じんじん、します」
「す、すまん。――しかし何だ、よい眺めだというかその、あの」
乳房のなかでも乳首というのは赤子に乳を吸わせるためのものなのであって快楽を得るためのものではない。貴人の御たねをいただくための作法書にも乳をいじるだのいじられるだのは載っていない。だから自分でもいじったことはないし、まして他人にいじらせたこともない。
まさか、こんなところで快楽を得るとは。
山の湯でさんざんいじめられたるいの乳首は熱を持ち勃ちあがったままもとに戻らなくなった。鶏に餌をやる間も、洗濯をする間も水汲みをする間も、勃ちあがった乳首が袷の裏地とすれて気になる。冬着の袷であれば外からはあまり目立たないが、寝間着に着替えると乳首のかたちが透けてしまう。
「具合が気がかりだ。見せてくれ」
夜、奥の間で勝五郎が腹の上に載せたるいを見上げた。
「厭でございます」
「ああ、いじけるるい殿も愛らしいな」
「んな、っ、何を――ひゃ」
尻たぶの間を剛直がごりり、と撫で上げる。
「いつの間に、こんな……」
「るい殿といっしょの間は、いつも」
片眉を上げにや、と笑む勝五郎をるいはむ、と睨んだ。
する、る。
熱い塊が互いの肌の間に潜り込む。
勃ちあがり先走りをすりつけながら戯れかかる肉棒から逃げようと身を捩るうちに、寝間着の衿が乱れた。片方の乳が勝五郎の鼻先にこぼれた。ぷっくり勃ちあがった乳首を吐息がなぶる。
「おお、勃っている」
「……んっ、むずむず、します……」
「乳首も、愛でつづければ快楽を極めることができるそうだ」
「お詳しいのですね」
るいは勝五郎と見つめ合った。
かた、た。
風が雨戸を鳴らす。行灯の小さな明かりにぼんやりと浮き上がる逞しい勝五郎の胸がゆるやかに上下し、大好きな香ばしい肌の香りがほのかに立ち上る。この香りに、繊細に肌を撫でる指に唇に、秘唇を擦りあげる肉棒に溺れた女がかつていた。
羨ましい。そして信じがたい。
このぬくもりに包まれともに快楽に耽りながらそれを手放すことができたなんて。
しかし、日々刻々と募る「このひとが貴人であればよかったのに」という思いを持てあます自分も――明日ではなくてもきっといつの日か――、勝五郎の過去となり薄らぐ影でしかない。ぐるぐると胸の裡をめぐりふくらむ思いが弾けそうになる。その刹那、るいの視線を受けとめたまま勝五郎は
「るい殿の師だからな」
ほろ苦く笑んだ。
目は合わせたまま、でもいってほしいことはいってくれない。
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