錦秋

uca

文字の大きさ
上 下
9 / 28

〈九〉

しおりを挟む

「こらえてはならぬ」
「でも、……はしたない声が、出てしまいます……」
「かまうものか。さ、口を開けて」

 左腕を添え木で固められ、右腕をるいの腰にまわして両手が塞がっているからであろう。口づけで促された。

「ん、んぁ、あの、っ、あのっ、お口なのです、か? その、あそこ、に指でなく……」
「うむ。まず口を吸う」
「なぜ、なのでしょう、か……」
「気持ちよいからだ」
「口を吸うと、貴人さまが気持ちよくなるのですか?」
「――貴人なる者はともかく、るい殿はどうだ」

 ちゅ、ちゅ。
 勝五郎がまた口づけてきた。ついばむように厚い唇にふわりと包まれる。

「気持ちいい、かも……」
「それでよい。目合まぐわおうとすれば、痛みは避けて通れない。――なればこそ、痛みでなく先に快楽を覚えるのだ」
「かい、らく……」
「そうだ。――舌を出して」

 いわれたとおりぺろ、と舌を見せる。子ども同士の面罵めんばてい面映おもはゆい。が、すぐに面映ゆいどころではなくなった。
 初めはゆっくり舌で互いを撫で合って控えめにはふはふと息を荒らげていたのみだったが、勝五郎の舌の動きはどんどん大胆になっていく。
 じゅぶ、じゅぶぶ。
 どちらのものともつかないよだれがはしたなく水音を立てる。舌が触れあい絡み合うたびにしゅわしゅわと体の奥深いところが泡立って、もどかしくいたたまれなくなる。かくかくと体が小刻みに震え、口中を我が物顔に蹂躙する勝五郎の舌に歯を立てないようにしようとすれば自然、口を閉じることはかなわない。自分の鼻にかかった甘えた声が部屋の壁に跳ね返りみだりに大きく響くのが恥ずかしい。

「しょ、勝五郎、さま、……んっ」

 るいは泣きそうになっている。実際目に涙をたたえてもいる。

「男は、自分の手で女が感じ入るさまに喜びを見いだすものだ」
「しょ、ごろう、さま、は……?」
「気持ち、いい。るい殿が俺の腕の中で乱れれば、乱れるほど」

 ぶじゅ、じゅう。
 唇からあふれたものを、ひくひくわななく胸もとから厚い舌でれりれりと舐めあげ、勝五郎はきつくるいの白い喉を吸った。

「あっ、やああっ――あん」
「厭か、るい殿」
「ん、んううんっ、厭じゃ、ありません……っ、もっと」

 るいはきつく目を閉じおとがいを上げ、背中をしならせた。無防備に喉を晒す。勝五郎が
 ちゅ、ちゅ。
 喉から首筋を、唇で吸いながらのぼり

「――こう、か?」

 るいの耳に囁きかけながら舌を這わせた。

「そこも……、ん、いい、……ん、口を、ん、ぁ」
「来ませい」

 唇と舌が触れあう。
 いわおのように大きく、鍛え抜かれて険しい体つきなのに、唇はやわらかい。触れあってぽってりと熱くふくらむそのやわらかさにうっとり溺れる。結局るいは奥の間へ戻り、唇と舌で戯れ合い勝五郎とともに眠った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...