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〈十一〉
しおりを挟む大助の腕は太く逞しく、容易に自分を害することが可能だ。出会ってからの時間は信頼を醸成するには短く、体格差からくる根源的な懼れを拭うことはできない。
でも珠緒から快楽を引き出そうとする大助の指はやさしく、忍耐強い。ゆっくり、ゆっくり変わらぬペースで蜜をまぶしたクリトリスを包皮の上からくちゅくちゅと撫でつづける。少しずつ、少しずつ理性が削がれていった。
「かわいい。珠緒さん、きれいだよ」
恥ずかしい。もどかしい。切ない。
悟は自分のはしたない姿にきっと呆れている。
珠緒は目を閉じた。
アルバイトからの帰り途、悟からの初めての告白。大学での初めての待ち合わせ。映画館での初めてのデート。悟の部屋で初めてのキス。初めてのセックス。初めてのことばかりだった悟との日々、喜びを遠くへ押しやった。
「だいすけ、さん」
振り返る珠緒の微笑みに応え大助が唇をほころばせる。
「へんに、なっちゃいそ……」
「いいよ。変になって、いいんだよ」
あたたかな指が
ぷ、ちゅ。
焦らされつづけたクリトリスをゆっくりと圧し潰した。フードから顔を出した肉の粒が濡れた指で直に愛撫されて
「ひ、ぁ、っん、んんん、……っ!」
珠緒は鋭い快楽に沈んだ。
「お洋服、汚しちゃってごめんなさい……」
大助のデニムパンツに、珠緒の秘所からこぼれた蜜がじっとりとしみている。
「着替えあるから平気。気にしないで。ここ、俺んちだし」
快楽の余韻で疼く体をぐったりとソファに委ねる珠緒に口づけ、大助はデニムパンツと下着を脱いだ。
「……」
大きい。見たこともないほど太く長い陰茎が股間に生えている。
勃起している陰茎の比較対象は悟のものだけだが、形は似ていても同じものとは思えない。
悟のものですら初めてのときは恐怖したものだ。あれをはるかに凌ぐ怒張が人間の体内におさまるだろうか。そのくらい凶悪なサイズにに見えた。
――大助だったらだいじょうぶっていうか。
なるほど。
悟は大助の忍耐や倫理観でなく、簡単に挿入できないブツの大きさに信頼をおいているわけだ。
ローテーブルの向こうでふたりを見ていた悟が
「大助、まさか珠緒にそんなもん、挿入れないよな? な?」
半べそをかいている。
「やめてくれよ。悪かったよ。珠緒ががばまんになっちゃったらオレ、できなく――――」
涙声に一瞬、視界が白くなった。
怒りがこみあげる。
「心配無用。私のあそこががばがばになろうがどうなろうが、悟には関係ない。もう別れてるんだから」
「そ、そんな、珠緒! オレはまだ――」
「気持ちはありがたいが、悟のいうとおりだ。無理はいけない」
珠緒の隣に肩を落とした巨体がしょんぼりと腰かけた。
「怪我をさせたくないから、中はいいんだ。もうお仕置きは十分だろう? ――悟、ちゃんと謝って許してもら――」
すっく、と珠緒は立ち上がった。大助に向き直りスリップを脱ぎ捨て裸になる。そして片足を上げソファのアームに
どっか。
載せた。
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