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スタージョ (一)
しおりを挟む夢を見ていた。
甘い夢だったのに、手応えは何も残っていない。両腕でかき抱こうとしてラーシュ・ヨハンソン=ver.2(アナスタジオ)、スタージョはもがくように手足をばたつかせて目覚めた。ひりひりとした切なさ、もどかしさに肌を灼かれるようだ。
移民船が到着した惑星のスペースポートで目覚めたスタージョを診察した医師は
「複製人格を作製した義体にインストールした際に起きるちょっとした違和感でしょうね。よくあることです」
明るく言い放った。
「今後は減ると思いますよ。ただひょんなことで――コールドスリープ明けとかぶり返すかもしれませんがじきに慣れるでしょう」
「なるほど」
「おお? ――っと医師免許お持ちじゃないですか。じゃあお分かりでしょう」
「いや、免許は――二百年前になりますか、地球でオリジナルが取得したものですので」
「あっそうか、複製体特有の症例には馴染みがないってことですね」
そりゃそうだ、初めてですものね、と医師は屈託がない。健康に問題なし、と解放されてスタージョはスペースポートの移民相談所の待機列に加わった。そこで
「ヨハンソンさん、これからどうしたいですか」
訊かれてスタージョは首を傾げた。
「人を探すつもりです」
「あてはありますか?」
その惑星で籍の仮登録を受け付けてくれた移民相談所の職員に心配されたが、スタージョに迷いはなかった。
クロエを探しに行く。自分はそのために生を享けた。
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