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3 王子殿下の魔剣編
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各部門の決勝戦が順番に行われていく。
決勝戦の順番が遅い方が、序列が上ってことになるんだよね。
買い食いであれこれ買ってきたうちの一つ、スティック状の揚げイモを口に放り込み、私はセラフィアスたちと決勝を観戦していた。
揚げイモや揚げた白身魚に揚げた鶏肉、焼いたソーセージは人気の品だ。
あちこちで人気の食べ物を片手に、もう片手には酒杯を掲げて、観戦する人の多いこと。中には完全に酔っ払っている人たちもいる。
そんな酔っ払い集団から離れるようにして、私は座っていた。私の周囲は後援家門の騎士で固められている。
男性の騎士だけでなく、女性の騎士もいて、居心地はそれほど悪くない。
そして、こちらは酒杯ではなく、絞った果汁で揚げイモをせっせと食べる。うん、美味しい。
眼下の試合場では、一般成人男性三十歳以下の部の決勝戦が始まろうとしていた。
決勝を戦う二人の男性を見て、思わず、目を疑う。
「凡人部門の決勝が、まさかのカスカス対決だなんて」
そう。入場門から入ってきたのは、くだんのカス王子にカス大公子だったので、会場全体がどよめいた。
「主、あいつらは凡人だが、部門名は凡人の部ではないぞ」
セラフィアスは普通の反応。
ゴソゴソと何かを見ている。
「知っててわざと、凡人呼ばわりしてるんだよ。分からないのか、セラフィアス」
続いて張り合うようなクラヴィスの声。
なんと、クラヴィスまでも顕現しちゃってるんだよね。
おかげで、私の右にはセラフィアス、左にはクラヴィスという配置が出来上がっている。
クラヴィスは、この前、フルヌビのタルト消失事件に関わった杖精のひとり。
クズ男が作り出した白髪の杖精が一連の事件の犯人で、クラヴィスはこの杖精を抑えるため、陰で活動していた杖精だった。
白髪の杖精はけっきょく破壊され、クラヴィスの方は、私の隣で真っ当な杖精生活をのんびり楽しんでいる。
クラヴィスは、私と同じく、絞った果汁のカップを片手に決勝の試合を観戦。私のカスカス発言を聞き、何か引っかかったようで、頭を斜めに傾けた。
「それにしても、あの二人のどこがカスなんだ? 性格が? それとも性的嗜好?」
クラヴィスの発言に間髪入れずに、セラフィアスが抗議をする。
「なんて言葉を主に教えるんだよ。おまえもカスだろ、クラヴィス」
どうやら、セラフィアスはクラヴィスの性的嗜好発言にカチンときたようだ。普段から生意気に見える目を、キュッと釣り上げている。
「いやいや、こういうことは早くから覚えておいて損はないから」
「いやいや、そういったことは恋人や伴侶に教えてもらった方がいい。問題が起こりにくいだろ」
うん、私だって成人してるし。男女のあれこれに疎くもないし。私だって、そんなに世間知らずではないと思うのに。
「二人とも楽しそうだね」
それでも、箱入り娘扱いして大事に思ってくれるのは、家族のいない私にとってはとても嬉しいことだった。
「そんなことより、あれよあれ。カス王子対カス大公子」
私は二人の言い争いを止めて、カスカスの二人を指差す。
セラフィアスとクラヴィスは私を挟んでの言い争いになっていたので、言い争いを止めてくれるか、席を替わって杖精の二人で並んで座ってくれた方がホッとするんだけど。
「今度はどっちが勝つかなぁ?」
私が投げかけた質問を聞いて、二人は言い争いを止めてくれた。よし。
最初に口を開いたのはセラフィアスだ。
ギュッと何かを握っている。
「知ってるか、主。勝敗予測の賭けもあるんだぞ」
「知ってる知ってる。さっき、王国公認のところで賭けてきた」
買い食いの買い込みをしにいった際、気になっていた賭け小屋に入ってみたのだ。
運営が怪しい賭け小屋もあると聞いていたので、私が行ったのは王国公認のところ。
アルバヴェスペルのおじさんたちが、警備と受付をしていて、丁寧に掛け方も教えてくれた。
「早いな、主」
目を丸くするセラフィアスに続いて、クラヴィスもぽかんとした顔。
まぁ、ふだん無駄遣いとかしない方だから、賭け事なんてするとは思っていなかったらしい。
「誰に賭けたんだ? あの保護者か?」
「もちろん」
クラヴィスの問いかけに自信を持って言い切る私。
魔剣の使用も可だというので、決勝でもグレイが負ける気はしない。
素手だけで勝ちそうな気はするけど、今回はあくまでも剣術大会。いちおう剣は手にして出場している。
「あの保護者、張り切ってるだろうな」
「相手はヴェルフェルムだろ? 毎年、優勝しているらしいし、大丈夫か?」
セラフィアスはさきほどギュッとしてしまった何かを、ゴソゴソと開いた。
「大丈夫大丈夫。さて、カスカス対決はどっちが勝つかなぁ」
「そうだな」
「ちなみに、前回はどっちのカスが勝ったんだい?」
クラヴィスの質問を、微妙な顔で黙って聞いてるセラフィアス。
セラフィアスが答えないならと、私が答えようと思って…………ピタッと止まる。
前回のカスカス対決は王族の地下墓地。クラヴィスは見てなかったんだっけ、あのどうしようもない対決を。
あの時って。
「…………ってない」
「は?」
そうだった。
私は果汁のカップを両手だ握ったまま目を閉じる。
「どっちも勝ってない」
「今度はどっちが勝つかな~って言ってなかったか?」
「突っ込んでやるなよ。主だって物忘れの一つや二つ、あるんだよ」
揚げ足をとるクラヴィスに向けて、セラフィアスがやんわりと擁護の弁を述べてくれた。セラフィアスが優しい。
「よく思い出してみたら、あの時は、けっきょく、私が二人とも殴り倒しちゃったから、私の勝ちだった」
「また殴ったのか」
杖精に呆れられる私。面目ない。
「またって言うなよ、またって。これが主の通常なんだぞ?」
セラフィアスの方は全面肯定。
これほど嬉しくない全面肯定も、あるんだな。自業自得だけど。ぐすん。
「そろそろ暴力沙汰は控えたら?」
「言われなくても努力はしてるわよ」
そう、努力はしてる。
「努力が結果に繋がってないのか」
した努力がなぜか威力に繋がった。ぐすん。
「それが主だからな」
「だからって開き直られてもな」
返す言葉もなかった。
決勝戦の順番が遅い方が、序列が上ってことになるんだよね。
買い食いであれこれ買ってきたうちの一つ、スティック状の揚げイモを口に放り込み、私はセラフィアスたちと決勝を観戦していた。
揚げイモや揚げた白身魚に揚げた鶏肉、焼いたソーセージは人気の品だ。
あちこちで人気の食べ物を片手に、もう片手には酒杯を掲げて、観戦する人の多いこと。中には完全に酔っ払っている人たちもいる。
そんな酔っ払い集団から離れるようにして、私は座っていた。私の周囲は後援家門の騎士で固められている。
男性の騎士だけでなく、女性の騎士もいて、居心地はそれほど悪くない。
そして、こちらは酒杯ではなく、絞った果汁で揚げイモをせっせと食べる。うん、美味しい。
眼下の試合場では、一般成人男性三十歳以下の部の決勝戦が始まろうとしていた。
決勝を戦う二人の男性を見て、思わず、目を疑う。
「凡人部門の決勝が、まさかのカスカス対決だなんて」
そう。入場門から入ってきたのは、くだんのカス王子にカス大公子だったので、会場全体がどよめいた。
「主、あいつらは凡人だが、部門名は凡人の部ではないぞ」
セラフィアスは普通の反応。
ゴソゴソと何かを見ている。
「知っててわざと、凡人呼ばわりしてるんだよ。分からないのか、セラフィアス」
続いて張り合うようなクラヴィスの声。
なんと、クラヴィスまでも顕現しちゃってるんだよね。
おかげで、私の右にはセラフィアス、左にはクラヴィスという配置が出来上がっている。
クラヴィスは、この前、フルヌビのタルト消失事件に関わった杖精のひとり。
クズ男が作り出した白髪の杖精が一連の事件の犯人で、クラヴィスはこの杖精を抑えるため、陰で活動していた杖精だった。
白髪の杖精はけっきょく破壊され、クラヴィスの方は、私の隣で真っ当な杖精生活をのんびり楽しんでいる。
クラヴィスは、私と同じく、絞った果汁のカップを片手に決勝の試合を観戦。私のカスカス発言を聞き、何か引っかかったようで、頭を斜めに傾けた。
「それにしても、あの二人のどこがカスなんだ? 性格が? それとも性的嗜好?」
クラヴィスの発言に間髪入れずに、セラフィアスが抗議をする。
「なんて言葉を主に教えるんだよ。おまえもカスだろ、クラヴィス」
どうやら、セラフィアスはクラヴィスの性的嗜好発言にカチンときたようだ。普段から生意気に見える目を、キュッと釣り上げている。
「いやいや、こういうことは早くから覚えておいて損はないから」
「いやいや、そういったことは恋人や伴侶に教えてもらった方がいい。問題が起こりにくいだろ」
うん、私だって成人してるし。男女のあれこれに疎くもないし。私だって、そんなに世間知らずではないと思うのに。
「二人とも楽しそうだね」
それでも、箱入り娘扱いして大事に思ってくれるのは、家族のいない私にとってはとても嬉しいことだった。
「そんなことより、あれよあれ。カス王子対カス大公子」
私は二人の言い争いを止めて、カスカスの二人を指差す。
セラフィアスとクラヴィスは私を挟んでの言い争いになっていたので、言い争いを止めてくれるか、席を替わって杖精の二人で並んで座ってくれた方がホッとするんだけど。
「今度はどっちが勝つかなぁ?」
私が投げかけた質問を聞いて、二人は言い争いを止めてくれた。よし。
最初に口を開いたのはセラフィアスだ。
ギュッと何かを握っている。
「知ってるか、主。勝敗予測の賭けもあるんだぞ」
「知ってる知ってる。さっき、王国公認のところで賭けてきた」
買い食いの買い込みをしにいった際、気になっていた賭け小屋に入ってみたのだ。
運営が怪しい賭け小屋もあると聞いていたので、私が行ったのは王国公認のところ。
アルバヴェスペルのおじさんたちが、警備と受付をしていて、丁寧に掛け方も教えてくれた。
「早いな、主」
目を丸くするセラフィアスに続いて、クラヴィスもぽかんとした顔。
まぁ、ふだん無駄遣いとかしない方だから、賭け事なんてするとは思っていなかったらしい。
「誰に賭けたんだ? あの保護者か?」
「もちろん」
クラヴィスの問いかけに自信を持って言い切る私。
魔剣の使用も可だというので、決勝でもグレイが負ける気はしない。
素手だけで勝ちそうな気はするけど、今回はあくまでも剣術大会。いちおう剣は手にして出場している。
「あの保護者、張り切ってるだろうな」
「相手はヴェルフェルムだろ? 毎年、優勝しているらしいし、大丈夫か?」
セラフィアスはさきほどギュッとしてしまった何かを、ゴソゴソと開いた。
「大丈夫大丈夫。さて、カスカス対決はどっちが勝つかなぁ」
「そうだな」
「ちなみに、前回はどっちのカスが勝ったんだい?」
クラヴィスの質問を、微妙な顔で黙って聞いてるセラフィアス。
セラフィアスが答えないならと、私が答えようと思って…………ピタッと止まる。
前回のカスカス対決は王族の地下墓地。クラヴィスは見てなかったんだっけ、あのどうしようもない対決を。
あの時って。
「…………ってない」
「は?」
そうだった。
私は果汁のカップを両手だ握ったまま目を閉じる。
「どっちも勝ってない」
「今度はどっちが勝つかな~って言ってなかったか?」
「突っ込んでやるなよ。主だって物忘れの一つや二つ、あるんだよ」
揚げ足をとるクラヴィスに向けて、セラフィアスがやんわりと擁護の弁を述べてくれた。セラフィアスが優しい。
「よく思い出してみたら、あの時は、けっきょく、私が二人とも殴り倒しちゃったから、私の勝ちだった」
「また殴ったのか」
杖精に呆れられる私。面目ない。
「またって言うなよ、またって。これが主の通常なんだぞ?」
セラフィアスの方は全面肯定。
これほど嬉しくない全面肯定も、あるんだな。自業自得だけど。ぐすん。
「そろそろ暴力沙汰は控えたら?」
「言われなくても努力はしてるわよ」
そう、努力はしてる。
「努力が結果に繋がってないのか」
した努力がなぜか威力に繋がった。ぐすん。
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返す言葉もなかった。
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