161 / 238
3 王子殿下の魔剣編
4-4
しおりを挟む
転送魔法陣による、四回目の移動が終わると、さすがにヴァンフェルム団長もユリンナ先輩も疲れてきたようだ。
「ルベラス君、本当に本当に本当にここで良いのかなぁ?」
「エルシア、方向音痴だったりしないわよねぇ?」
団長もユリンナ先輩も集中力が落ちてきている。
それに、地下迷宮に入ってからずっと、まったく代わり映えしない天井と壁と床を見るだけ。
いつまで経っても現場につかないので、私の案内が本当に合っているのかと、疑われてもいた。
実のところ、時間はそれほど経ってはおらず、十分もかかっていない。
狙い通り、空間感覚だけでなく、時間感覚も狂ってきている。
私は二人を安心させようと、自信を持って言った。
「大丈夫です。だいたい、分かってますから」
「「だいたい?!」」
あれ?
自信満々の『だいたい』に、二人から不満があがる。
「いやいや、そこは完璧に分かってると言おうよ、な?」
「そうよ、エルシア。いつものように、ズバッと言えばいいのに」
「え? 分かるのは、冗談抜きで『だいたい』ですよ?」
三聖の地下迷宮なんだから、だいたい分かれば楽勝だった。
それなのに。
「ひぃぃぃ。だいたいしか分からないんじゃ、下手したら迷子?!遭難?!」
「ルベラス君、来た道の目印とかは、魔力で付けてあるんだよねぇ?」
同時に騒ぎ出す二人。
「え? 私、そんな面倒なことしませんけど?」
「「ひぃぃぃ」」
頭を傾げる私を見て、団長とユリンナ先輩は失礼にも悲鳴を上げたのだった。
そして。
「よしっ。ここです」
「また魔法陣かぁ」
「七個目? 八個目?」
正確には五回移動したので、六個目。
「ルベラス君、本当に迷子じゃないんだよねぇ?」
相当、疑われてる。
仕方ないじゃないの、三聖の地下迷宮は極秘中の極秘。わざと転送を重ねて、詳細を気取られないようにしているから。
ともあれ、目指す場所にはたどり着いたし、地下迷宮に入ってから、まだ十分ほどしか経っていない。
私はセラフィアスで作る灯りを少し強くして、もう少し先まで見通せるようにした。
石作りは先ほどまでと同じなのに、石の雰囲気が変わっているのが、二人にも分かるはず。
「あ、ここって、王族の墓所?!」
「の地下にある地下墓地です」
「ずいぶん遠回りをしたような気がしなくもないんだけどなぁ。本当に近道だったのかい?」
まず最初に、ユリンナ先輩が目的地に到着したことに気がついて、ヴァンフェルム団長の方は遠回りにも気がついたようだ。
でも、私は近道なんて言葉は一切使っていない。
「え? 近道なんて言ってませんよ?」
「あれ? ルベラス君、『ちかみち』って確かに言ってたけどなぁ?」
「あぁ。『地下道』とは言いましたね」
団長が黙り込んで、自分の頭に手をかける。ようやく、私の意図に気がついたようだ。
「『近道(ちかみち)』じゃなくて『地下道(ちかみち)』。そういうことか」
「でもでもぅ、向こうから入れないんだから、こっちが近道なんでしょぅ?」
ユリンナ先輩は気がついてないようなので、私は話を変えることにした。
「そもそも、王族の地下墓地への侵入者って、どうやって分かったんですか?」
私は最初から気になっていたことを質問した。
もちろん、時間がもったいないので、侵入者の探索を行いながらだ。
すでに《探索》と《感知》用の魔法陣は展開してあるし、発動もしている。
「ルベラス君。何か気になることでもあるのかい?」
「王族の墓所ならともかく、地下墓地に侵入者だと、よく分かりましたよね。普通は侵入されたか分かりませんよね」
「まぁ、そうだなぁ」
「それに、地下墓地に侵入する前に墓所に侵入しますよね? なのに、なんで墓所への侵入者じゃないんでしょう?」
考えられることは二つ。
墓所へは正規の手段で入って勝手に地下墓地へ侵入したか。墓所に侵入されたのに気がつかず、気づいたときには地下墓地へ侵入されていたか。
後者なのが公になると、警備の近衛は相当マズいことになる。
二度も同じ場所に侵入しないだろうと気を緩めていたのでは?、とつつかれかねない。
「はぁぁぁ。王族の地下墓地の存在自体も極秘事項だし、今から話すことも極秘だからな?」
私たちに話したくはなかったようだけど、団長は諦めたのか、詳しく説明してくれるようだ。
いろいろの念押ししてきたので、ついでに私も念押しをしておこう。
「先ほど通ってきた三聖の地下迷宮も、存在自体が極秘事項ですけど?」
「………………だろうなぁ」
マズいものでも食べたような顔で、団長は相づちを打った。
「ええええええ? もしかして、私、消されちゃったりしないわよねぇ?」
「さぁ?」
とぼけてみる。
こうしている間も私の《探索》と《感知》はキリキリ働いていて、目的の人物を捉えた。
「エルシア。エルシアも一蓮托生よね!」
「いや、それはあれだなぁ」
「私、継承権、持ってるんで」
「ほぇぇぇ? 嘘よね? 冗談よね?」
「こうみえて王族なんです」
母方の祖母がね。会ったことないけど。
私の母親はルベル公爵の一人娘。本来なら私がルベル公爵の後継になるはずだったようだ。
なのに、母親が亡くなって私もいないものとされていたので、すでに、ルベル公爵の甥で私の従兄に当たる人が後継になっている。
いまさら私が「生きてました」と現れても、誰も得をしない。だからあえて名乗り出てないし、会ってもいない。
どうせ、いないものとして扱われていたんだ。このままでいい。納得はしているし、割り切ってもいる。
それでも。
あのクズ男に捨てられていなかったら、私にはたくさんの親族がいて、違った人生もあったんだと思うと、やりきれないものを感じた。
そんな私の感傷を吹き飛ばすように、ユリンナ先輩のキンキン声が耳元でする。
ずいぶんとぴったりくっついて、歩いていたものだわ。
「ヴァンフェルム団長ぅ! エルシアがおかしなこと言ってるわ!」
慌てるユリンナ先輩を見て、ヴァンフェルム団長は人の悪い笑みを浮かべた。
「ダイモス君、良かったなぁ」
「何が?!」
「ルベラス君が王太子殿下の再従妹で、王位継承権持ちだってことも極秘事項。いろいろ、詳しくなって良かったなぁ」
団長、さらに極秘事項を盛り足したよ。
ユリンナ先輩は涙目になる。
「良くないですぅ!」
「いまさら、極秘事項が一つ二つ増えたところで、どうってことないだろう?」
「どうってことありますぅ!」
「それでは、極秘の続きを話そうか」
こうして、団長の極秘な話が始まった。
「ルベラス君、本当に本当に本当にここで良いのかなぁ?」
「エルシア、方向音痴だったりしないわよねぇ?」
団長もユリンナ先輩も集中力が落ちてきている。
それに、地下迷宮に入ってからずっと、まったく代わり映えしない天井と壁と床を見るだけ。
いつまで経っても現場につかないので、私の案内が本当に合っているのかと、疑われてもいた。
実のところ、時間はそれほど経ってはおらず、十分もかかっていない。
狙い通り、空間感覚だけでなく、時間感覚も狂ってきている。
私は二人を安心させようと、自信を持って言った。
「大丈夫です。だいたい、分かってますから」
「「だいたい?!」」
あれ?
自信満々の『だいたい』に、二人から不満があがる。
「いやいや、そこは完璧に分かってると言おうよ、な?」
「そうよ、エルシア。いつものように、ズバッと言えばいいのに」
「え? 分かるのは、冗談抜きで『だいたい』ですよ?」
三聖の地下迷宮なんだから、だいたい分かれば楽勝だった。
それなのに。
「ひぃぃぃ。だいたいしか分からないんじゃ、下手したら迷子?!遭難?!」
「ルベラス君、来た道の目印とかは、魔力で付けてあるんだよねぇ?」
同時に騒ぎ出す二人。
「え? 私、そんな面倒なことしませんけど?」
「「ひぃぃぃ」」
頭を傾げる私を見て、団長とユリンナ先輩は失礼にも悲鳴を上げたのだった。
そして。
「よしっ。ここです」
「また魔法陣かぁ」
「七個目? 八個目?」
正確には五回移動したので、六個目。
「ルベラス君、本当に迷子じゃないんだよねぇ?」
相当、疑われてる。
仕方ないじゃないの、三聖の地下迷宮は極秘中の極秘。わざと転送を重ねて、詳細を気取られないようにしているから。
ともあれ、目指す場所にはたどり着いたし、地下迷宮に入ってから、まだ十分ほどしか経っていない。
私はセラフィアスで作る灯りを少し強くして、もう少し先まで見通せるようにした。
石作りは先ほどまでと同じなのに、石の雰囲気が変わっているのが、二人にも分かるはず。
「あ、ここって、王族の墓所?!」
「の地下にある地下墓地です」
「ずいぶん遠回りをしたような気がしなくもないんだけどなぁ。本当に近道だったのかい?」
まず最初に、ユリンナ先輩が目的地に到着したことに気がついて、ヴァンフェルム団長の方は遠回りにも気がついたようだ。
でも、私は近道なんて言葉は一切使っていない。
「え? 近道なんて言ってませんよ?」
「あれ? ルベラス君、『ちかみち』って確かに言ってたけどなぁ?」
「あぁ。『地下道』とは言いましたね」
団長が黙り込んで、自分の頭に手をかける。ようやく、私の意図に気がついたようだ。
「『近道(ちかみち)』じゃなくて『地下道(ちかみち)』。そういうことか」
「でもでもぅ、向こうから入れないんだから、こっちが近道なんでしょぅ?」
ユリンナ先輩は気がついてないようなので、私は話を変えることにした。
「そもそも、王族の地下墓地への侵入者って、どうやって分かったんですか?」
私は最初から気になっていたことを質問した。
もちろん、時間がもったいないので、侵入者の探索を行いながらだ。
すでに《探索》と《感知》用の魔法陣は展開してあるし、発動もしている。
「ルベラス君。何か気になることでもあるのかい?」
「王族の墓所ならともかく、地下墓地に侵入者だと、よく分かりましたよね。普通は侵入されたか分かりませんよね」
「まぁ、そうだなぁ」
「それに、地下墓地に侵入する前に墓所に侵入しますよね? なのに、なんで墓所への侵入者じゃないんでしょう?」
考えられることは二つ。
墓所へは正規の手段で入って勝手に地下墓地へ侵入したか。墓所に侵入されたのに気がつかず、気づいたときには地下墓地へ侵入されていたか。
後者なのが公になると、警備の近衛は相当マズいことになる。
二度も同じ場所に侵入しないだろうと気を緩めていたのでは?、とつつかれかねない。
「はぁぁぁ。王族の地下墓地の存在自体も極秘事項だし、今から話すことも極秘だからな?」
私たちに話したくはなかったようだけど、団長は諦めたのか、詳しく説明してくれるようだ。
いろいろの念押ししてきたので、ついでに私も念押しをしておこう。
「先ほど通ってきた三聖の地下迷宮も、存在自体が極秘事項ですけど?」
「………………だろうなぁ」
マズいものでも食べたような顔で、団長は相づちを打った。
「ええええええ? もしかして、私、消されちゃったりしないわよねぇ?」
「さぁ?」
とぼけてみる。
こうしている間も私の《探索》と《感知》はキリキリ働いていて、目的の人物を捉えた。
「エルシア。エルシアも一蓮托生よね!」
「いや、それはあれだなぁ」
「私、継承権、持ってるんで」
「ほぇぇぇ? 嘘よね? 冗談よね?」
「こうみえて王族なんです」
母方の祖母がね。会ったことないけど。
私の母親はルベル公爵の一人娘。本来なら私がルベル公爵の後継になるはずだったようだ。
なのに、母親が亡くなって私もいないものとされていたので、すでに、ルベル公爵の甥で私の従兄に当たる人が後継になっている。
いまさら私が「生きてました」と現れても、誰も得をしない。だからあえて名乗り出てないし、会ってもいない。
どうせ、いないものとして扱われていたんだ。このままでいい。納得はしているし、割り切ってもいる。
それでも。
あのクズ男に捨てられていなかったら、私にはたくさんの親族がいて、違った人生もあったんだと思うと、やりきれないものを感じた。
そんな私の感傷を吹き飛ばすように、ユリンナ先輩のキンキン声が耳元でする。
ずいぶんとぴったりくっついて、歩いていたものだわ。
「ヴァンフェルム団長ぅ! エルシアがおかしなこと言ってるわ!」
慌てるユリンナ先輩を見て、ヴァンフェルム団長は人の悪い笑みを浮かべた。
「ダイモス君、良かったなぁ」
「何が?!」
「ルベラス君が王太子殿下の再従妹で、王位継承権持ちだってことも極秘事項。いろいろ、詳しくなって良かったなぁ」
団長、さらに極秘事項を盛り足したよ。
ユリンナ先輩は涙目になる。
「良くないですぅ!」
「いまさら、極秘事項が一つ二つ増えたところで、どうってことないだろう?」
「どうってことありますぅ!」
「それでは、極秘の続きを話そうか」
こうして、団長の極秘な話が始まった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!
奏音 美都
恋愛
ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。
そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。
あぁ、なんてことでしょう……
こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!
悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
【完結】記憶が戻ったら〜孤独な妻は英雄夫の変わらぬ溺愛に溶かされる〜
凛蓮月
恋愛
【完全完結しました。ご愛読頂きありがとうございます!】
公爵令嬢カトリーナ・オールディスは、王太子デーヴィドの婚約者であった。
だが、カトリーナを良く思っていなかったデーヴィドは真実の愛を見つけたと言って婚約破棄した上、カトリーナが最も嫌う醜悪伯爵──ディートリヒ・ランゲの元へ嫁げと命令した。
ディートリヒは『救国の英雄』として知られる王国騎士団副団長。だが、顔には数年前の戦で負った大きな傷があった為社交界では『醜悪伯爵』と侮蔑されていた。
嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。
──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。
王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。
カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。
(記憶を取り戻したい)
(どうかこのままで……)
だが、それも長くは続かず──。
【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】
※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。
※中編版、短編版はpixivに移動させています。
※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。
※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる