113 / 317
2 暗黒騎士と鍵穴編
5-6
しおりを挟む
さらにその次の日。
「ハァァァァァ。どうして、この僕がそんなことを?」
私がおとなしく見ているその目の前で、クズが大げさにため息をつく。
この日、リンクス隊長とクストス隊長の二人が連れ立って、王宮魔術管理部の保管庫に預けた例の箱を受け取りに来ていた。
そしてその引き取りでは、魔法関係の物を取り扱うため、取り扱い責任者として魔術師が必要となる。
本来ならパシアヌス様か第二騎士団の魔術師長かが適任なのに、二人とも辞退してしまい、関わりのあった私が取り扱い責任者として、いっしょに来ていたのだ。
本当はクズがいる王宮魔術師団の本部なんて、来たくもないけど。これは仕事なので仕方がない。
これは仕事、これは仕事と自分自身に言い聞かせて、ようやくここまでやってきたのに。
クズのクズっぽいクズ発言に私はキレそうになった。
「ムカつく。あいつ、いますぐ殴りたいんだけど」
「ルベラス君は落ちつこうなぁ」
ヴァンフェルム団長が代わりに殴ってくれるのなら、すぐにでも落ちつきますけどね!
どういう状況なのか、改めて、説明する。
ここは王宮魔術管理部の会議室。
王宮魔術管理部に預けた例の箱を受け取る際、筆頭魔術師殿に魔導具関係の相談を申し入れたので、この会議室で会うことになっていた。
会議室に集まったのは記録官の他は、七人。
箱は第二騎士団と第三騎士団の共有物扱いとなっているので、引き取りは、リンクス隊長とクストス隊長の二人。
取り扱い責任者の私、私のストッパーとしてクラウド、何かあったときのためにヴァンフェルム団長。
王宮魔術管理部の方は、筆頭であるクズ男とその杖精のアキュシーザのみ。
箱を受けとった後、リンクス隊長から箱の中身の説明がなされ、中身の取り扱いをどうすべきか、魔導具なので管理をお願いできないか?と訴えてみたのだ。
いちおう、中身は外に出してある。
クラヴィスと白髪の杖精は人型に顕現し、物珍しそうに王宮魔術管理部の会議室をキョロキョロと眺めていた。
もちろんキョロキョロ眺めたのはクラヴィスだけで、白髪の杖精はうつろな目を彷徨わせている。
そして、リンクス隊長の訴えに対する返事が最初のもの。
クズ男が王宮魔術師団の筆頭って、完全に人選ミスじゃないの?
私はムカつきが止まらない。
自分の主のあまりにも酷い応対に、アキュシーザでさえ困り果てていた。
「我が主、王宮魔術管理部は、魔術に関するすべての事象を管理、監督するところだろう? ならば、危険な杖精や魔導具の管理も主が管理する、で間違いはない」
ツラツラと説明する。
その説明がわざとらしく聞こえてしまって、つい、突っ込みを入れてしまった。
「ふーん、連れてきただけなのに、危険な杖精や魔導具だって分かるんだ」
「ルベラス君は黙っていようなぁ」
ヴァンフェルム団長がガツンと言ってくれるのなら、いくらでも黙っていますけどね!
ところが、珍しくクズ男が話に応じた。
「構わないよ。アキュシーザ、そこの黒髪の疑問を解消してやれ」
手をひらひらさせて、アキュシーザに命じる。
「承知した、我が主。聞け、黒髪の魔術師とそして他の騎士たちよ。答えは至って簡単だ。
安全なものなら王宮魔術管理部に持ち込まない。危険なもの、それも魔法的なものだから王宮魔術管理部にやってきた。
それも騎士を何人も引き連れてとなると、相当な危険物だろう。
ただ、それだけの推測など、数秒で出来る」
数秒で出来ることを数分かけて言わないでくれるかな?
「やっぱり、言い方がムカつく」
絶対にこちらを舐めてかかってるわ。クズ男もアキュシーザも、先月、私にガツンとやられたこと、覚えてないのかな。覚えてなさそうだよな。ならば思い出させてあげようかな。
「ほらほら、ルベラス君はそこでおとなしくしていようねぇ。クラウド、よろしく頼んだよ」
「はい、団長」
私の機嫌が下降していることに気づいたヴァンフェルム団長が、ストッパーのクラウドを私のすぐ横に張り付かせた。
これじゃ、殴りたくても身動きが取れない。
「くぅぅぅ」
私は歯噛みをするだけだった。
ここから先は隊長格では荷が重いからと、ヴァンフェルム団長が前に出る。
最初から前に出てくれと、言いたげな顔の隊長たち。気持ちは分からなくもない。
「ま、そんなわけで、分かっているなら話は早い。筆頭殿とアキュシーザ殿にこの二人の杖精の管理をお願いしたい。よくご存知だろう?」
のんびり口調で、団長はズカズカと話し始めた。しかも決めつけるような言い方。推測と自白だけ、確たる物証は残されていないから、決めつけは難しいのに。
それでも口にしたということは、団長には何か考えがありそうだ。
団長の揺さぶりにも知らん顔のクズ男。
「ハァァァァァ? 僕が知ってるわけないだろう。僕はいろいろと忙しいんだ。
アキュシーザ、代わりに頼む。次席のアシオーに押しつけといてもいいから」
「承知した、我が主」
と、その時。
「おい、お前。『知ってるわけない』だと? ふざけるなよ。僕らのことを忘れたのか? 忘れるわけないよな?」
クラヴィスの、怒りを押し込めたような声。
クラヴィスの話では、クラヴィスは魔術師に協力して白髪の杖精を作り出したそうで、私もおそらくヴァンフェルム団長も、その魔術師がクズ男だと睨んでいる。
なのに、クズ男の反応はこれだ。
「何を言ってるんだ、この杖精。主もいないくせに、フラフラ出歩いている杖はろくな杖じゃない。
アキュシーザ、厳重管理区域に連れていけ。手続き書類は後回しでいい」
つまり、クラヴィスのことも、自分が手がけた杖精のことも、まるで覚えていないのだ。
私はヴァンフェルム団長の顔をチラッと窺う。ヴァンフェルム団長も同じことを考えていたようで、私の顔をチラッと見た。
本当にクズ男は関わっていない? それともすっかり忘れてるだけ?
後者だったら、もう最悪だ。
「何を言ってるんだは、こっちのセリフだよ。あぁ、人間は記憶力の劣化も早いんだな、そうかそうか」
「なんだと、失礼な杖精だな。だいたい、僕はお前もその隣の白髪も知らないぞ」
いつまでもこの繰り返しかと、周りが諦めかけたとき、クラヴィスが動きを変えた。
知らない覚えてないを繰り返すクズ男に対して、クラヴィスは決定的な証拠を持っていたのだ。
それは、
「聞いたか? 知らないだとよ、お前の創造主はその程度なんだよ」
そう、自我を持つ創造物への確認。
自我を持つ創造物は、創造主と主従契約を結んでいて、その契約は未だに生きている。
「ウソダダダダ…………アアアアアルジ!」
突然、白髪の杖精が腹の底から振り絞るような声をあげた。
周囲にある自然界の魔力が白髪の杖精に吸い込まれる。
マズい。
「くっ」
私はとっさに防御壁を張った。
魔法陣なしで発動させたため、一気に魔力が持っていかれて呻き声が出たけれど、なんとか間に合う。
そして、白髪の杖精の魔力が一気に爆発する。
ポフッ
気の抜けるような小さな音。
幸いにも、吸い込める魔力の量が少なかったせいか、爆発は小さくはじけて終わった。
室内で大爆発なんて起きたら、それこそ大惨事となるところだったので、ホッとする。
ホッと出来ずに騒然となったのは隊長たちとクラウドだった。
「まさかの、まさかか」
「嘘だろ」
「察しの悪い俺でも、なんとなく、分かりましたよ、団長」
「これで、察しないヤツは相当だよなぁ」
ここに来て、ようやく、黒幕の魔導師の正体に行き当たったようだ。
「クズは昔からクズだってことだよね」
「エルシア、黙っててくれ。正直、ちょっとショックで」
顔色を悪くするクラウドを、私は冷めた目で見つめる。
さぁ、主人公の正体はクズ男。クラウドは隊長たちは、それでも主人公を擁護し続けるわけ?
「ハァァァァァ。どうして、この僕がそんなことを?」
私がおとなしく見ているその目の前で、クズが大げさにため息をつく。
この日、リンクス隊長とクストス隊長の二人が連れ立って、王宮魔術管理部の保管庫に預けた例の箱を受け取りに来ていた。
そしてその引き取りでは、魔法関係の物を取り扱うため、取り扱い責任者として魔術師が必要となる。
本来ならパシアヌス様か第二騎士団の魔術師長かが適任なのに、二人とも辞退してしまい、関わりのあった私が取り扱い責任者として、いっしょに来ていたのだ。
本当はクズがいる王宮魔術師団の本部なんて、来たくもないけど。これは仕事なので仕方がない。
これは仕事、これは仕事と自分自身に言い聞かせて、ようやくここまでやってきたのに。
クズのクズっぽいクズ発言に私はキレそうになった。
「ムカつく。あいつ、いますぐ殴りたいんだけど」
「ルベラス君は落ちつこうなぁ」
ヴァンフェルム団長が代わりに殴ってくれるのなら、すぐにでも落ちつきますけどね!
どういう状況なのか、改めて、説明する。
ここは王宮魔術管理部の会議室。
王宮魔術管理部に預けた例の箱を受け取る際、筆頭魔術師殿に魔導具関係の相談を申し入れたので、この会議室で会うことになっていた。
会議室に集まったのは記録官の他は、七人。
箱は第二騎士団と第三騎士団の共有物扱いとなっているので、引き取りは、リンクス隊長とクストス隊長の二人。
取り扱い責任者の私、私のストッパーとしてクラウド、何かあったときのためにヴァンフェルム団長。
王宮魔術管理部の方は、筆頭であるクズ男とその杖精のアキュシーザのみ。
箱を受けとった後、リンクス隊長から箱の中身の説明がなされ、中身の取り扱いをどうすべきか、魔導具なので管理をお願いできないか?と訴えてみたのだ。
いちおう、中身は外に出してある。
クラヴィスと白髪の杖精は人型に顕現し、物珍しそうに王宮魔術管理部の会議室をキョロキョロと眺めていた。
もちろんキョロキョロ眺めたのはクラヴィスだけで、白髪の杖精はうつろな目を彷徨わせている。
そして、リンクス隊長の訴えに対する返事が最初のもの。
クズ男が王宮魔術師団の筆頭って、完全に人選ミスじゃないの?
私はムカつきが止まらない。
自分の主のあまりにも酷い応対に、アキュシーザでさえ困り果てていた。
「我が主、王宮魔術管理部は、魔術に関するすべての事象を管理、監督するところだろう? ならば、危険な杖精や魔導具の管理も主が管理する、で間違いはない」
ツラツラと説明する。
その説明がわざとらしく聞こえてしまって、つい、突っ込みを入れてしまった。
「ふーん、連れてきただけなのに、危険な杖精や魔導具だって分かるんだ」
「ルベラス君は黙っていようなぁ」
ヴァンフェルム団長がガツンと言ってくれるのなら、いくらでも黙っていますけどね!
ところが、珍しくクズ男が話に応じた。
「構わないよ。アキュシーザ、そこの黒髪の疑問を解消してやれ」
手をひらひらさせて、アキュシーザに命じる。
「承知した、我が主。聞け、黒髪の魔術師とそして他の騎士たちよ。答えは至って簡単だ。
安全なものなら王宮魔術管理部に持ち込まない。危険なもの、それも魔法的なものだから王宮魔術管理部にやってきた。
それも騎士を何人も引き連れてとなると、相当な危険物だろう。
ただ、それだけの推測など、数秒で出来る」
数秒で出来ることを数分かけて言わないでくれるかな?
「やっぱり、言い方がムカつく」
絶対にこちらを舐めてかかってるわ。クズ男もアキュシーザも、先月、私にガツンとやられたこと、覚えてないのかな。覚えてなさそうだよな。ならば思い出させてあげようかな。
「ほらほら、ルベラス君はそこでおとなしくしていようねぇ。クラウド、よろしく頼んだよ」
「はい、団長」
私の機嫌が下降していることに気づいたヴァンフェルム団長が、ストッパーのクラウドを私のすぐ横に張り付かせた。
これじゃ、殴りたくても身動きが取れない。
「くぅぅぅ」
私は歯噛みをするだけだった。
ここから先は隊長格では荷が重いからと、ヴァンフェルム団長が前に出る。
最初から前に出てくれと、言いたげな顔の隊長たち。気持ちは分からなくもない。
「ま、そんなわけで、分かっているなら話は早い。筆頭殿とアキュシーザ殿にこの二人の杖精の管理をお願いしたい。よくご存知だろう?」
のんびり口調で、団長はズカズカと話し始めた。しかも決めつけるような言い方。推測と自白だけ、確たる物証は残されていないから、決めつけは難しいのに。
それでも口にしたということは、団長には何か考えがありそうだ。
団長の揺さぶりにも知らん顔のクズ男。
「ハァァァァァ? 僕が知ってるわけないだろう。僕はいろいろと忙しいんだ。
アキュシーザ、代わりに頼む。次席のアシオーに押しつけといてもいいから」
「承知した、我が主」
と、その時。
「おい、お前。『知ってるわけない』だと? ふざけるなよ。僕らのことを忘れたのか? 忘れるわけないよな?」
クラヴィスの、怒りを押し込めたような声。
クラヴィスの話では、クラヴィスは魔術師に協力して白髪の杖精を作り出したそうで、私もおそらくヴァンフェルム団長も、その魔術師がクズ男だと睨んでいる。
なのに、クズ男の反応はこれだ。
「何を言ってるんだ、この杖精。主もいないくせに、フラフラ出歩いている杖はろくな杖じゃない。
アキュシーザ、厳重管理区域に連れていけ。手続き書類は後回しでいい」
つまり、クラヴィスのことも、自分が手がけた杖精のことも、まるで覚えていないのだ。
私はヴァンフェルム団長の顔をチラッと窺う。ヴァンフェルム団長も同じことを考えていたようで、私の顔をチラッと見た。
本当にクズ男は関わっていない? それともすっかり忘れてるだけ?
後者だったら、もう最悪だ。
「何を言ってるんだは、こっちのセリフだよ。あぁ、人間は記憶力の劣化も早いんだな、そうかそうか」
「なんだと、失礼な杖精だな。だいたい、僕はお前もその隣の白髪も知らないぞ」
いつまでもこの繰り返しかと、周りが諦めかけたとき、クラヴィスが動きを変えた。
知らない覚えてないを繰り返すクズ男に対して、クラヴィスは決定的な証拠を持っていたのだ。
それは、
「聞いたか? 知らないだとよ、お前の創造主はその程度なんだよ」
そう、自我を持つ創造物への確認。
自我を持つ創造物は、創造主と主従契約を結んでいて、その契約は未だに生きている。
「ウソダダダダ…………アアアアアルジ!」
突然、白髪の杖精が腹の底から振り絞るような声をあげた。
周囲にある自然界の魔力が白髪の杖精に吸い込まれる。
マズい。
「くっ」
私はとっさに防御壁を張った。
魔法陣なしで発動させたため、一気に魔力が持っていかれて呻き声が出たけれど、なんとか間に合う。
そして、白髪の杖精の魔力が一気に爆発する。
ポフッ
気の抜けるような小さな音。
幸いにも、吸い込める魔力の量が少なかったせいか、爆発は小さくはじけて終わった。
室内で大爆発なんて起きたら、それこそ大惨事となるところだったので、ホッとする。
ホッと出来ずに騒然となったのは隊長たちとクラウドだった。
「まさかの、まさかか」
「嘘だろ」
「察しの悪い俺でも、なんとなく、分かりましたよ、団長」
「これで、察しないヤツは相当だよなぁ」
ここに来て、ようやく、黒幕の魔導師の正体に行き当たったようだ。
「クズは昔からクズだってことだよね」
「エルシア、黙っててくれ。正直、ちょっとショックで」
顔色を悪くするクラウドを、私は冷めた目で見つめる。
さぁ、主人公の正体はクズ男。クラウドは隊長たちは、それでも主人公を擁護し続けるわけ?
10
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説

超絶美形騎士は塩対応の婚約者を一途に病的に純粋に愛す
月冴桃桜
恋愛
「あんなに美しくて美形な騎士様を婚約者にできるなんて、一体どんな狡い手を使ったのでしょうね?」
醜い嫉妬の顔をした令嬢たちが、とある伯爵令嬢を問い詰めていた。
普通ならばそんなことを言われれば、何らかの反応を示すだろうが、彼女はそうではなかった。
「はて?」と、何を言われているのかわからないという顔をしている。
勿論、貴族特有の仮面で感情を隠している訳でもなくて、本当に意味がわかっていない様子。
だからこそ、嫌みの言葉も何も通じないことに令嬢たちは、どうにかして傷付けてやろうと次の言葉を探す。
「あの方にお似合いになるのは、この国で最も高貴な存在である華麗な王女様しかいませんわ」
「そうですわ! あの方と似合っているのは、気高く美しい王女様しかいませんわ!」
ここ最近、社交界で囁かれている噂だ。
そう、婚約者様が王女様の護衛騎士になってから広がった噂と噂。
それでも、我関せずな顔な私を、
それでも、嫉妬心醜い令嬢たちから救い出してくれるは……
勿論、私の美しき婚約者様。
現実を見て欲しいと言いたいのは、私の方だ。
この男がどうやったら、私の元を離れてくれるのかなんて、こっちが聞きたいくらい。
溺愛面倒、婚約破棄希望に拒絶反応。
はあ。やれやれと。
今日も婚約者と言う存在に疲れてしまうのだった。

【完結】堅物な婚約者には子どもがいました……人は見かけによらないらしいです。
大森 樹
恋愛
【短編】
公爵家の一人娘、アメリアはある日誘拐された。
「アメリア様、ご無事ですか!」
真面目で堅物な騎士フィンに助けられ、アメリアは彼に恋をした。
助けたお礼として『結婚』することになった二人。フィンにとっては公爵家の爵位目当ての愛のない結婚だったはずだが……真面目で誠実な彼は、アメリアと不器用ながらも徐々に距離を縮めていく。
穏やかで幸せな結婚ができると思っていたのに、フィンの前の彼女が現れて『あの人の子どもがいます』と言ってきた。嘘だと思いきや、その子は本当に彼そっくりで……
あの堅物婚約者に、まさか子どもがいるなんて。人は見かけによらないらしい。
★アメリアとフィンは結婚するのか、しないのか……二人の恋の行方をお楽しみください。

【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。

俺の婚約者が可愛すぎる件について ~第三王子は今日も、愚かな自分を殴りたい~
salt
恋愛
ぐらりと視界が揺れて、トラヴィス・リオブライド・ランフォールドは頭を抱えた。
刹那、脳髄が弾けるような感覚が全身を襲い、何かを思い出したようなそんな錯覚に陥ったトラヴィスの目の前にいたのは婚約したばかりの婚約者、フェリコット=ルルーシェ・フォルケイン公爵令嬢だった。
「トラ……ヴィス、でんか…っ…」
と、名前を呼んでくれた直後、狂ったように泣きだしたフェリコットはどうやら時戻りの記憶があるようで……?
ライバルは婚約者を傷つけまくった時戻り前の俺(八つ裂きにしたい)という話。
或いは性根がダメな奴は何度繰り返してもダメという真理。
元サヤに見せかけた何か。
*ヒロインターンは鬱展開ですので注意。
*pixiv・なろうにも掲載しています

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。
完菜
恋愛
王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。
そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。
ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。
その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。
しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる