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1 王女殿下の魔猫編
3-1
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「ようこそ、わたくしの庭園へ。わたくしが第一王女のデルティウンよ」
明朗快活をそのまま声にしたような、そんな響きが私を迎えた。
偽爽近衛騎士のカイエン卿に連行され、やってきたのは王女殿下の庭園、の入り口前広場。そこで、ソニアとも合流する。ソニアはヴォードフェルム隊長がエスコート役。
ヴォードフェルム隊長は相変わらず。居丈高で感じが悪い。私と目が合うと、偉そうに挨拶をして去っていった。あれで格好つけているつもりだろうか。
その姿を見たカイエン卿が、ふっ、と鼻で笑っていたのが、とても印象的だった。
さてさて、王女殿下の庭園は、魔猫探索のときに集合した場所から、バラのアーチの小径を通って少し歩いたところにある。
庭園入り口の真正面も、三聖の展示室の前のような広場になっていてお茶会ができそうな広さと華やかさだ。
催しでもあるのか、何か準備をしている最中。
庭園の中じゃなくて、ここでお茶会なのかな。
うん、私、平民だから、庭園の中には入れさせてもらえないのかも。
何かの準備を横目で眺めてぼーっとしていると、ソニアが優雅に一礼をする。
「王女殿下。お招きいただきありがとうございます」
「どうも」
対して私は短く一言。
私の簡単な挨拶に、カイエン卿が睨んだような気がしなくもないけど、王女殿下は気にする様子もなかった。
「第一騎士団のソニアラート・カエルレウス嬢に、第三騎士団のエルシア・ルベラス嬢ね。
わたくし、堅苦しいのは嫌いなの。楽にしてちょうだい」
堅苦しくのは嫌いとか言いながら、相手には堅苦しさを求めるタイプじゃないよね、この王女。
なにせ、王女殿下に会うのは初めて。人柄がさっぱり分からず、返事に困る。それはソニアも同じだったようで、静かに笑みを返すだけ。
そんな私たちの反応に構うことなく、王女殿下は話を続けた。
「ごめんなさい。第二王子のカスが、あちらで令嬢を招いてお茶会をしようとしていてね」
手で指し示すのは、先ほど私が見ていたお茶会準備中の場所。
「わたくしがわたくしの庭園でお茶会をするっていうのに、あのカス、わざと重ねてきて。本当にバカでしょ?」
うん、カスって言葉が端々に混じってるような気がするけど、空耳だ。王女殿下の上品そうな物腰と、カスという言葉がどう考えても合わない。
王女殿下は明るい笑顔を浮かべると、そのまま庭園の入り口まで誘った。平民の私も庭園の中に入れてくれるようだ。
入り口正面の広場もバラで彩られていたが、入り口はもっと凝っていた。濃い赤、赤、ピンク、薄いピンク、白と、蔓バラがグラデーションをなしている。
「昨日も勝手に使ったというじゃないの。しかも騒動まで起こして。それなのに、また使わせてほしいだなんて、厚顔無恥も甚だしいものだわ、あのカス」
いや、おかしいな。カスってやっぱり聞こえる。
私はカス発言を忘れようと、必死に目をバラへと向ける。
「それで、バカでカスの相手をするのも疲れるからと、放っておいたら。あんなところでお茶会を準備してるじゃないの。おかしいったらありゃしないわ」
ホホホホ、と王女殿下の笑い声が庭園内に響いた。
カスだけじゃなくて、バカって言ったよ、バカって。
バカじゃなくてバラだ、バラを見よう。
私は心の中で汗をかきながら、バラを探す。入り口から入ってすぐのところは、まだ一般的なバラのようで、蕾がついているものの、バラは咲いていない。
ふと疑問が口をついた。
「やるにしても、なんであそこ?」
「あの場所は、王女殿下の庭園入り口の蔓バラが、チラッと見えるところですわね。
希少なバラは中の方がたくさんあるので、本当は中を使いたかったのでしょう」
間髪入れずに答えたのは、心強い味方のソニア。
「そうなのよ、珍しいのは庭園の中にあるから。でも、わたくしが今、ここを使うんだから貸せるわけがないわ。
それで丁寧に断ったら、あそこよ!」
庭園の外では、さきほどよりガヤガヤと騒がしい音がしている。
入り口を入ってすぐのところにいる私たちにも、はっきりと聞こえてきた。
「レディたち、今日はこちらで申し訳ない。でも、私の大事なレディたちに今日も希少なバラを見せたくてね」
少し高めの男性の声に続いて、キャーとかマァーとかいう女性の歓声も聞こえる。
「本当にバカでカスでクズじゃないかしらねぇ、わたくしの兄だと思うと嫌気がさしてくるわ」
ついにクズも仲間入りしてしまった。
魔猫騒動の話からしても、ろくなヤツではないと感じていたけど。妹からもダメ人間扱いされるほどの人物だとは。
王族も認定制にすればいいのに。
筆記試験とか口頭試問とかやって。
王女殿下の愚痴、みたいなものを聞かされながら、私は不敬にも王族認定試験制度導入を頭の中で考えていた。
王女殿下がさらに庭園の奥を案内しようと、入り口方面に背を向けた時。
今度は入り口が騒がしくなった。
「デルティウン、ちょっといいかな?」
近衛騎士を振り切ってやってきたのは、暗めの金髪に暗い濃青の瞳の男性。
暗い髪色がくすんだようにも見えて、全体的に暗い印象を与える。細くて、どことなく頼りない感じだし。
今日は日差しが強くもないのに、なぜか、手の甲を額に当てていた。
なんだろう、あの姿勢。
周りの近衛騎士はカイエン卿までも、この変な男性の静止を躊躇していた。
ということは、
「エルシア、あれがカス…………ではなく、第二王子殿下ですわ」
やっぱり。この人が例のカスか。
王族認定試験制度が導入されたら、真っ先に落とされそう。
カス王子は、近衛騎士が見守る中、ズカズカと王女殿下のそばまでやってきた。嫌そうな顔を隠しもしない王女殿下は、これまた嫌々感全開で言葉を返す。
「いったいなんですの? お客さまを招待しているのが見えませんの、デュオニスお兄さま?」
「そう、それ」
パチン
カス王子は突然、右手の指を鳴らす。がうまく鳴らずにもう一回。パチンとではなくカスンという音が出ると、流れるように右手の人差し指を王女殿下に向け、ピタッと止まった。
「それが言いたかったんだよ、デルティウン」
一言発すると、今度は右手で前髪をかきあげ、サラッとさせる。
一連の仕草に何の意味があるのかが、さっぱり分からない。王族だけに伝わる暗号だとか?
「エルシア、余計なことを考えるのはお止めなさい。絶対に、見当違いですわ」
私がカス王子をじーっと眺めていたのに気づいたのか、ソニアから、ヒソヒソと注意を受ける。正直に答えると、意外な返事まで返ってきた。
「あの仕草の意味を考えていたんだけど」
「周囲から格好良く見えるポーズをしているだけでしょう」
「それって、人を選ぶよね」
カイエン卿あたりがやったら、決まるんだろうけど。
私とソニアのヒソヒソ会話をよそに、カス王子は続けた。
「僕らもお茶会をやっているんだから、いっしょに、ここでやれば楽しいと思ってね」
言葉を止め、両手を胸の前で、
パチン
「良い考えだろう?」
うん、今度は一回でしかもちゃんと鳴った。ホッとした顔してるし。しかし、このポーズ、いつまで続けるわけ?
「デルティウンのお客さんは、なんというか、控えめだからね」
と、ここでようやく、私たちに気づいたように、視線が向けられた。
「僕のレディたちが混ざれば、お茶会が華やかになるだろうから」
一気に言い切って、バッと後ろを振り向くと、カス王子の陰に隠れて、五人、いや、六人のご令嬢たちがいる。
呆れて言葉も出ない。
王女殿下も同じだったらしく、しばらく無言の状態が続く。
無言を同意と見なしたのか、カス王子が前に出ようとした矢先、王女殿下がようやく話し始める。
「いっしょにお茶会ですって? 昨日、あれだけ騒ぎを起こしておいて? 冗談じゃないわ、お断りよ」
大げさにため息をついて、キッパリ断る王女殿下。
やんわり言っても、分からないんだろうな、きっと。
「それに昨日は、勝手に第一騎士団を動かしたそうじゃないの。まったく呆れたものだわ」
え?
私は、ギギギッと首を横にいるソニアに向けた。
「昨日のって、第一騎士団だけの話だったの?」
「そうですわ。まさか王子殿下からのお話だとは思いませんでしたが。
内容を確認したところ、こちらでは手に負えないと判断して、上にかけあったんですの」
「第三騎士団も呼べって?」
「まさか。『エルシアを呼べ』に決まってますわ。第三騎士団が来ても役に立ちませんもの」
第三騎士団も人数の足しにはなったんじゃないかと思ったけど、それは言わないことにした。
しかし、こうしてみると、いろいろなものが繋がる。
「デルティウンの庭園で魔猫を保護してるなんて話は、知らなかったんだ。仕方がないじゃないか」
カス王子は首をフルフルと横に振りながら、大げさに肩をすくめた。
よく考えなくても、知らなくて済む話ではない。
「だから、庭園は、立ち入り禁止に、してましたの! それに、侍従や近衛騎士は、この話を、知ってましたわ!
なのに、話にも、一切、話を聞かずに勝手に入り込んで!」
王女殿下、カス王子のあまりのバカさ加減に興奮しすぎて息が切れ切れ。
そんな怒鳴る王女殿下の前に、カス王子の背後から、すっと一人の女性が歩み出る。
「僭越ながら、一つよろしいでしょうか、王女殿下」
抜けるような色の金髪をしたその女性。伏せた顔をキッと上げると、王女殿下に対しても臆することはなかった。
明朗快活をそのまま声にしたような、そんな響きが私を迎えた。
偽爽近衛騎士のカイエン卿に連行され、やってきたのは王女殿下の庭園、の入り口前広場。そこで、ソニアとも合流する。ソニアはヴォードフェルム隊長がエスコート役。
ヴォードフェルム隊長は相変わらず。居丈高で感じが悪い。私と目が合うと、偉そうに挨拶をして去っていった。あれで格好つけているつもりだろうか。
その姿を見たカイエン卿が、ふっ、と鼻で笑っていたのが、とても印象的だった。
さてさて、王女殿下の庭園は、魔猫探索のときに集合した場所から、バラのアーチの小径を通って少し歩いたところにある。
庭園入り口の真正面も、三聖の展示室の前のような広場になっていてお茶会ができそうな広さと華やかさだ。
催しでもあるのか、何か準備をしている最中。
庭園の中じゃなくて、ここでお茶会なのかな。
うん、私、平民だから、庭園の中には入れさせてもらえないのかも。
何かの準備を横目で眺めてぼーっとしていると、ソニアが優雅に一礼をする。
「王女殿下。お招きいただきありがとうございます」
「どうも」
対して私は短く一言。
私の簡単な挨拶に、カイエン卿が睨んだような気がしなくもないけど、王女殿下は気にする様子もなかった。
「第一騎士団のソニアラート・カエルレウス嬢に、第三騎士団のエルシア・ルベラス嬢ね。
わたくし、堅苦しいのは嫌いなの。楽にしてちょうだい」
堅苦しくのは嫌いとか言いながら、相手には堅苦しさを求めるタイプじゃないよね、この王女。
なにせ、王女殿下に会うのは初めて。人柄がさっぱり分からず、返事に困る。それはソニアも同じだったようで、静かに笑みを返すだけ。
そんな私たちの反応に構うことなく、王女殿下は話を続けた。
「ごめんなさい。第二王子のカスが、あちらで令嬢を招いてお茶会をしようとしていてね」
手で指し示すのは、先ほど私が見ていたお茶会準備中の場所。
「わたくしがわたくしの庭園でお茶会をするっていうのに、あのカス、わざと重ねてきて。本当にバカでしょ?」
うん、カスって言葉が端々に混じってるような気がするけど、空耳だ。王女殿下の上品そうな物腰と、カスという言葉がどう考えても合わない。
王女殿下は明るい笑顔を浮かべると、そのまま庭園の入り口まで誘った。平民の私も庭園の中に入れてくれるようだ。
入り口正面の広場もバラで彩られていたが、入り口はもっと凝っていた。濃い赤、赤、ピンク、薄いピンク、白と、蔓バラがグラデーションをなしている。
「昨日も勝手に使ったというじゃないの。しかも騒動まで起こして。それなのに、また使わせてほしいだなんて、厚顔無恥も甚だしいものだわ、あのカス」
いや、おかしいな。カスってやっぱり聞こえる。
私はカス発言を忘れようと、必死に目をバラへと向ける。
「それで、バカでカスの相手をするのも疲れるからと、放っておいたら。あんなところでお茶会を準備してるじゃないの。おかしいったらありゃしないわ」
ホホホホ、と王女殿下の笑い声が庭園内に響いた。
カスだけじゃなくて、バカって言ったよ、バカって。
バカじゃなくてバラだ、バラを見よう。
私は心の中で汗をかきながら、バラを探す。入り口から入ってすぐのところは、まだ一般的なバラのようで、蕾がついているものの、バラは咲いていない。
ふと疑問が口をついた。
「やるにしても、なんであそこ?」
「あの場所は、王女殿下の庭園入り口の蔓バラが、チラッと見えるところですわね。
希少なバラは中の方がたくさんあるので、本当は中を使いたかったのでしょう」
間髪入れずに答えたのは、心強い味方のソニア。
「そうなのよ、珍しいのは庭園の中にあるから。でも、わたくしが今、ここを使うんだから貸せるわけがないわ。
それで丁寧に断ったら、あそこよ!」
庭園の外では、さきほどよりガヤガヤと騒がしい音がしている。
入り口を入ってすぐのところにいる私たちにも、はっきりと聞こえてきた。
「レディたち、今日はこちらで申し訳ない。でも、私の大事なレディたちに今日も希少なバラを見せたくてね」
少し高めの男性の声に続いて、キャーとかマァーとかいう女性の歓声も聞こえる。
「本当にバカでカスでクズじゃないかしらねぇ、わたくしの兄だと思うと嫌気がさしてくるわ」
ついにクズも仲間入りしてしまった。
魔猫騒動の話からしても、ろくなヤツではないと感じていたけど。妹からもダメ人間扱いされるほどの人物だとは。
王族も認定制にすればいいのに。
筆記試験とか口頭試問とかやって。
王女殿下の愚痴、みたいなものを聞かされながら、私は不敬にも王族認定試験制度導入を頭の中で考えていた。
王女殿下がさらに庭園の奥を案内しようと、入り口方面に背を向けた時。
今度は入り口が騒がしくなった。
「デルティウン、ちょっといいかな?」
近衛騎士を振り切ってやってきたのは、暗めの金髪に暗い濃青の瞳の男性。
暗い髪色がくすんだようにも見えて、全体的に暗い印象を与える。細くて、どことなく頼りない感じだし。
今日は日差しが強くもないのに、なぜか、手の甲を額に当てていた。
なんだろう、あの姿勢。
周りの近衛騎士はカイエン卿までも、この変な男性の静止を躊躇していた。
ということは、
「エルシア、あれがカス…………ではなく、第二王子殿下ですわ」
やっぱり。この人が例のカスか。
王族認定試験制度が導入されたら、真っ先に落とされそう。
カス王子は、近衛騎士が見守る中、ズカズカと王女殿下のそばまでやってきた。嫌そうな顔を隠しもしない王女殿下は、これまた嫌々感全開で言葉を返す。
「いったいなんですの? お客さまを招待しているのが見えませんの、デュオニスお兄さま?」
「そう、それ」
パチン
カス王子は突然、右手の指を鳴らす。がうまく鳴らずにもう一回。パチンとではなくカスンという音が出ると、流れるように右手の人差し指を王女殿下に向け、ピタッと止まった。
「それが言いたかったんだよ、デルティウン」
一言発すると、今度は右手で前髪をかきあげ、サラッとさせる。
一連の仕草に何の意味があるのかが、さっぱり分からない。王族だけに伝わる暗号だとか?
「エルシア、余計なことを考えるのはお止めなさい。絶対に、見当違いですわ」
私がカス王子をじーっと眺めていたのに気づいたのか、ソニアから、ヒソヒソと注意を受ける。正直に答えると、意外な返事まで返ってきた。
「あの仕草の意味を考えていたんだけど」
「周囲から格好良く見えるポーズをしているだけでしょう」
「それって、人を選ぶよね」
カイエン卿あたりがやったら、決まるんだろうけど。
私とソニアのヒソヒソ会話をよそに、カス王子は続けた。
「僕らもお茶会をやっているんだから、いっしょに、ここでやれば楽しいと思ってね」
言葉を止め、両手を胸の前で、
パチン
「良い考えだろう?」
うん、今度は一回でしかもちゃんと鳴った。ホッとした顔してるし。しかし、このポーズ、いつまで続けるわけ?
「デルティウンのお客さんは、なんというか、控えめだからね」
と、ここでようやく、私たちに気づいたように、視線が向けられた。
「僕のレディたちが混ざれば、お茶会が華やかになるだろうから」
一気に言い切って、バッと後ろを振り向くと、カス王子の陰に隠れて、五人、いや、六人のご令嬢たちがいる。
呆れて言葉も出ない。
王女殿下も同じだったらしく、しばらく無言の状態が続く。
無言を同意と見なしたのか、カス王子が前に出ようとした矢先、王女殿下がようやく話し始める。
「いっしょにお茶会ですって? 昨日、あれだけ騒ぎを起こしておいて? 冗談じゃないわ、お断りよ」
大げさにため息をついて、キッパリ断る王女殿下。
やんわり言っても、分からないんだろうな、きっと。
「それに昨日は、勝手に第一騎士団を動かしたそうじゃないの。まったく呆れたものだわ」
え?
私は、ギギギッと首を横にいるソニアに向けた。
「昨日のって、第一騎士団だけの話だったの?」
「そうですわ。まさか王子殿下からのお話だとは思いませんでしたが。
内容を確認したところ、こちらでは手に負えないと判断して、上にかけあったんですの」
「第三騎士団も呼べって?」
「まさか。『エルシアを呼べ』に決まってますわ。第三騎士団が来ても役に立ちませんもの」
第三騎士団も人数の足しにはなったんじゃないかと思ったけど、それは言わないことにした。
しかし、こうしてみると、いろいろなものが繋がる。
「デルティウンの庭園で魔猫を保護してるなんて話は、知らなかったんだ。仕方がないじゃないか」
カス王子は首をフルフルと横に振りながら、大げさに肩をすくめた。
よく考えなくても、知らなくて済む話ではない。
「だから、庭園は、立ち入り禁止に、してましたの! それに、侍従や近衛騎士は、この話を、知ってましたわ!
なのに、話にも、一切、話を聞かずに勝手に入り込んで!」
王女殿下、カス王子のあまりのバカさ加減に興奮しすぎて息が切れ切れ。
そんな怒鳴る王女殿下の前に、カス王子の背後から、すっと一人の女性が歩み出る。
「僭越ながら、一つよろしいでしょうか、王女殿下」
抜けるような色の金髪をしたその女性。伏せた顔をキッと上げると、王女殿下に対しても臆することはなかった。
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