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1 王女殿下の魔猫編
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最後の部屋は先ほどの部屋とはまた、異なる雰囲気に包まれていた。
全員が最後の部屋に入りきったのを確認してから、説明を始める。
という段取りなんだけど。
「ちょっとだけ、待った方がいいかな」
私はクラウドに目配せをして、ちょっとだけ待つことにした。
おそらく、みんな、すぐに動いたり話を聞いたりはできないはずだから。
なにせ、部屋に入ったとたんに感じる、この圧。前の部屋とはまるで違うことが見学者にも分かったはずだ。
ピリピリと肌に刺さってくるような感触で、嫌でも何か凄いものの存在を意識してしまうほど。
空気の流れも止まり、前の部屋では感じなかったような、息苦しささえ覚える。
まぁ、慣れるとこれも心地良いんだけどね。
そして、部屋に足を踏み入れてすぐ目に入ってくる、祭壇のようなもの。
出入り口の扉の真正面にどーんとこしらえてあるので、これまた嫌でも目に入ってしまうのだ。不意打ちのように。
祭壇のようなものには、三本の剣が台座に突き刺すように飾られていて、この存在感も凄かった。
祭壇の台座の両脇には、警備の騎士。
さすがにここは扉だけ警備、というわけにはいかない。ここにあるのは超国家機密で超重要品。
警備の騎士たちも、ただ置物のようにいるのではなく、常に周囲を窺い気を張っている。
だというのに、部屋の中に満ちるものが凄すぎて、騎士たちの気配は霞のようにしか感じない。
そんな重厚な空気感に、この部屋は支配されていた。
空気感はおいておくして、この部屋にある重要品も、ぱっと見は芸術品のよう。
見てくれば剣なので、杖より武器としての実用性が高いせいか、装飾や宝石の数は明らかに少なく、ちょっと寂しく感じる。
それでも、刀身はそれぞれ白銀、黒銀、青銀に煌めき、柄には刀身と同色の大きな宝石があった。
見つめているとその三本に飲み込まれてしまうような、奇妙な感覚に陥る。
何度も見ている私でさえ、一瞬、動きを止めてしまうほど。
初めて見る十人は、全員、剣に圧倒されているように、ピクリとも動かない。ただただ、息をする音だけが聞こえる。
しっかし、本当にこんなピリピリと圧が凄いところで、『運命の恋』の主人公は告白なんてできたのだろうか。
頭の中が沸いてる人の考えって、ちょっとよく、分からない。
私は見学者を観察しながら、頃合いを見て、口を開いた。
「三聖は統べる、鎮める、知る力を有すると言われています。また、三聖の主はスロン、セラ、ケルと呼ばれていました」
私は剣を指し示し、説明を続ける。
「その輝きに満ちた姿は目を開けていられないほどだったと、記録にも残っています。
輝きが何を指すのかについてはいろいろ説があり、現在では『金髪』が有力視されています」
台座の隣の壁には『金髪の人物が台座から剣を引き抜く』絵が飾られ。
かと思えば、反対の壁には『金髪の人物が頭に王冠を乗せた人物から剣を授かる』絵が飾られていた。
剣が突き刺さっている台座に視線を移すと、そこには、スローナス、セラフィアス、ケルビウスと刻まれた金属板がある。
最近になって取り付けられたため、金属板だけずいぶんと新しい。
私はこの説明も付け加えた。
「杖と違い、見た目と名前が一致しにくかったため、後世になって銘板が作られました」
金属板から見学者に視線を戻すと、何人かが、ちらちら何かを眺めているのに気がつく。
見学者の視線の先を追うと、
「あー、鞘ですね」
私はその説明も加えることにした。
「鞘も後から作られたものです。当時の国王陛下が『剣があるのに鞘がないのはおかしい』とおっしゃられて、作らせたとか」
祭壇の手前には低い台座が設けられ、鞘が三本、並べて置かれていた。鞘がずいぶんと新しいのは、そういう理由があってのこと。
「鞘ひとつで、王都の高級住宅街にあるちょっとした邸宅一軒、買えるほどだと聞いています」
人間、煌びやかな物には弱い。
何人かの眼がギンギンに光り、鞘に固定された。
鞘は三聖に捧げる装飾品として作られたため、まさしく芸術品そのもの。
剣とは違って、宝石も金銀の装飾もふんだんに使われている。
高額なものとはいえ、鞘はあくまでも後世に職人の手によって作られたものだ。
壊れれば直せるし、無くなれば新しくできる。
なので、剣に警備はついていても、鞘にはついていない。ただそこに置かれているだけ。
不用心だけれど非常に割り切った配置だと、私は思った。
「もちろん、みなさんが興味を持っているのは三聖の方だとは思いますが、参考までに」
ペコリと一礼し、
「あとは声をかけるまで、じっくりと見学してください。接触しないかぎり、自由に見ていただいて大丈夫です」
最後にそう付け加える。
ともあれ、これで説明は終わりだ。
「何か質問などあれば、直接、私までお願いします」
私は部屋の中央あたり、剣が刺さる台座と出入り口の扉のちょうど真ん中へんの位置に移動した。
預かり所のおじさんたちに、不安なことを言われたものだから、何か起きるんじゃないかと緊張しっぱなしで。
黄色の旗を持つ手も、汗でしっとり。
ふぅ。疲れた。
クラウドの方を見ると、まだ警戒を続けている。
説明担当の私とは異なり、クラウドや警備の騎士は仕事の真っ最中。
質問がなければ、そろそろ退散しようかな。
そう思ってクラウドの方へ一歩踏み出したところに、目の前を遮られる。
「あらぁ。質問、よろしいかしらぁ」
マリーアンだ。
うん。動こうとする前に周りを確認すれば良かったわ。
侍女の二人もマリーアンの横にピタッと張り付いたまま。侍女というより護衛のような動きで、なんだか違和感を覚えるんだけど。
まぁ、いいか。
私はマリーアンの淡いブルーの眼を見つめ、返事をした。
「答えられる範囲であれば」
私の簡潔な応答に、マリーアンはにっこり微笑む。
「良かったわぁ。マリーアン、気になることがありましたのぉ」
「できれば質問内容のみで。語尾短めで」
つい、語尾に突っ込みを入れてしまったわ。だって、ちょっとイラッとするし。
「お嬢さまに失礼な」と言い張る侍女たちを、マリーアンは手で制して、口を開く。
「ルベラス嬢は、ヴェルフェルム卿とお付き合いされていますの?」
律儀にも、こちらの要望通り簡潔で語尾短めの質問を、マリーアンはにっこりした笑顔でぶち込んだ。
ゲホゲホゲホゲホ
マリーアンの後ろの方で、盛大にむせるクラウド。
意外と攻撃力あったな、この質問。
「まさにここが『運命の恋』の聖地でしょう? だから、案内のお二人も『運命の恋』で結ばれた仲なのかと、思いましたの」
両手の指先を胸の前で組み合わせて、うっとりとした調子で語る。自分に酔うタイプなのか、演技が大好きなのか。
「無関係です」
むせるクラウドは無視して、きっぱりと言い返す私。
まったく。
質問があるっていうから、なんだと思って聞いてみたら、三聖にも五強にも関係ない話じゃないの。
「しかも、なんで、私とクラウドが付き合ってるように見えるわけ? 眼が悪いんじゃないの?
クラウドのヤツ、顔はそれなりにいいかもしれないけど、性格軽いし、好みのタイプじゃないし」
「エルシア。心の声を口から漏らすな。地味に胸に突き刺さる」
「つい本音が」
何が胸に刺さるのかは分からないけど、胸を押さえ、うぐっと呻いてクラウドが黙り込む。
黙り込んだクラウドと対照的に、マリーアンは明るい笑顔で、さらに話し続けた。
「あらぁ。お二人とも、とっても仲が良さそうに見えましたのに」
「視力に問題がありますね。この見学会が終わったら、急いで主治医にご相談ください」
「あらぁ。マリーアン、目は良い方ですのよぉ!」
あっけらかんとして、マリーアンが言い返してくる。
そんな姿は、あまり高位貴族に似つかわしくないけど、親近感は持てた。
マリーアンは私の背後を指差す。
「だって、台座によじ登っている猫ちゃんも、剣を触ろうとしているおバカさんも、鞘を持ち出そうとしている泥棒さんも、みーんな見えますもの!」
「「え?!」」
同時に声を上げる私とクラウド。
事件はすでに起こっていた。
全員が最後の部屋に入りきったのを確認してから、説明を始める。
という段取りなんだけど。
「ちょっとだけ、待った方がいいかな」
私はクラウドに目配せをして、ちょっとだけ待つことにした。
おそらく、みんな、すぐに動いたり話を聞いたりはできないはずだから。
なにせ、部屋に入ったとたんに感じる、この圧。前の部屋とはまるで違うことが見学者にも分かったはずだ。
ピリピリと肌に刺さってくるような感触で、嫌でも何か凄いものの存在を意識してしまうほど。
空気の流れも止まり、前の部屋では感じなかったような、息苦しささえ覚える。
まぁ、慣れるとこれも心地良いんだけどね。
そして、部屋に足を踏み入れてすぐ目に入ってくる、祭壇のようなもの。
出入り口の扉の真正面にどーんとこしらえてあるので、これまた嫌でも目に入ってしまうのだ。不意打ちのように。
祭壇のようなものには、三本の剣が台座に突き刺すように飾られていて、この存在感も凄かった。
祭壇の台座の両脇には、警備の騎士。
さすがにここは扉だけ警備、というわけにはいかない。ここにあるのは超国家機密で超重要品。
警備の騎士たちも、ただ置物のようにいるのではなく、常に周囲を窺い気を張っている。
だというのに、部屋の中に満ちるものが凄すぎて、騎士たちの気配は霞のようにしか感じない。
そんな重厚な空気感に、この部屋は支配されていた。
空気感はおいておくして、この部屋にある重要品も、ぱっと見は芸術品のよう。
見てくれば剣なので、杖より武器としての実用性が高いせいか、装飾や宝石の数は明らかに少なく、ちょっと寂しく感じる。
それでも、刀身はそれぞれ白銀、黒銀、青銀に煌めき、柄には刀身と同色の大きな宝石があった。
見つめているとその三本に飲み込まれてしまうような、奇妙な感覚に陥る。
何度も見ている私でさえ、一瞬、動きを止めてしまうほど。
初めて見る十人は、全員、剣に圧倒されているように、ピクリとも動かない。ただただ、息をする音だけが聞こえる。
しっかし、本当にこんなピリピリと圧が凄いところで、『運命の恋』の主人公は告白なんてできたのだろうか。
頭の中が沸いてる人の考えって、ちょっとよく、分からない。
私は見学者を観察しながら、頃合いを見て、口を開いた。
「三聖は統べる、鎮める、知る力を有すると言われています。また、三聖の主はスロン、セラ、ケルと呼ばれていました」
私は剣を指し示し、説明を続ける。
「その輝きに満ちた姿は目を開けていられないほどだったと、記録にも残っています。
輝きが何を指すのかについてはいろいろ説があり、現在では『金髪』が有力視されています」
台座の隣の壁には『金髪の人物が台座から剣を引き抜く』絵が飾られ。
かと思えば、反対の壁には『金髪の人物が頭に王冠を乗せた人物から剣を授かる』絵が飾られていた。
剣が突き刺さっている台座に視線を移すと、そこには、スローナス、セラフィアス、ケルビウスと刻まれた金属板がある。
最近になって取り付けられたため、金属板だけずいぶんと新しい。
私はこの説明も付け加えた。
「杖と違い、見た目と名前が一致しにくかったため、後世になって銘板が作られました」
金属板から見学者に視線を戻すと、何人かが、ちらちら何かを眺めているのに気がつく。
見学者の視線の先を追うと、
「あー、鞘ですね」
私はその説明も加えることにした。
「鞘も後から作られたものです。当時の国王陛下が『剣があるのに鞘がないのはおかしい』とおっしゃられて、作らせたとか」
祭壇の手前には低い台座が設けられ、鞘が三本、並べて置かれていた。鞘がずいぶんと新しいのは、そういう理由があってのこと。
「鞘ひとつで、王都の高級住宅街にあるちょっとした邸宅一軒、買えるほどだと聞いています」
人間、煌びやかな物には弱い。
何人かの眼がギンギンに光り、鞘に固定された。
鞘は三聖に捧げる装飾品として作られたため、まさしく芸術品そのもの。
剣とは違って、宝石も金銀の装飾もふんだんに使われている。
高額なものとはいえ、鞘はあくまでも後世に職人の手によって作られたものだ。
壊れれば直せるし、無くなれば新しくできる。
なので、剣に警備はついていても、鞘にはついていない。ただそこに置かれているだけ。
不用心だけれど非常に割り切った配置だと、私は思った。
「もちろん、みなさんが興味を持っているのは三聖の方だとは思いますが、参考までに」
ペコリと一礼し、
「あとは声をかけるまで、じっくりと見学してください。接触しないかぎり、自由に見ていただいて大丈夫です」
最後にそう付け加える。
ともあれ、これで説明は終わりだ。
「何か質問などあれば、直接、私までお願いします」
私は部屋の中央あたり、剣が刺さる台座と出入り口の扉のちょうど真ん中へんの位置に移動した。
預かり所のおじさんたちに、不安なことを言われたものだから、何か起きるんじゃないかと緊張しっぱなしで。
黄色の旗を持つ手も、汗でしっとり。
ふぅ。疲れた。
クラウドの方を見ると、まだ警戒を続けている。
説明担当の私とは異なり、クラウドや警備の騎士は仕事の真っ最中。
質問がなければ、そろそろ退散しようかな。
そう思ってクラウドの方へ一歩踏み出したところに、目の前を遮られる。
「あらぁ。質問、よろしいかしらぁ」
マリーアンだ。
うん。動こうとする前に周りを確認すれば良かったわ。
侍女の二人もマリーアンの横にピタッと張り付いたまま。侍女というより護衛のような動きで、なんだか違和感を覚えるんだけど。
まぁ、いいか。
私はマリーアンの淡いブルーの眼を見つめ、返事をした。
「答えられる範囲であれば」
私の簡潔な応答に、マリーアンはにっこり微笑む。
「良かったわぁ。マリーアン、気になることがありましたのぉ」
「できれば質問内容のみで。語尾短めで」
つい、語尾に突っ込みを入れてしまったわ。だって、ちょっとイラッとするし。
「お嬢さまに失礼な」と言い張る侍女たちを、マリーアンは手で制して、口を開く。
「ルベラス嬢は、ヴェルフェルム卿とお付き合いされていますの?」
律儀にも、こちらの要望通り簡潔で語尾短めの質問を、マリーアンはにっこりした笑顔でぶち込んだ。
ゲホゲホゲホゲホ
マリーアンの後ろの方で、盛大にむせるクラウド。
意外と攻撃力あったな、この質問。
「まさにここが『運命の恋』の聖地でしょう? だから、案内のお二人も『運命の恋』で結ばれた仲なのかと、思いましたの」
両手の指先を胸の前で組み合わせて、うっとりとした調子で語る。自分に酔うタイプなのか、演技が大好きなのか。
「無関係です」
むせるクラウドは無視して、きっぱりと言い返す私。
まったく。
質問があるっていうから、なんだと思って聞いてみたら、三聖にも五強にも関係ない話じゃないの。
「しかも、なんで、私とクラウドが付き合ってるように見えるわけ? 眼が悪いんじゃないの?
クラウドのヤツ、顔はそれなりにいいかもしれないけど、性格軽いし、好みのタイプじゃないし」
「エルシア。心の声を口から漏らすな。地味に胸に突き刺さる」
「つい本音が」
何が胸に刺さるのかは分からないけど、胸を押さえ、うぐっと呻いてクラウドが黙り込む。
黙り込んだクラウドと対照的に、マリーアンは明るい笑顔で、さらに話し続けた。
「あらぁ。お二人とも、とっても仲が良さそうに見えましたのに」
「視力に問題がありますね。この見学会が終わったら、急いで主治医にご相談ください」
「あらぁ。マリーアン、目は良い方ですのよぉ!」
あっけらかんとして、マリーアンが言い返してくる。
そんな姿は、あまり高位貴族に似つかわしくないけど、親近感は持てた。
マリーアンは私の背後を指差す。
「だって、台座によじ登っている猫ちゃんも、剣を触ろうとしているおバカさんも、鞘を持ち出そうとしている泥棒さんも、みーんな見えますもの!」
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