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7 帝国動乱編
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「グルァァァァァァァァァァ」
舞台の中央で様々な赤が混じった魔力と、感情の神が放つ混沌の気がぶつかり合い、竜巻のように渦を成していた。
「グルァァァァ」
恐ろしいほどの魔力のぶつかり合いにも関わらず、舞台以外に影響がないのは、守護の大盾と防御魔法のおかげだろうか。
その渦の上空に白い猫が見えたような気がして、つい、つぶやいた。
「あれは、デュク様?」
にゃーんとデュク様のかわいらしい声がしたような。
白い猫の姿はあっという間に渦巻く赤い魔力にかき消される。
「ァァァァァ」
そして、赤い魔力がすぅーっと舞台中央に吸い込まれ、最後に大きく光った。
シーンと静まり返る。
皆、舞台に注目する中、舞台の端にいたテラが中央に進み出た。
「封印の儀は完了した」
ワァァァァァァァ
回りから上がる歓声。
舞台の上も下も、溶けた魔物と人間とで、酷い有様だった。
それでも、皆、手と手を取り合い喜んでいる。
そして私は、あれほど感情の神といっしょに封印されるのを覚悟していたのに、なぜか、ラウの腕の中にいた。
うん、理解が追いつかない。
「よくやったな、黒竜」
「黒竜にしては上出来だな」
私が理解できてないのに、赤種の二人は理解している。なんか、悔しい。
私はそっとラウを見上げた。
「ラウ、何やったの?」
「ァア? 俺のフィアが邪なやつに絡まれていたなからな」
「で、何やったの?」
「全力で引っ張ったんだ。俺とフィアの愛の絆を」
うん? 愛の絆?
「いや、執着の鎖がこれほど役に立つものだとな」
テラが『愛の絆』を言い換えて、じゃないな、正しい名称で呼んでくれて、ようやく理解した。
ラウは執着の黒竜で、執着の鎖という権能を持つ。
その鎖は私を雁字搦めにしていて、赤種の力を抑え込むほど。
「あれって、まだくっついてたんだ」
伴侶を逃がさないためのものだと聞いていたから、てっきり、最終契約と同時になくなったと思っていたのに。
私の伴侶はかなり用心深いようだ。
未だに逃亡の心配をするとは。
「まぁ、一度、別々宣言してるからな。心配にもなるよな」
「うっ」
なんのことはない。自業自得だったか。
以前、私がラウとケンカして、別居宣言した上に家出したことがあって。
どうやら、ラウはそのときのことを未だに忘れてないらしい。
「クロエル補佐官。そもそも、竜種は伴侶に対して執着する生き物なんです」
カーネリウスさんが余計な解説を加えてくる。知ってる、そのくらい。身をもって知ってる。
「上位竜種はなおさら。執着の黒竜ならば、神の執着さえ退けるほど」
「だから、師団長から離れるのは無理ですよ、お相手様」
「私が離れようとしたわけではないんだけど」
ドラグゼルンさんまで口を挟むので、ついつい呆れてしまった。
そんな私たちをラウは穏やかに見守るだけだった。
ともかく、私はラウの執着のおかげで無事だったと。嬉しいような嬉しくないような微妙な結末を迎えた。
封印の儀は終わり、式典も後は閉会するだけとなる。
「さて! 封印の儀が終わったから、式典を終了させるぞ!」
テラが舞台の中央でギャンギャン騒ぐ中、周りは周りで口々に思い思いのことを話していた。
「え? この状況で?」
「スヴェート側の人間は全滅しましたわ。トップもいなくなりましたのに!」
この甲高い声はルミアーナさんだ。
「ルミアーナさん、良かった。無事で」
「はい、デルストーム副官に守っていただきましたから」
ラウたちのそばにもいなかったし、ジンクレストは私の近くの舞台下にいたし、銀竜さん紫竜さんとも離れていたし。
いったいどこにいるのかと思って、ちょっと心配だったのだ。
ルミアーナさんの話では、第八師団長とデルストームさんといっしょに行動していたとのこと。
「デルストームさん、カーネリウスさんより使えるよね」
「クロエル補佐官ーーー。その言い方はないです。俺、今回は師団長を守って頑張りましたから!」
私の評価に慌てたのは、カーネリウスさんだ。
「そうですわね。今回は、よくやりましたわね」
「今回は、って?」
「うぐっ。なんでもありませんよ。クロエル補佐官!」
「ホホホホホホ」
ルミアーナさんが辛辣な言い方をするのが引っかかるけど、まぁ、カーネリウスさんがポンコツなのはいつものことだから。
私はとくに気にもとめなかった。
しかし、式典を始めた以上、終わりはきちんと行わないといけない。
「舎弟! 収拾しろ!」
「師匠、承知しました」
塔長の合図で、塔長の配下の人たちと、スヴェート大神殿の人たちが一斉に動き出した。
皆様、少々お待ちください。手順は変わりましたが、閉会の辞に移る前に会場の整理をいたしますので。
みたいなアナウンスを誰かがやっている中、瞬く間に、会場が再び整えられた。
「というわけで、エルヴェス。新皇帝陛下に挨拶してもらってもいいか?」
「モチのロンよ!」
シュンと私の横に現れたのは、今まで姿を見せなかったエルヴェスさん。
「エルヴェスさん、いつの間に?」
横を見ると、メモリアもいる。
確か二人とも、どこかに偵察に行ったんだったよね。今までどこに行ってたの?と質問しようと思ったのに。
エルヴェスさんはいつもの調子で、けたたましく騒ぎ始めた。
「サーー、式典、チャッチャと終わらせるわよー! アタシの名にかけて!」
「「いいから、進めろ」」
塔長とそしてラウの同時突っ込み。
それにもめげず、エルヴェスさんがパチンと手を鳴らすと、会場の入り口から誰かが入ってきた。
騎士に囲まれた豪奢な服装の人物は、まさか、本物の皇太子?
その疑問はすぐに解決されることになる。
舞台の中央で様々な赤が混じった魔力と、感情の神が放つ混沌の気がぶつかり合い、竜巻のように渦を成していた。
「グルァァァァ」
恐ろしいほどの魔力のぶつかり合いにも関わらず、舞台以外に影響がないのは、守護の大盾と防御魔法のおかげだろうか。
その渦の上空に白い猫が見えたような気がして、つい、つぶやいた。
「あれは、デュク様?」
にゃーんとデュク様のかわいらしい声がしたような。
白い猫の姿はあっという間に渦巻く赤い魔力にかき消される。
「ァァァァァ」
そして、赤い魔力がすぅーっと舞台中央に吸い込まれ、最後に大きく光った。
シーンと静まり返る。
皆、舞台に注目する中、舞台の端にいたテラが中央に進み出た。
「封印の儀は完了した」
ワァァァァァァァ
回りから上がる歓声。
舞台の上も下も、溶けた魔物と人間とで、酷い有様だった。
それでも、皆、手と手を取り合い喜んでいる。
そして私は、あれほど感情の神といっしょに封印されるのを覚悟していたのに、なぜか、ラウの腕の中にいた。
うん、理解が追いつかない。
「よくやったな、黒竜」
「黒竜にしては上出来だな」
私が理解できてないのに、赤種の二人は理解している。なんか、悔しい。
私はそっとラウを見上げた。
「ラウ、何やったの?」
「ァア? 俺のフィアが邪なやつに絡まれていたなからな」
「で、何やったの?」
「全力で引っ張ったんだ。俺とフィアの愛の絆を」
うん? 愛の絆?
「いや、執着の鎖がこれほど役に立つものだとな」
テラが『愛の絆』を言い換えて、じゃないな、正しい名称で呼んでくれて、ようやく理解した。
ラウは執着の黒竜で、執着の鎖という権能を持つ。
その鎖は私を雁字搦めにしていて、赤種の力を抑え込むほど。
「あれって、まだくっついてたんだ」
伴侶を逃がさないためのものだと聞いていたから、てっきり、最終契約と同時になくなったと思っていたのに。
私の伴侶はかなり用心深いようだ。
未だに逃亡の心配をするとは。
「まぁ、一度、別々宣言してるからな。心配にもなるよな」
「うっ」
なんのことはない。自業自得だったか。
以前、私がラウとケンカして、別居宣言した上に家出したことがあって。
どうやら、ラウはそのときのことを未だに忘れてないらしい。
「クロエル補佐官。そもそも、竜種は伴侶に対して執着する生き物なんです」
カーネリウスさんが余計な解説を加えてくる。知ってる、そのくらい。身をもって知ってる。
「上位竜種はなおさら。執着の黒竜ならば、神の執着さえ退けるほど」
「だから、師団長から離れるのは無理ですよ、お相手様」
「私が離れようとしたわけではないんだけど」
ドラグゼルンさんまで口を挟むので、ついつい呆れてしまった。
そんな私たちをラウは穏やかに見守るだけだった。
ともかく、私はラウの執着のおかげで無事だったと。嬉しいような嬉しくないような微妙な結末を迎えた。
封印の儀は終わり、式典も後は閉会するだけとなる。
「さて! 封印の儀が終わったから、式典を終了させるぞ!」
テラが舞台の中央でギャンギャン騒ぐ中、周りは周りで口々に思い思いのことを話していた。
「え? この状況で?」
「スヴェート側の人間は全滅しましたわ。トップもいなくなりましたのに!」
この甲高い声はルミアーナさんだ。
「ルミアーナさん、良かった。無事で」
「はい、デルストーム副官に守っていただきましたから」
ラウたちのそばにもいなかったし、ジンクレストは私の近くの舞台下にいたし、銀竜さん紫竜さんとも離れていたし。
いったいどこにいるのかと思って、ちょっと心配だったのだ。
ルミアーナさんの話では、第八師団長とデルストームさんといっしょに行動していたとのこと。
「デルストームさん、カーネリウスさんより使えるよね」
「クロエル補佐官ーーー。その言い方はないです。俺、今回は師団長を守って頑張りましたから!」
私の評価に慌てたのは、カーネリウスさんだ。
「そうですわね。今回は、よくやりましたわね」
「今回は、って?」
「うぐっ。なんでもありませんよ。クロエル補佐官!」
「ホホホホホホ」
ルミアーナさんが辛辣な言い方をするのが引っかかるけど、まぁ、カーネリウスさんがポンコツなのはいつものことだから。
私はとくに気にもとめなかった。
しかし、式典を始めた以上、終わりはきちんと行わないといけない。
「舎弟! 収拾しろ!」
「師匠、承知しました」
塔長の合図で、塔長の配下の人たちと、スヴェート大神殿の人たちが一斉に動き出した。
皆様、少々お待ちください。手順は変わりましたが、閉会の辞に移る前に会場の整理をいたしますので。
みたいなアナウンスを誰かがやっている中、瞬く間に、会場が再び整えられた。
「というわけで、エルヴェス。新皇帝陛下に挨拶してもらってもいいか?」
「モチのロンよ!」
シュンと私の横に現れたのは、今まで姿を見せなかったエルヴェスさん。
「エルヴェスさん、いつの間に?」
横を見ると、メモリアもいる。
確か二人とも、どこかに偵察に行ったんだったよね。今までどこに行ってたの?と質問しようと思ったのに。
エルヴェスさんはいつもの調子で、けたたましく騒ぎ始めた。
「サーー、式典、チャッチャと終わらせるわよー! アタシの名にかけて!」
「「いいから、進めろ」」
塔長とそしてラウの同時突っ込み。
それにもめげず、エルヴェスさんがパチンと手を鳴らすと、会場の入り口から誰かが入ってきた。
騎士に囲まれた豪奢な服装の人物は、まさか、本物の皇太子?
その疑問はすぐに解決されることになる。
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