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7 帝国動乱編
3-8
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スヴェートの民族舞踏と音楽が始まった。軽やかな舞が目の前で繰り広げられているのを、見て楽しむ。
すると、
「そちらの男性と女性の方、どうぞ」
メイ群島国からの参加者が舞台に誘われ、いっしょになって舞を踊り始めた。
声をかけられたときはちょっと微妙な表情をしていたけど、踊り出したら、楽しそうだ。
メイ群島国は温かなところだけあって、薄着でヒラヒラした服装でのダンスが盛んな国だという。
体を動かすことは嫌いではないのだろう。
今度は私たちに向かって、声がかけられた。
「そちらの素敵なご夫婦も、どうぞ」
「素敵な夫婦だと。間違いなく俺とフィアのことだよな」
あっさりつられるラウ。
私を抱き上げたまま、ラウはひょいと舞台に上がってしまった。
うん、このまま踊るつもりなのかな、夫よ。
「ちょっとラウ。大丈夫なの?」
「そうだぞ、黒竜、調子に乗るな」
仕掛けているとしたら、絶対にこの舞台だと思うんだけどね。
それとも意表をついて、別の場所だとか?
「俺がついているんだ。大丈夫に決まってるだろ」
はぁ。
なんだかため息が出る。
この会場に来てから私はあれこれ考えていたのに、ラウは何も考えていないようだ。
そもそも、竜種は本能で動くタイプだから、ラウにあれこれ考えることを求めてはいけないのかも。
それに、本能で動くラウが大丈夫だと思うのなら大丈夫なのかも、とも思ってみたり。
私もかなりラウ寄りになっているなぁ。
私はラウに連れられるまま、というか、がっつり抱き上げられたまま、舞台にあがった。
そこで、ようやく下ろしてもらえる。
抱き上げたままではいっしょに踊れないことに、ラウはようやく気がついたらしい。
少し暗めの緩やかな音楽が流れる中、メイ群島国の男女といっしょになって、身体を動かす。
うーん、これ、余興でやるほどのものじゃないよね。
でも、周りを見ると、メイ群島国の人もラウも満足げ。
私ひとり、つまらないとも言い出せず。
私たちはしばらくそのまま踊ったのだった。
そんな中、
「揃ったから、そろそろ始めてくれ」
皇配がそんなことを進行役に告げた。
そろそろ式典開始の時間だろうか。
それなら早く、舞台から降りないと。
「ラウ。そろそろ、ううっ」
私がラウに声をかけている最中に、それは起こった。
グラッと視界が揺れる。
違う。私の身体がグラグラと揺れているんだ。
「フィア!」
ラウが慌てて私の身体を支える。
そのまま私の身体を抱き上げようとするのを、私は押しとどめた。抱き上げなんてしたら、ラウの両手が塞がってしまう。
「今度は完璧よ。わたくしの魔法陣に不可能はないの。ここに存在する、すべての『破壊』を封じ込めたわ!」
私の視線の先には、小さいメダルの開発者、エルシュミットがニタニタと嬉しそうに笑っていた。
手には鈍く光る銀色のメダル。
そう。この感じ。
レストスでやられた《破壊の封印》に間違いない。
「開発者だ」
「《破壊の封印》か」
テラと二番目の声だけ聞こえて、どこにいるのか姿はよく分からない。
「何?!」
「ほら、仕掛けてくるって忠告しただろ」
テラがラウに話しかける。
「いちいち騒ぐな、チビ」
「大丈夫か、四番目」
大丈夫かと言われてもね。
何かに押さえつけられるような圧迫感が、身体全体に感じられる。
手に魔力を集めてみた。集まってはくるけれど肝心の魔法陣が出てこない。
無理やり力のある言葉を唱えてみたけど、詠唱魔法が発動しない。
魔力が集まるのならと、右手をぐっとにぎりしめて破壊の大鎌を顕現させようとしてみる。ダメだ。魔剣も呼び出せない。
「破壊の力が、魔剣が、出てこない」
「くそっ。俺のもだ」
「調子に乗るからだろ、黒竜」
「うるさいぞ、チビ。騒いでいる場合じゃない」
ラウの魔剣も出てこない、ということは、私の『破壊』だけを狙ったものではないということ。
「赤種の破壊と、破壊と魔剣の力、両方封じ込めたか」
「俺の魔剣もダメです!」
カーネリウスさんが叫ぶ。カーネリウスさんは舞台の上にすら登ってないのに。
「アハハハハハ。封じ込められるのは、魔法陣の中だけでなくてよ。魔法陣の外のものにも効果があるのだから。素晴らしいでしょう」
開発者は虚ろな目で、笑い続ける。
「魔法陣は舞台の床に直接、掘ったけれど、効果範囲はこの会場全体。ほら、完璧でしょう。今度は魔法陣の破壊なんてできるわけないわ!」
考えなしなのか、単に自分は凄いんだと自慢したいのか、丁寧にも魔法陣の場所と解説をしてくれた。
やっぱり、自我がおかしくなってるんだよね、これ。わざわざ、ペラペラ喋ってくれるんだもの。
「アハ、アハハハハハ。これで破壊の赤種も終わりね。おとなしくシュオール様に捧げられなさいな」
そう言って開発者は、さらに二枚目のメダルを取り出した。そして魔力をメダルに込める。
「《混沌獣の召喚》か。厄介なものを」
テラの声がまた聞こえ、舌打ちする音も同時に聞こえた。
グルァァァァァァァァァ
あちこちから魔物のうなり声があがる。
意外にも悲鳴は聞こえない。
まぁ、『何かたいへんなことが起きるよ』と警告されての参加だったから、皆、それなりに覚悟してきたということだろう。
魔物は舞台上にいる私たちにも襲いかかる。
マズい。
魔法が使えなくて、魔剣も使えないなら、今の私たちは丸腰だ。
なのに。
「キャァァァァァァ」
スヴェートの舞を踊っていた女性たちが、真っ先に狙われた。
「なんで? 味方じゃないの?」
「自分以外のやつはどうでもいいんだろ」
ラウが私を庇いつつ、舞台から後退する。
とそこへ、魔物がラウに襲いかかる。
グルァァァァァァァァァ
トカゲ型をした魔物が大きな口を開け、ラウの肩にかじりついた。
「ラウ!」
ドガッッッッ
「え? 素手で殴った?」
ラウに素手で殴られて吹き飛ぶ魔物。
「このくらいは、なんてことないぞ」
「え? そうなの?」
素手? さすがに素手で殴るってのはないんじゃないかな。それとも竜種は素手で魔物を屠れるくらい強いのかな。
「素手で魔獣や魔物を倒せるのは、ドラグニール師団長くらいですから!」
期待した目でカーネリウスさんを見たけど、悲鳴のような叫び声をあげただけだった。
チェッ
「それだから、物理最強って言われてるんだよな、黒竜は」
と、銀竜さん。
銀竜さんは浄化の力を使っているようだ。対して、精霊魔法が得意な紫竜さんはちょっと苦戦しつつも、無理やり精霊魔法を使っている。
上位竜種それぞれ、得意分野が違うので、戦い方もさまざまなんだ。
ラウはラウで、襲いかかる魔物を殴る蹴る。
どんどん溢れてくる魔物。
シュッ
「チッ」
ラウが私の腰を抱えて、一気に後ろに跳んだ。
さっきまで私たちがいたところには、魔力でできた黒い槍が刺さっている。
「ふん、避け方も無様だな」
ラウを攻撃してきたのは、皇太子の装いをした三番目。
「四番目から離れろ、黒トカゲ。ここでお前の息の根を止めてやる」
「フィア、少し下がってろ」
睨み合うラウと三番目。溢れる魔物。
周りは魔物と対峙しているか、魔物から身を守っているかのどちらかだ。
こんな状況の中、私はあることを決意した。
すると、
「そちらの男性と女性の方、どうぞ」
メイ群島国からの参加者が舞台に誘われ、いっしょになって舞を踊り始めた。
声をかけられたときはちょっと微妙な表情をしていたけど、踊り出したら、楽しそうだ。
メイ群島国は温かなところだけあって、薄着でヒラヒラした服装でのダンスが盛んな国だという。
体を動かすことは嫌いではないのだろう。
今度は私たちに向かって、声がかけられた。
「そちらの素敵なご夫婦も、どうぞ」
「素敵な夫婦だと。間違いなく俺とフィアのことだよな」
あっさりつられるラウ。
私を抱き上げたまま、ラウはひょいと舞台に上がってしまった。
うん、このまま踊るつもりなのかな、夫よ。
「ちょっとラウ。大丈夫なの?」
「そうだぞ、黒竜、調子に乗るな」
仕掛けているとしたら、絶対にこの舞台だと思うんだけどね。
それとも意表をついて、別の場所だとか?
「俺がついているんだ。大丈夫に決まってるだろ」
はぁ。
なんだかため息が出る。
この会場に来てから私はあれこれ考えていたのに、ラウは何も考えていないようだ。
そもそも、竜種は本能で動くタイプだから、ラウにあれこれ考えることを求めてはいけないのかも。
それに、本能で動くラウが大丈夫だと思うのなら大丈夫なのかも、とも思ってみたり。
私もかなりラウ寄りになっているなぁ。
私はラウに連れられるまま、というか、がっつり抱き上げられたまま、舞台にあがった。
そこで、ようやく下ろしてもらえる。
抱き上げたままではいっしょに踊れないことに、ラウはようやく気がついたらしい。
少し暗めの緩やかな音楽が流れる中、メイ群島国の男女といっしょになって、身体を動かす。
うーん、これ、余興でやるほどのものじゃないよね。
でも、周りを見ると、メイ群島国の人もラウも満足げ。
私ひとり、つまらないとも言い出せず。
私たちはしばらくそのまま踊ったのだった。
そんな中、
「揃ったから、そろそろ始めてくれ」
皇配がそんなことを進行役に告げた。
そろそろ式典開始の時間だろうか。
それなら早く、舞台から降りないと。
「ラウ。そろそろ、ううっ」
私がラウに声をかけている最中に、それは起こった。
グラッと視界が揺れる。
違う。私の身体がグラグラと揺れているんだ。
「フィア!」
ラウが慌てて私の身体を支える。
そのまま私の身体を抱き上げようとするのを、私は押しとどめた。抱き上げなんてしたら、ラウの両手が塞がってしまう。
「今度は完璧よ。わたくしの魔法陣に不可能はないの。ここに存在する、すべての『破壊』を封じ込めたわ!」
私の視線の先には、小さいメダルの開発者、エルシュミットがニタニタと嬉しそうに笑っていた。
手には鈍く光る銀色のメダル。
そう。この感じ。
レストスでやられた《破壊の封印》に間違いない。
「開発者だ」
「《破壊の封印》か」
テラと二番目の声だけ聞こえて、どこにいるのか姿はよく分からない。
「何?!」
「ほら、仕掛けてくるって忠告しただろ」
テラがラウに話しかける。
「いちいち騒ぐな、チビ」
「大丈夫か、四番目」
大丈夫かと言われてもね。
何かに押さえつけられるような圧迫感が、身体全体に感じられる。
手に魔力を集めてみた。集まってはくるけれど肝心の魔法陣が出てこない。
無理やり力のある言葉を唱えてみたけど、詠唱魔法が発動しない。
魔力が集まるのならと、右手をぐっとにぎりしめて破壊の大鎌を顕現させようとしてみる。ダメだ。魔剣も呼び出せない。
「破壊の力が、魔剣が、出てこない」
「くそっ。俺のもだ」
「調子に乗るからだろ、黒竜」
「うるさいぞ、チビ。騒いでいる場合じゃない」
ラウの魔剣も出てこない、ということは、私の『破壊』だけを狙ったものではないということ。
「赤種の破壊と、破壊と魔剣の力、両方封じ込めたか」
「俺の魔剣もダメです!」
カーネリウスさんが叫ぶ。カーネリウスさんは舞台の上にすら登ってないのに。
「アハハハハハ。封じ込められるのは、魔法陣の中だけでなくてよ。魔法陣の外のものにも効果があるのだから。素晴らしいでしょう」
開発者は虚ろな目で、笑い続ける。
「魔法陣は舞台の床に直接、掘ったけれど、効果範囲はこの会場全体。ほら、完璧でしょう。今度は魔法陣の破壊なんてできるわけないわ!」
考えなしなのか、単に自分は凄いんだと自慢したいのか、丁寧にも魔法陣の場所と解説をしてくれた。
やっぱり、自我がおかしくなってるんだよね、これ。わざわざ、ペラペラ喋ってくれるんだもの。
「アハ、アハハハハハ。これで破壊の赤種も終わりね。おとなしくシュオール様に捧げられなさいな」
そう言って開発者は、さらに二枚目のメダルを取り出した。そして魔力をメダルに込める。
「《混沌獣の召喚》か。厄介なものを」
テラの声がまた聞こえ、舌打ちする音も同時に聞こえた。
グルァァァァァァァァァ
あちこちから魔物のうなり声があがる。
意外にも悲鳴は聞こえない。
まぁ、『何かたいへんなことが起きるよ』と警告されての参加だったから、皆、それなりに覚悟してきたということだろう。
魔物は舞台上にいる私たちにも襲いかかる。
マズい。
魔法が使えなくて、魔剣も使えないなら、今の私たちは丸腰だ。
なのに。
「キャァァァァァァ」
スヴェートの舞を踊っていた女性たちが、真っ先に狙われた。
「なんで? 味方じゃないの?」
「自分以外のやつはどうでもいいんだろ」
ラウが私を庇いつつ、舞台から後退する。
とそこへ、魔物がラウに襲いかかる。
グルァァァァァァァァァ
トカゲ型をした魔物が大きな口を開け、ラウの肩にかじりついた。
「ラウ!」
ドガッッッッ
「え? 素手で殴った?」
ラウに素手で殴られて吹き飛ぶ魔物。
「このくらいは、なんてことないぞ」
「え? そうなの?」
素手? さすがに素手で殴るってのはないんじゃないかな。それとも竜種は素手で魔物を屠れるくらい強いのかな。
「素手で魔獣や魔物を倒せるのは、ドラグニール師団長くらいですから!」
期待した目でカーネリウスさんを見たけど、悲鳴のような叫び声をあげただけだった。
チェッ
「それだから、物理最強って言われてるんだよな、黒竜は」
と、銀竜さん。
銀竜さんは浄化の力を使っているようだ。対して、精霊魔法が得意な紫竜さんはちょっと苦戦しつつも、無理やり精霊魔法を使っている。
上位竜種それぞれ、得意分野が違うので、戦い方もさまざまなんだ。
ラウはラウで、襲いかかる魔物を殴る蹴る。
どんどん溢れてくる魔物。
シュッ
「チッ」
ラウが私の腰を抱えて、一気に後ろに跳んだ。
さっきまで私たちがいたところには、魔力でできた黒い槍が刺さっている。
「ふん、避け方も無様だな」
ラウを攻撃してきたのは、皇太子の装いをした三番目。
「四番目から離れろ、黒トカゲ。ここでお前の息の根を止めてやる」
「フィア、少し下がってろ」
睨み合うラウと三番目。溢れる魔物。
周りは魔物と対峙しているか、魔物から身を守っているかのどちらかだ。
こんな状況の中、私はあることを決意した。
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