293 / 384
6 討伐大会編
2-5
しおりを挟む
「そうだ、私だけ名乗ってない!」
ラウもイリニも名乗ったんだから、次は私の番か。
コホンと軽く咳払いをしてから、私は口を開いた。自己紹介なんて久しぶりで、ちょっと緊張する。
「私はクロスフィア・クロエル・ドラグニール。エルメンティアの特級補佐官で、赤種の四番目」
赤種の威厳を保ちつつ、かといって、偉ぶり過ぎることなく。
それが私の目指すところ。
赤種なんだから好きにしていいんだ、とテラは言う。だとしても、し過ぎて良いことなんて、世の中に何一つない。
「ラウは私の夫なんだから、苛めないで」
その言葉も付け加えておいた。
「ドラグニール師団長。そこでドヤ顔しないでいただけます?」
「ァア? 別に良いだろうが、フィアに愛されてるのは俺なんだから」
「なんか、ムカつくんですよね」
ラウとジンクレストのこそこそ話(丸聞こえ)は聞こえないフリ。
イリニにも、こそこそ話は聞こえたようで、憮然とした顔をしている。
それでも、イリニはラウたちの会話には触れず、
「黒竜が夫だと? それより、赤種の四番目って破壊の赤種か。なるほど、それであの魔力圧」
私の自己紹介の方に興味を示した。
「どうりで違うわけだよな。あの突き刺さるような痛みは、普通ではありえない」
「誉めてるの? 貶してるの?」
ちょっと、イリニの興味の示すところがおかしい。
「そうか、分かるか。フィアのあの肌に突き刺さるような、心臓を抉られるような、魔力圧が」
ラウもおかしい。いや、おかしいのは元からだけど。
「当然だろう。あのうっとりするような痛み。他では絶対に味わえない」
「そうだろう、そうだろう。見る目はあるな、お前」
二人揃っておかしい。
「て、意気投合してるし」
「だが、これとそれとは別問題だ。俺はフィアを譲る気はない」
「安心しろ、譲られるつもりはない。お前から奪い取るだけだ」
「だから。夫は間に合ってるから」
私は二人に対してきっぱりと言い放った。
二人がいつまでも言い争っているものだから、辺りは人だかりだ。
恥ずかしい。
こんなことでこんなに目立つつもりはなかったのに。
エルメンティアとザイオン代表が集まっているだけかと思ったら、メイ群島国もいる。
他にも、黒マントで頭からフードをスッポリとかぶった怪しい人たちもいる。あれは、スヴェートか。
よくよく視ると、黒地に黒糸の刺繍でスヴェートの紋章が入っているわ。私の眼じゃなければ、絶対に気が付いてもらえないよ、あれ。
それと、なんとなく、カーシェイさんらしき魔力波動やスヴェート皇女らしき魔力波動も感じたような気もした。
なんとなく、それに、あまりにも僅かな物だったので、違うかもしれない。
他の人に魔力の痕跡が残っていたのを拾い上げただけな可能性もある。
まぁ、竜種で騎士のカーシェイさんがスヴェートチームとして来ていたとしても、不思議ではない。
ただ、スヴェート皇女は参加するだろうか。
うん、よく分からないけど。
私たちの周りはそんな感じの人だかりで、視線がもの凄く集中しているのに、イリニが気にしている様子はまったくなかった。
視線に慣れているのか、それとも、はなから気にしないのか。
イリニは変わらない口調で、いまさらなことを尋ねてくる。
「まさかとは思うが、クロスフィアは、黒竜みたいなのがタイプなのか?」
「うん。ラウって、懐いた熊みたいでかわいいから」
少なくとも嫌いなタイプだったら、結婚を破壊しているし。それに、ラウは意外とかわいいんだ。
だから、堂々と返事をすると、反応がこれだ。
「は? かわいい? これが?」
イリニに唖然とした顔をされる。
「気持ちは痛いほど分かります」
「お前、どっちの味方だよ」
ラウとジンクレストも何か言い合っているのが聞こえるけど。そんなことよりも、夫をこれ扱いされた方が問題だ。
「過保護で粘着質で独占欲が強くて愛情が重くて距離感がおかしく変質者で執着が過ぎるところがなければ、ラウはいい夫なんだから」
「問題部分が多すぎませんか?」
「俺に問題なんて何一つないぞ」
「破壊の赤種ともなると、好む男性のタイプも独特なんだな」
「誉めてないよね? 貶してるよね?」
さっきから酷いことばかり言ってくるよ、こいつ。
やっぱり、イリニとは合いそうもない。
「お前はフィアの好むタイプじゃないんだ。さっさと、自分のチームの戻るんだな。そして、独りで国に帰れ」
「トカゲは引っ込んでろよ。だいたい、こんな素敵な女性を、簡単に諦めるわけがないだろう」
こうして、ラウとイリニの言い争いは続く。
ラウの言い分はもっともだから、私としても止めるつもりはサラサラないし。
だから、言い争いは終わらない。
「まったく、クロスフィア様も歩くそばから、粘着質を引き寄せますよね」
「私のせいじゃないっ…………て」
粘着質で思い出した。
「何か心当たりあるんですか?」
「いや、別に」
ジンクレストには否定したけど、心当たりはばっちりあった。
よく当たると有名な占い師の占い。
男運が悪いって言われてたわ。
「それなら結構です。クロスフィア様には、嫉妬深くて粘着質だけれど力だけは最強の夫と、頼もしい専属護衛がいれば十分ですから」
「さりげなく、ラウの解説と自分アピールしないでくれる?」
占い結果をジンクレストにナイショにするとして、この二人の言い合いをどう終わらせようか。
イリニのことが気にくわなくても、いつまでも、こうしているわけにはいかないよね。
次のことを考える私の背に、甲高い声がかけられた。
「クロスフィアさん、連れてきましたわ、捨て石を!」
この際だ。捨て石でもなんでも、投じてみるとしよう。
ルミアーナさんが連れてきた捨て石は、予想通りの人物だった。
ラウもイリニも名乗ったんだから、次は私の番か。
コホンと軽く咳払いをしてから、私は口を開いた。自己紹介なんて久しぶりで、ちょっと緊張する。
「私はクロスフィア・クロエル・ドラグニール。エルメンティアの特級補佐官で、赤種の四番目」
赤種の威厳を保ちつつ、かといって、偉ぶり過ぎることなく。
それが私の目指すところ。
赤種なんだから好きにしていいんだ、とテラは言う。だとしても、し過ぎて良いことなんて、世の中に何一つない。
「ラウは私の夫なんだから、苛めないで」
その言葉も付け加えておいた。
「ドラグニール師団長。そこでドヤ顔しないでいただけます?」
「ァア? 別に良いだろうが、フィアに愛されてるのは俺なんだから」
「なんか、ムカつくんですよね」
ラウとジンクレストのこそこそ話(丸聞こえ)は聞こえないフリ。
イリニにも、こそこそ話は聞こえたようで、憮然とした顔をしている。
それでも、イリニはラウたちの会話には触れず、
「黒竜が夫だと? それより、赤種の四番目って破壊の赤種か。なるほど、それであの魔力圧」
私の自己紹介の方に興味を示した。
「どうりで違うわけだよな。あの突き刺さるような痛みは、普通ではありえない」
「誉めてるの? 貶してるの?」
ちょっと、イリニの興味の示すところがおかしい。
「そうか、分かるか。フィアのあの肌に突き刺さるような、心臓を抉られるような、魔力圧が」
ラウもおかしい。いや、おかしいのは元からだけど。
「当然だろう。あのうっとりするような痛み。他では絶対に味わえない」
「そうだろう、そうだろう。見る目はあるな、お前」
二人揃っておかしい。
「て、意気投合してるし」
「だが、これとそれとは別問題だ。俺はフィアを譲る気はない」
「安心しろ、譲られるつもりはない。お前から奪い取るだけだ」
「だから。夫は間に合ってるから」
私は二人に対してきっぱりと言い放った。
二人がいつまでも言い争っているものだから、辺りは人だかりだ。
恥ずかしい。
こんなことでこんなに目立つつもりはなかったのに。
エルメンティアとザイオン代表が集まっているだけかと思ったら、メイ群島国もいる。
他にも、黒マントで頭からフードをスッポリとかぶった怪しい人たちもいる。あれは、スヴェートか。
よくよく視ると、黒地に黒糸の刺繍でスヴェートの紋章が入っているわ。私の眼じゃなければ、絶対に気が付いてもらえないよ、あれ。
それと、なんとなく、カーシェイさんらしき魔力波動やスヴェート皇女らしき魔力波動も感じたような気もした。
なんとなく、それに、あまりにも僅かな物だったので、違うかもしれない。
他の人に魔力の痕跡が残っていたのを拾い上げただけな可能性もある。
まぁ、竜種で騎士のカーシェイさんがスヴェートチームとして来ていたとしても、不思議ではない。
ただ、スヴェート皇女は参加するだろうか。
うん、よく分からないけど。
私たちの周りはそんな感じの人だかりで、視線がもの凄く集中しているのに、イリニが気にしている様子はまったくなかった。
視線に慣れているのか、それとも、はなから気にしないのか。
イリニは変わらない口調で、いまさらなことを尋ねてくる。
「まさかとは思うが、クロスフィアは、黒竜みたいなのがタイプなのか?」
「うん。ラウって、懐いた熊みたいでかわいいから」
少なくとも嫌いなタイプだったら、結婚を破壊しているし。それに、ラウは意外とかわいいんだ。
だから、堂々と返事をすると、反応がこれだ。
「は? かわいい? これが?」
イリニに唖然とした顔をされる。
「気持ちは痛いほど分かります」
「お前、どっちの味方だよ」
ラウとジンクレストも何か言い合っているのが聞こえるけど。そんなことよりも、夫をこれ扱いされた方が問題だ。
「過保護で粘着質で独占欲が強くて愛情が重くて距離感がおかしく変質者で執着が過ぎるところがなければ、ラウはいい夫なんだから」
「問題部分が多すぎませんか?」
「俺に問題なんて何一つないぞ」
「破壊の赤種ともなると、好む男性のタイプも独特なんだな」
「誉めてないよね? 貶してるよね?」
さっきから酷いことばかり言ってくるよ、こいつ。
やっぱり、イリニとは合いそうもない。
「お前はフィアの好むタイプじゃないんだ。さっさと、自分のチームの戻るんだな。そして、独りで国に帰れ」
「トカゲは引っ込んでろよ。だいたい、こんな素敵な女性を、簡単に諦めるわけがないだろう」
こうして、ラウとイリニの言い争いは続く。
ラウの言い分はもっともだから、私としても止めるつもりはサラサラないし。
だから、言い争いは終わらない。
「まったく、クロスフィア様も歩くそばから、粘着質を引き寄せますよね」
「私のせいじゃないっ…………て」
粘着質で思い出した。
「何か心当たりあるんですか?」
「いや、別に」
ジンクレストには否定したけど、心当たりはばっちりあった。
よく当たると有名な占い師の占い。
男運が悪いって言われてたわ。
「それなら結構です。クロスフィア様には、嫉妬深くて粘着質だけれど力だけは最強の夫と、頼もしい専属護衛がいれば十分ですから」
「さりげなく、ラウの解説と自分アピールしないでくれる?」
占い結果をジンクレストにナイショにするとして、この二人の言い合いをどう終わらせようか。
イリニのことが気にくわなくても、いつまでも、こうしているわけにはいかないよね。
次のことを考える私の背に、甲高い声がかけられた。
「クロスフィアさん、連れてきましたわ、捨て石を!」
この際だ。捨て石でもなんでも、投じてみるとしよう。
ルミアーナさんが連れてきた捨て石は、予想通りの人物だった。
0
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる