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3 武道大会編
3-8
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「あぁ、カーシェイ。こいつを捕らえるぞ」
ラウは振り向きもせず、カーシェイさんに声をかけた。
カーシェイさんは、エルヴェスさん言うところの『辛気くさい』表情で、静かにラウの横に並ぶ。
私がラウの右側にくっついている形なので、カーシェイさんは左側に陣取る形だ。
「はい」
カーシェイさんはピンクに穏やかな目を向けている。辛気くさい表情と目つきが、まるで合っていない、よね?
二人して、ピンクに切りかかろうとした瞬間、
「ラウ! 危ない!」
ガキーーーン
ピンクを狙っていたはずのカーシェイさんの剣が、急に軌道を変えて、ラウを貫いた。
息が止まる。
「よく受け止めましたね」
「これでも上位竜種なんでな」
そう、ラウはすんでのところで、左の双剣を使い、カーシェイさんの剣を弾き飛ばしていた。
うん、貫いたら、ガキーーーンなんて音、しないよね。
ラウが刺されたかと思って、思いっきり焦った。
「やはり、他の人間と同じようには行きませんね」
「カーシェイ、残念だよ」
当たり前のことのように話す。静かに。
ラウもこの展開を予想していたかのようだ。
カーシェイさんに刺されそうになったというのに、まるで動じていない。
「カーシェイさん、どうして?」
「あなたの黒竜と同じことをしているだけですよ」
ラウは仲間を刺したりしないけど?
ああ、訓練と称してボコボコにはしてたかな。
うん、カーシェイさんの言葉の意味がちょっとよく分からない。
「俺の大切な伴侶の邪魔はさせません」
そう言いきると、カーシェイさんは魔力を全開にして、ピンクの横に並んだ。
「伴侶?」
鑑定眼に鑑定を重ねたからか、もう隠す気もないのか、霞がかかっていたピンクの正体がはっきり視える。
「それが?」
十七、八の少女には間違いない。
身体は。
でも、その身体に霞のようなものが取り付いている。霞によって身体が無理やり動かされているようなものだ。
意識もおそらく、身体の持ち主のものではない。霞のようなものの意識だろう。
身体と意識が別人。
そうか。最初に私が視たのは、身体の方の情報だったんだ。
霞がかって視えたのは、まさしく、霞のように身体に取り付いている、誰かの魔力と意識。
若い美少女の身体に巣くう怪物。
そんな呼び方がとてもよく似合う。
だから、最初に視たときに違和感を感じたのか。
そして、ノルンガルスさんが鑑定したのは霞の方の情報。
彼女はアルタルに隠れていたリトアルを見つけていたんだ。
まさか、正体がバレるのを防ぐため、ノルンガルズさんに大ケガ負わせたんじゃないよね?
カーシェイさんはそんな怪物にうっとりとした視線を向けていた。
あぁ、この前、なんとなくラウに似ているなーと思ってたけど。
紛れもなくラウだ。ラウの目つきだ。ラウもこんな目で私を見ている。
つまり、あれだ。
竜種の特性だ。
上位竜種も普通竜種も関係なく、竜種は皆、恋する乙女なんだ。
「だって、どう視ても四十でしょ、そのピンク」
「なんですってぇ!」
身体はともかく、意識はそのくらいの年齢だ。
図星で焦ったのか、ピンクに巣くう霞の正体がさらに視えた。
「あぁ、ごめん。四十五か」
「お黙りなさい!」
ピンクが目をつり上げてこっちを睨みつける。
カーシェイさんがピンク側についた、とはいえ、ピンクの方が分が悪いはず。
闘技場のあちこちにいたスヴェート騎士はほとんどが捕らえられているのに、まだ、形勢逆転でも狙っているのだろうか。
ピンクの後ろ側に第七師団長率いる第七師団が展開し始めた。
ラウは私に会話を任せ、第六師団と連絡を取る。
もう少しすれば、第六師団もラウの下に集まるに違いない。
「アルタル様、ここはいったん引きましょう」
カーシェイさんの方はさすがに状況が分かっているようで、ピンクに撤退を促す。
身体はアルタルだけれど、意識はアルタルじゃない。リトアルだ。
今の私の目にははっきりそれが視える。
「ここまでエルメンティアを混乱させれば、当面はよろしいのでは?」
カーシェイさんは、ピンクに撤退を促し続ける。カーシェイさんもピンクと逃げるつもりのようだ。
時間稼ぎになるかは分からないけど、少し揺さぶってみるかな。
私はピンクに静かな声で語りかける。
疑念の種をカーシェイさんに植え付けるため。
「アルタルは偽名だよね」
目をつり上げた表情のままのピンクに、ハッとした表情に変わるカーシェイさん。
やっぱり。
さらに静かに語りかける。
「カーシェイさん、伴侶の本名、知らないの?」
私の質問にカーシェイさんの頬が小さくビクッとなった。
静かな声でカーシェイさんの心を捕らえる。
「まさか、教えてもらってないとか?」
スヴェート皇帝リトアル・フロル・スヴェート。
圧政を廃し、スヴェートを立て直した勇猛な女帝と言われてる。
そんな人物が、他人の身体に取り付いて動かしているなんて。
正義の皇帝、という雰囲気は欠片もない。
「大事な大事な名前を教えてくれないような人が、伴侶でいいの?」
ラウは言っていた。竜種の愛は絶対だと。カーシェイさんもそうなんだろう。
でも、伴侶の竜種への愛は?
「ヴィッツ、わたくしにはあなたしかいないわ!」
「本当に? 嘘の名前を教えたのに?」
カーシェイさんの動揺を感じたピンクが甘い言葉をかけるのに合わせて、私も疑問の種を蒔く。
性格、悪くなりそうだな。
「わたくしは正真正銘、アルタルよ!」
「身体はね」
「こざかしい!」
ピンクが腕を振るう合図で、護衛から火の玉がラウに向かって打ち込まれる。
竜種相手にするには威力が弱いが、私の言葉を遮るには十分だった。
でも、その火の玉を、ラウは双剣を振るってあっさり防ぐ。
そして、背後を一目見て、
「もう、いいぞ、フィア」
ラウの後ろには第六師団の精鋭。
「お待たせしました」
第七師団と第六師団が、ピンクたちスヴェートを取り囲んだ。
「もう、逃げ場はないぞ」
ピンクの後方から声を荒げる第七師団長。幅広の大剣を軽々構えている。
おそらく、あれも破壊の魔剣だ。
「観念するんだな」
ラウも破壊の双剣を構え直す。
上位竜種に破壊の魔剣に、勇猛果敢な二大師団に囲まれた状況で、ピンクは思いも寄らぬ行動に出た。
「アハハハハハハ」
お姫様とは思えない大きな声で、笑い出したのだ。
護衛師団である第三師団とテラに守られる、エルメンティアの国王に目を向けながら。ピンクは笑い続ける。
ひとしきり笑ったあと、ピンクは国王を睨みつけながら持論を展開した。
「親善大使の皇女に対して、破壊の魔剣を向けるだなんて。
エルメンティアはとんでもなく野蛮な国ですわね!」
「はっ。よく言うよね。禁忌の魔法を使っておきながら」
第五師団長だ。
第四師団長は救護に任せたようて、ピンクの右側を第五師団が取り囲んでいる。
「あら。禁忌の魔法を使った証拠なんてあるのかしら。魔法陣も何もかもどこにも残っていないのに」
確かに、混乱魔法の魔導具も組み紐のお守りも、浄化で無力化はしたけれど。
「ぜんぶ消えたわけではないぞ。ちゃんと証拠は保存している」
いつの間にか、第一塔長がテラのそばから離れてやってきていた。
そう。第一塔で鑑定した組み紐のお守りは健在だ。
それに倒して捕縛したスヴェート騎士や魔導士も証拠になる。
「それに映像記録も残っているしな」
ラウの視線の先にいるのは、第六師団の記録班の皆さんだ。
きっと、ラウかエルヴェスさんにムチャブリされて、ぜんぶ記録させられていたんだな。
「さあ、どうする、スヴェート皇女」
そして、ピンクの左側は、総師団長を先頭に、第二師団と第四師団が控えていた。
周りを精鋭師団に囲まれて、後がないはずなのに、ピンクは狂ったように笑い始める。
その姿に嫌な予感が胸をよぎった。
ラウは振り向きもせず、カーシェイさんに声をかけた。
カーシェイさんは、エルヴェスさん言うところの『辛気くさい』表情で、静かにラウの横に並ぶ。
私がラウの右側にくっついている形なので、カーシェイさんは左側に陣取る形だ。
「はい」
カーシェイさんはピンクに穏やかな目を向けている。辛気くさい表情と目つきが、まるで合っていない、よね?
二人して、ピンクに切りかかろうとした瞬間、
「ラウ! 危ない!」
ガキーーーン
ピンクを狙っていたはずのカーシェイさんの剣が、急に軌道を変えて、ラウを貫いた。
息が止まる。
「よく受け止めましたね」
「これでも上位竜種なんでな」
そう、ラウはすんでのところで、左の双剣を使い、カーシェイさんの剣を弾き飛ばしていた。
うん、貫いたら、ガキーーーンなんて音、しないよね。
ラウが刺されたかと思って、思いっきり焦った。
「やはり、他の人間と同じようには行きませんね」
「カーシェイ、残念だよ」
当たり前のことのように話す。静かに。
ラウもこの展開を予想していたかのようだ。
カーシェイさんに刺されそうになったというのに、まるで動じていない。
「カーシェイさん、どうして?」
「あなたの黒竜と同じことをしているだけですよ」
ラウは仲間を刺したりしないけど?
ああ、訓練と称してボコボコにはしてたかな。
うん、カーシェイさんの言葉の意味がちょっとよく分からない。
「俺の大切な伴侶の邪魔はさせません」
そう言いきると、カーシェイさんは魔力を全開にして、ピンクの横に並んだ。
「伴侶?」
鑑定眼に鑑定を重ねたからか、もう隠す気もないのか、霞がかかっていたピンクの正体がはっきり視える。
「それが?」
十七、八の少女には間違いない。
身体は。
でも、その身体に霞のようなものが取り付いている。霞によって身体が無理やり動かされているようなものだ。
意識もおそらく、身体の持ち主のものではない。霞のようなものの意識だろう。
身体と意識が別人。
そうか。最初に私が視たのは、身体の方の情報だったんだ。
霞がかって視えたのは、まさしく、霞のように身体に取り付いている、誰かの魔力と意識。
若い美少女の身体に巣くう怪物。
そんな呼び方がとてもよく似合う。
だから、最初に視たときに違和感を感じたのか。
そして、ノルンガルスさんが鑑定したのは霞の方の情報。
彼女はアルタルに隠れていたリトアルを見つけていたんだ。
まさか、正体がバレるのを防ぐため、ノルンガルズさんに大ケガ負わせたんじゃないよね?
カーシェイさんはそんな怪物にうっとりとした視線を向けていた。
あぁ、この前、なんとなくラウに似ているなーと思ってたけど。
紛れもなくラウだ。ラウの目つきだ。ラウもこんな目で私を見ている。
つまり、あれだ。
竜種の特性だ。
上位竜種も普通竜種も関係なく、竜種は皆、恋する乙女なんだ。
「だって、どう視ても四十でしょ、そのピンク」
「なんですってぇ!」
身体はともかく、意識はそのくらいの年齢だ。
図星で焦ったのか、ピンクに巣くう霞の正体がさらに視えた。
「あぁ、ごめん。四十五か」
「お黙りなさい!」
ピンクが目をつり上げてこっちを睨みつける。
カーシェイさんがピンク側についた、とはいえ、ピンクの方が分が悪いはず。
闘技場のあちこちにいたスヴェート騎士はほとんどが捕らえられているのに、まだ、形勢逆転でも狙っているのだろうか。
ピンクの後ろ側に第七師団長率いる第七師団が展開し始めた。
ラウは私に会話を任せ、第六師団と連絡を取る。
もう少しすれば、第六師団もラウの下に集まるに違いない。
「アルタル様、ここはいったん引きましょう」
カーシェイさんの方はさすがに状況が分かっているようで、ピンクに撤退を促す。
身体はアルタルだけれど、意識はアルタルじゃない。リトアルだ。
今の私の目にははっきりそれが視える。
「ここまでエルメンティアを混乱させれば、当面はよろしいのでは?」
カーシェイさんは、ピンクに撤退を促し続ける。カーシェイさんもピンクと逃げるつもりのようだ。
時間稼ぎになるかは分からないけど、少し揺さぶってみるかな。
私はピンクに静かな声で語りかける。
疑念の種をカーシェイさんに植え付けるため。
「アルタルは偽名だよね」
目をつり上げた表情のままのピンクに、ハッとした表情に変わるカーシェイさん。
やっぱり。
さらに静かに語りかける。
「カーシェイさん、伴侶の本名、知らないの?」
私の質問にカーシェイさんの頬が小さくビクッとなった。
静かな声でカーシェイさんの心を捕らえる。
「まさか、教えてもらってないとか?」
スヴェート皇帝リトアル・フロル・スヴェート。
圧政を廃し、スヴェートを立て直した勇猛な女帝と言われてる。
そんな人物が、他人の身体に取り付いて動かしているなんて。
正義の皇帝、という雰囲気は欠片もない。
「大事な大事な名前を教えてくれないような人が、伴侶でいいの?」
ラウは言っていた。竜種の愛は絶対だと。カーシェイさんもそうなんだろう。
でも、伴侶の竜種への愛は?
「ヴィッツ、わたくしにはあなたしかいないわ!」
「本当に? 嘘の名前を教えたのに?」
カーシェイさんの動揺を感じたピンクが甘い言葉をかけるのに合わせて、私も疑問の種を蒔く。
性格、悪くなりそうだな。
「わたくしは正真正銘、アルタルよ!」
「身体はね」
「こざかしい!」
ピンクが腕を振るう合図で、護衛から火の玉がラウに向かって打ち込まれる。
竜種相手にするには威力が弱いが、私の言葉を遮るには十分だった。
でも、その火の玉を、ラウは双剣を振るってあっさり防ぐ。
そして、背後を一目見て、
「もう、いいぞ、フィア」
ラウの後ろには第六師団の精鋭。
「お待たせしました」
第七師団と第六師団が、ピンクたちスヴェートを取り囲んだ。
「もう、逃げ場はないぞ」
ピンクの後方から声を荒げる第七師団長。幅広の大剣を軽々構えている。
おそらく、あれも破壊の魔剣だ。
「観念するんだな」
ラウも破壊の双剣を構え直す。
上位竜種に破壊の魔剣に、勇猛果敢な二大師団に囲まれた状況で、ピンクは思いも寄らぬ行動に出た。
「アハハハハハハ」
お姫様とは思えない大きな声で、笑い出したのだ。
護衛師団である第三師団とテラに守られる、エルメンティアの国王に目を向けながら。ピンクは笑い続ける。
ひとしきり笑ったあと、ピンクは国王を睨みつけながら持論を展開した。
「親善大使の皇女に対して、破壊の魔剣を向けるだなんて。
エルメンティアはとんでもなく野蛮な国ですわね!」
「はっ。よく言うよね。禁忌の魔法を使っておきながら」
第五師団長だ。
第四師団長は救護に任せたようて、ピンクの右側を第五師団が取り囲んでいる。
「あら。禁忌の魔法を使った証拠なんてあるのかしら。魔法陣も何もかもどこにも残っていないのに」
確かに、混乱魔法の魔導具も組み紐のお守りも、浄化で無力化はしたけれど。
「ぜんぶ消えたわけではないぞ。ちゃんと証拠は保存している」
いつの間にか、第一塔長がテラのそばから離れてやってきていた。
そう。第一塔で鑑定した組み紐のお守りは健在だ。
それに倒して捕縛したスヴェート騎士や魔導士も証拠になる。
「それに映像記録も残っているしな」
ラウの視線の先にいるのは、第六師団の記録班の皆さんだ。
きっと、ラウかエルヴェスさんにムチャブリされて、ぜんぶ記録させられていたんだな。
「さあ、どうする、スヴェート皇女」
そして、ピンクの左側は、総師団長を先頭に、第二師団と第四師団が控えていた。
周りを精鋭師団に囲まれて、後がないはずなのに、ピンクは狂ったように笑い始める。
その姿に嫌な予感が胸をよぎった。
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