135 / 384
3 武道大会編
3-3
しおりを挟む
武道大会が始まった。
開会式から最後の表彰式まで全行程三日間。
生まれてこの方、ずっと王都で暮らしているというのに、武道大会の観戦はおろか、武道大会があること自体を知らなかった、この私。
国王が開会を宣言するところを見て、感動する。
国王を見るのもこれが初めてだ。
テラが国王の隣の区画にちょこんと座っているのも見て取れる。
「うわー」
声が漏れた。
「どうした?」
ラウが私の顔をのぞき込むようにして、話しかけてくる。
「凄いなーと思って」
今日もラウは私にべったりとくっついていた。何か言う人はここにはいない。
「私、外に出たこと、なかったから」
ぐるりと見回すと、大会関係者の席に、元父がいるのが見えた。
隣には元妹もいる。
護衛を二人も従えて、楽しそうにはしゃぐ姿が目に映った。
もう、あの家族といっしょにいるはずのネージュはいない。
ネージュは半年前に死んだんだ。ネージュが死んでも、皆、変わらず楽しそうにしているんだ。
私は目を閉じて、昔の名前であるネージュを思い起こした。
なんの感情も出てこない。
家族に家門に認めてもらいたくて、あんなに必死になって、もがいていたのに。
恨めしい、悔しい、悲しい、つらい、苦しい、そんな気持ちが私の中から消えていた。
「おまえの名前はクロスフィアだ」
突然、ラウが私の名前を呼ぶ。
珍しく愛称ではない、正しい名前で。
びっくりしてラウを見ると、ラウも私と同じところを見つめていた。私の元家族たちを。
そして、私の方を向いて言う。
「そして、俺のフィアだ」
俺に任せておけば大丈夫。
そう言って私をいつも安心させ、支えてくれる、ラウの心の声が聞こえたような気がした。
「ありがとう、ラウ」
自然と口から言葉がこぼれた。
実は、少し緊張していた。
今は、クロスフィア・ドラグニールとして生きているけど。
銀髪に紅い目。当然、見た目はネージュ・グランフレイムとなんの変わりもない。声や話し方だって同じだ。
ネージュを知っている人が私を見たら、死んだネージュが生き返ったのかと思うだろう。
そのとき、どんな反応をすればいいのか。
幸いなことに、ネージュは閉じ込められるようにして生きてきたから、容姿を知る人は少ない。
元家族、元護衛、家門の騎士の一部、使用人の一部。たったそれだけ。
親戚筋でさえも、十歳以降は正式には会っていない。
なんて、寂しい交友関係なんだろうね。笑ってしまう。
ラウはそんな私を気遣って、いつも以上にくっついて安心させようとしてくれている。
「本当にありがとう、ラウ」
ラウは穏やかな目を私に向けたまま。
そう。私にはラウがいるから大丈夫だ。
いつまでも元家族から逃げるわけにもいかないし。
それに、私が逃げるのっておかしくない?
私が何か悪いことをしたわけでもない。
むしろ、ネージュを見捨てたのは向こうの方だ。
元家族の周りに、ネージュを崖から落とした元兄はいない。
第四師団の騎士だから控え場所にいるんだろう。
私はそこで元家族に思いを巡らせるのを止めて、武道大会の試合場に注目したのだった。
さて、武道大会初日と二日目は騎士の個人戦だ。
ラウは師団長なので個人戦は出ない。
私も騎士ではないので個人戦は出ない。
というわけで、二人でゆっくりと観戦している。
んだけどね。
「こっちは防御結界張って仕事してるってのにさー
目の前にイチャイチャベタベタしてるバカ夫婦がいて嫌になるよなー」
こっちから離れたところにいるのに、テラの声が耳元で聞こえる現実。
テラ、声だけ転移させるなんて、器用だな。
塔長にお菓子でももらって、食べてなよ。
「キャーーー、見て見て、補佐一号二号! 師団長ったら、ほわほわちゃんのアーーーンナところをナデナデしてるわよー」
こっちから見えないところにいるのに、エルヴェスさんの声が耳に突き刺さる現実。
エルヴェスさんのは風の伝達魔法だね。
実況、要らないから。
それに、頭、撫でられてるだけだから。
通常、伝達魔法では、伝達音を送る場合は相手も伝達魔法が使えないと受け取れない。
ならなんで、伝達魔法が使えない私に音が聞こえるのか。
ラウの説明では、伝達文の『文』の代わりに『音』を、特定の場所に送っているんだそうな。
伝達音は人に対して送るが、伝達文は人にも場所にも送ることができる。
これを応用したものらしい。
もっとも、伝えたい相手が確実にその場所にいる必要があるため、使い方は限定される。
エルヴェスさんの伝達内容はともかく、伝達の技術に思わず感心していると、
「ううっ、師団長、伴侶と公開イチャイチャなんて、くっそ羨ましい。
俺も、組み紐のお守り、たっくさんもらって、来年こそ!」
「あら、カーネリウスさん宛ての組み紐のお守りなんて、一つも届いていませんわよ?
カーネリウスさんは、それほど人気ございませんわ!」
「うううううっ。そんな!」
真後ろからは、カーネリウスさんとエレバウトさんの声が聞こえる。
組み紐のお守り。
つけている騎士をちらほら見かけるな。
観客席にもお守り持ちの人が多い。
こちらは相手に渡し済みの人、これからの人と入り混じっているせいだろう。
「応援している方、お慕いしている方、などなど、いわば自分の推しの方にあげているのですわ!」
エレバウトさんがカーネリウスさんに説明する声が、辺り一面に響き渡る。
にしても、このお守り。
売り物だって話だけど、ずいぶん、たくさん売ったよね。
「ですので、カーネリウスさんはいただけるアテなど、一切ございませんわ!」
「うううううっ」
カーネリウスさん、泣きが入ってる。
エレバウトさんの容赦ない断言がカーネリウスさんを追い詰めていた。
私はそんな二人を横目で見ながら、観客席を見渡す。
なんか、何かが、ひっかかるな。
鑑定眼で視たものの、人数が多すぎてよく分からない。はっきりしない。
「その辺で、止めておいてやれ」
すぐ隣から聞こえる声で、私は意識を戻した。
さすがに不憫に思ったのか、ラウが後ろを振り返り、エレバウトさんに声をかけている。
「あら、師団長。事実ですわ!」
さらに抉ったよ。
「そもそも、何の効力もない組み紐のお守りをいただいても、ただの見せびらかしに過ぎませんのに」
完全に動かなくなるカーネリウスさん。
見かねたラウがさらに声をかけようとした瞬間。
見計らったかのように、エレバウトさんはラウの心にも刺さる一言を発した。
「師団長は、愛情たっぷりの組み紐飾りがあるので、よろしゅうございますわね!」
完全に動かなくなるラウ。
「愛情たっぷり」
グフッ
変な笑い声をあげてるし。
その間になんとか気を取り戻したカーネリウスさんも、エレバウトさんに負けじと声を発した。
「エレバウトさんにバカにされないよう、来年こそは、組み紐のお守り、たくさんもらう!」
「あら、組み紐のお守りの流行なんて、来年には廃れてますわ!」
「え?」
だろうね。
「まだまだですわね!」
カーネリウスさんの戦いが静かに終わり、試合場では次の対戦で盛り上がっていた。
開会式から最後の表彰式まで全行程三日間。
生まれてこの方、ずっと王都で暮らしているというのに、武道大会の観戦はおろか、武道大会があること自体を知らなかった、この私。
国王が開会を宣言するところを見て、感動する。
国王を見るのもこれが初めてだ。
テラが国王の隣の区画にちょこんと座っているのも見て取れる。
「うわー」
声が漏れた。
「どうした?」
ラウが私の顔をのぞき込むようにして、話しかけてくる。
「凄いなーと思って」
今日もラウは私にべったりとくっついていた。何か言う人はここにはいない。
「私、外に出たこと、なかったから」
ぐるりと見回すと、大会関係者の席に、元父がいるのが見えた。
隣には元妹もいる。
護衛を二人も従えて、楽しそうにはしゃぐ姿が目に映った。
もう、あの家族といっしょにいるはずのネージュはいない。
ネージュは半年前に死んだんだ。ネージュが死んでも、皆、変わらず楽しそうにしているんだ。
私は目を閉じて、昔の名前であるネージュを思い起こした。
なんの感情も出てこない。
家族に家門に認めてもらいたくて、あんなに必死になって、もがいていたのに。
恨めしい、悔しい、悲しい、つらい、苦しい、そんな気持ちが私の中から消えていた。
「おまえの名前はクロスフィアだ」
突然、ラウが私の名前を呼ぶ。
珍しく愛称ではない、正しい名前で。
びっくりしてラウを見ると、ラウも私と同じところを見つめていた。私の元家族たちを。
そして、私の方を向いて言う。
「そして、俺のフィアだ」
俺に任せておけば大丈夫。
そう言って私をいつも安心させ、支えてくれる、ラウの心の声が聞こえたような気がした。
「ありがとう、ラウ」
自然と口から言葉がこぼれた。
実は、少し緊張していた。
今は、クロスフィア・ドラグニールとして生きているけど。
銀髪に紅い目。当然、見た目はネージュ・グランフレイムとなんの変わりもない。声や話し方だって同じだ。
ネージュを知っている人が私を見たら、死んだネージュが生き返ったのかと思うだろう。
そのとき、どんな反応をすればいいのか。
幸いなことに、ネージュは閉じ込められるようにして生きてきたから、容姿を知る人は少ない。
元家族、元護衛、家門の騎士の一部、使用人の一部。たったそれだけ。
親戚筋でさえも、十歳以降は正式には会っていない。
なんて、寂しい交友関係なんだろうね。笑ってしまう。
ラウはそんな私を気遣って、いつも以上にくっついて安心させようとしてくれている。
「本当にありがとう、ラウ」
ラウは穏やかな目を私に向けたまま。
そう。私にはラウがいるから大丈夫だ。
いつまでも元家族から逃げるわけにもいかないし。
それに、私が逃げるのっておかしくない?
私が何か悪いことをしたわけでもない。
むしろ、ネージュを見捨てたのは向こうの方だ。
元家族の周りに、ネージュを崖から落とした元兄はいない。
第四師団の騎士だから控え場所にいるんだろう。
私はそこで元家族に思いを巡らせるのを止めて、武道大会の試合場に注目したのだった。
さて、武道大会初日と二日目は騎士の個人戦だ。
ラウは師団長なので個人戦は出ない。
私も騎士ではないので個人戦は出ない。
というわけで、二人でゆっくりと観戦している。
んだけどね。
「こっちは防御結界張って仕事してるってのにさー
目の前にイチャイチャベタベタしてるバカ夫婦がいて嫌になるよなー」
こっちから離れたところにいるのに、テラの声が耳元で聞こえる現実。
テラ、声だけ転移させるなんて、器用だな。
塔長にお菓子でももらって、食べてなよ。
「キャーーー、見て見て、補佐一号二号! 師団長ったら、ほわほわちゃんのアーーーンナところをナデナデしてるわよー」
こっちから見えないところにいるのに、エルヴェスさんの声が耳に突き刺さる現実。
エルヴェスさんのは風の伝達魔法だね。
実況、要らないから。
それに、頭、撫でられてるだけだから。
通常、伝達魔法では、伝達音を送る場合は相手も伝達魔法が使えないと受け取れない。
ならなんで、伝達魔法が使えない私に音が聞こえるのか。
ラウの説明では、伝達文の『文』の代わりに『音』を、特定の場所に送っているんだそうな。
伝達音は人に対して送るが、伝達文は人にも場所にも送ることができる。
これを応用したものらしい。
もっとも、伝えたい相手が確実にその場所にいる必要があるため、使い方は限定される。
エルヴェスさんの伝達内容はともかく、伝達の技術に思わず感心していると、
「ううっ、師団長、伴侶と公開イチャイチャなんて、くっそ羨ましい。
俺も、組み紐のお守り、たっくさんもらって、来年こそ!」
「あら、カーネリウスさん宛ての組み紐のお守りなんて、一つも届いていませんわよ?
カーネリウスさんは、それほど人気ございませんわ!」
「うううううっ。そんな!」
真後ろからは、カーネリウスさんとエレバウトさんの声が聞こえる。
組み紐のお守り。
つけている騎士をちらほら見かけるな。
観客席にもお守り持ちの人が多い。
こちらは相手に渡し済みの人、これからの人と入り混じっているせいだろう。
「応援している方、お慕いしている方、などなど、いわば自分の推しの方にあげているのですわ!」
エレバウトさんがカーネリウスさんに説明する声が、辺り一面に響き渡る。
にしても、このお守り。
売り物だって話だけど、ずいぶん、たくさん売ったよね。
「ですので、カーネリウスさんはいただけるアテなど、一切ございませんわ!」
「うううううっ」
カーネリウスさん、泣きが入ってる。
エレバウトさんの容赦ない断言がカーネリウスさんを追い詰めていた。
私はそんな二人を横目で見ながら、観客席を見渡す。
なんか、何かが、ひっかかるな。
鑑定眼で視たものの、人数が多すぎてよく分からない。はっきりしない。
「その辺で、止めておいてやれ」
すぐ隣から聞こえる声で、私は意識を戻した。
さすがに不憫に思ったのか、ラウが後ろを振り返り、エレバウトさんに声をかけている。
「あら、師団長。事実ですわ!」
さらに抉ったよ。
「そもそも、何の効力もない組み紐のお守りをいただいても、ただの見せびらかしに過ぎませんのに」
完全に動かなくなるカーネリウスさん。
見かねたラウがさらに声をかけようとした瞬間。
見計らったかのように、エレバウトさんはラウの心にも刺さる一言を発した。
「師団長は、愛情たっぷりの組み紐飾りがあるので、よろしゅうございますわね!」
完全に動かなくなるラウ。
「愛情たっぷり」
グフッ
変な笑い声をあげてるし。
その間になんとか気を取り戻したカーネリウスさんも、エレバウトさんに負けじと声を発した。
「エレバウトさんにバカにされないよう、来年こそは、組み紐のお守り、たくさんもらう!」
「あら、組み紐のお守りの流行なんて、来年には廃れてますわ!」
「え?」
だろうね。
「まだまだですわね!」
カーネリウスさんの戦いが静かに終わり、試合場では次の対戦で盛り上がっていた。
21
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。

私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる