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3 武道大会編
3-2
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「それで、フィアにケガはなかったんだな?」
その日の夜。いつものまったりとした時間。ラウに今日の話をした。
正直、塔長みたいな反応が返ってくるんじゃないかと心配で。カーシェイさんの話は出すのを止めようとも思った。
ラウも私の話を信じてくれないんじゃないか。
だから、本当に怖々と話をした。
そうしたら、返ってきたのは私のケガの心配。
うん。なんでそこで私のケガの心配するかな、ラウ。
私は自分の顔がヒクヒクとするのを感じながら、ラウの質問に答える。
「私は応急処置を手伝っただけだから。ケガなんてしないよ、ラウ」
「応急処置の手伝いもできるだなんて、俺のフィアは最高だな」
そう言ってギューッと抱き締めてくる。いつも通り。苦しい。
「でも、頑張り過ぎて、身体を壊すといけないから。俺がいないところで、無茶はするなよ」
うん。無茶の基準がまったく分からないけど、頷いておこう。
「家の外では、俺の隣で仕事をする以外は、ぜんぶ無茶だからな」
「えー」
私の心を読んだかのような、まさかの全無茶宣言。そんなことある?
「フィアの身体の状態は手に取るように分かるんだ。時間停止の魔法、無茶しただろ?」
「う」
バレてる。
って、伴侶の契約か!
なんか、前より進化しているような気がして、怖いんだけど。
「竜種の愛は絶対だからな」
穏やかな目で私を見つめるラウ。
最近のラウは、少し前までの何かに焦っているような様子がなくなり、だいぶ落ち着いてきた。
ヤバさと重苦しさは相変わらずだけど、それは仕方ない。
「しかし、スヴェート皇女とカーシェイの件は気になるな」
「ラウは、私を信じてくれるの?」
ラウもカーシェイさんとは長いつきあいのはずだ。
新人師団長時代、ずっと隣でラウを支えてくれたカーシェイさん。
思うところが、塔長以上にあるだろうに。
「第一塔長は、カーシェイさんが変なことをするはずないって。昔からよく知っているからって」
「竜種の愛は絶対だと言っただろう。俺は何があってもフィアを信じる」
揺るぎない表情で断言するラウ。
「それにスヴェート皇女には、こっちでも監視を付けてるから」
あ。上位竜種はピンクを排除しようとしてたっけ。
「気をつけるように言っておいてね。あのピンク。おかしいから」
おそらく、監視をしているのは情報部隊。だとすると、取り仕切っているのはエルヴェスさんだ。
エルヴェスさん、美少女好きだからな。
あのピンクに、一服、盛らないといいけど。
「ノルンガルス補佐官の鑑定だと、アルタルっていう名前、本名じゃないみたいなの」
「通称か? 親善で来ているんだから、さすがに偽名じゃないだろうしな」
「ノルンガルス補佐官は、リトアルが本名だって」
でも、リトアルは現スヴェート皇帝の名前だ。
「フィアの鑑定ではどうなんだ?」
「うーーーん。それがね。鑑定眼に霞がかかっているような感じ? だから、私の鑑定結果はあまりあてにしてないの」
「赤種の鑑定眼をごまかせるやつがいるってことか?」
「同じ赤種が手助けしてたらね。神様が手助けしてても、ごまかせるはず」
「フィアが鑑定できないのに、なんで、ノルンガルスが鑑定できるんだ?」
ラウが尤もなことを訊く。
私は今日、フィールズさんから聞いた話をそのままラウに伝えた。
「テラの話では、鑑定技能そのものは上級なんだけど、すごく偏りがあって。技能鑑定だけ神級らしいの」
鑑定技能が特殊だという理由もあって、ノルンガルスさんは塔長室勤務になったそうだ。
「ごまかす技能を使われても、それを超えて、鑑定できるんだって」
「なるほどな。スヴェート皇女の話は伝えておくよ。ありがとう、フィア」
けっきょく、この日も団体戦の練習の話はできなかった。
この際だから、練習しなくてもいいかな。
そうこうしているうちに、あっという間に大会の日となった。
ノルンガルスさんはだいぶ回復したが、第四塔で療養中。
関係者以外には『意識不明の重体』と公表されている。
意識不明で重体のノルンガルスさんに、最後に接触した相手として、四人の名前があがった。
ピンク、カーシェイさん、第四師団のお姉さん、フィールズ補佐官。
フィールズ補佐官は事情聴取済みなので、他の三人から話を聞いたそうだけど。
残念ながら、グリモさんの予想通りだった。
「いっしょに歩いていたら、突然、向こうから来た相手に突っ込んでいって、何をし出すのかと思って焦った」
と、第四師団のお姉さん。
「いっしょに通勤すると、いつもトラブルを起こして迷惑している」
妹が意識不明の重体だというのに、なんの心配もないんだろうか。
「部屋が狭くて窮屈で、息が詰まりそうでしたの。それで、ちょうどいらしたカーシェイ様から朝の散策に誘われましたのよ」
と、ピンク。
貴賓用としての建物、まるごと自由に使ってるよね。
しかも、予定外でウロウロしてたのは、カーシェイさんのせいか。
「突然、わたくしに向かっていらっしゃって。心臓が止まるかと思いましたわ!」
だから、予定外にウロウロするなって。
「アルタル様に危害を加えようとしたので、対処したまでですが」
と、カーシェイさん。
「アルタル様はスヴェート皇女です。害されれば、こちらの失態。関係悪化にも繋がりますので」
予定外の行動については何の言もなかったので、尋ねたところ、
「アルタル様の意向に従ったまでです。表向きは案内役、お世話役なので」
けっきょくのところ、
『ノルンガルスさんが、貴賓のスヴェート皇女に危害を加えようとしたので、カーシェイさんが対処した』
で、三人の意見が一致した。
対処の結果、ノルンガルスさんが意識不明の重体になったことについては、
「とっさのことでしたので」
貴賓の安全が最優先、力加減も何もできなかった、で終わった。
グリモさんが、マズいと言っていた通りの展開だ。
まるで、誰かの筋書きどおりに、話が進んでいるようで、ゾッとしてきた。
私たちがノルンガルスさんに肩入れし過ぎているんだろうか。
肩を落としながら、書類の記載ミスを確認していると、隣から、頼もしい夫の声。
「大丈夫だ、フィア。心配するな」
ラウが穏やかな目で私を見つめ、励ましてくれる。
なんだか、ラウの言葉だけで元気が出てきた。
問題となったノルンガルスさんの処遇は、『本人が重体で意識不明』ということになっているため、保留となる。
そんな状況の中、武道大会が始まった。
その日の夜。いつものまったりとした時間。ラウに今日の話をした。
正直、塔長みたいな反応が返ってくるんじゃないかと心配で。カーシェイさんの話は出すのを止めようとも思った。
ラウも私の話を信じてくれないんじゃないか。
だから、本当に怖々と話をした。
そうしたら、返ってきたのは私のケガの心配。
うん。なんでそこで私のケガの心配するかな、ラウ。
私は自分の顔がヒクヒクとするのを感じながら、ラウの質問に答える。
「私は応急処置を手伝っただけだから。ケガなんてしないよ、ラウ」
「応急処置の手伝いもできるだなんて、俺のフィアは最高だな」
そう言ってギューッと抱き締めてくる。いつも通り。苦しい。
「でも、頑張り過ぎて、身体を壊すといけないから。俺がいないところで、無茶はするなよ」
うん。無茶の基準がまったく分からないけど、頷いておこう。
「家の外では、俺の隣で仕事をする以外は、ぜんぶ無茶だからな」
「えー」
私の心を読んだかのような、まさかの全無茶宣言。そんなことある?
「フィアの身体の状態は手に取るように分かるんだ。時間停止の魔法、無茶しただろ?」
「う」
バレてる。
って、伴侶の契約か!
なんか、前より進化しているような気がして、怖いんだけど。
「竜種の愛は絶対だからな」
穏やかな目で私を見つめるラウ。
最近のラウは、少し前までの何かに焦っているような様子がなくなり、だいぶ落ち着いてきた。
ヤバさと重苦しさは相変わらずだけど、それは仕方ない。
「しかし、スヴェート皇女とカーシェイの件は気になるな」
「ラウは、私を信じてくれるの?」
ラウもカーシェイさんとは長いつきあいのはずだ。
新人師団長時代、ずっと隣でラウを支えてくれたカーシェイさん。
思うところが、塔長以上にあるだろうに。
「第一塔長は、カーシェイさんが変なことをするはずないって。昔からよく知っているからって」
「竜種の愛は絶対だと言っただろう。俺は何があってもフィアを信じる」
揺るぎない表情で断言するラウ。
「それにスヴェート皇女には、こっちでも監視を付けてるから」
あ。上位竜種はピンクを排除しようとしてたっけ。
「気をつけるように言っておいてね。あのピンク。おかしいから」
おそらく、監視をしているのは情報部隊。だとすると、取り仕切っているのはエルヴェスさんだ。
エルヴェスさん、美少女好きだからな。
あのピンクに、一服、盛らないといいけど。
「ノルンガルス補佐官の鑑定だと、アルタルっていう名前、本名じゃないみたいなの」
「通称か? 親善で来ているんだから、さすがに偽名じゃないだろうしな」
「ノルンガルス補佐官は、リトアルが本名だって」
でも、リトアルは現スヴェート皇帝の名前だ。
「フィアの鑑定ではどうなんだ?」
「うーーーん。それがね。鑑定眼に霞がかかっているような感じ? だから、私の鑑定結果はあまりあてにしてないの」
「赤種の鑑定眼をごまかせるやつがいるってことか?」
「同じ赤種が手助けしてたらね。神様が手助けしてても、ごまかせるはず」
「フィアが鑑定できないのに、なんで、ノルンガルスが鑑定できるんだ?」
ラウが尤もなことを訊く。
私は今日、フィールズさんから聞いた話をそのままラウに伝えた。
「テラの話では、鑑定技能そのものは上級なんだけど、すごく偏りがあって。技能鑑定だけ神級らしいの」
鑑定技能が特殊だという理由もあって、ノルンガルスさんは塔長室勤務になったそうだ。
「ごまかす技能を使われても、それを超えて、鑑定できるんだって」
「なるほどな。スヴェート皇女の話は伝えておくよ。ありがとう、フィア」
けっきょく、この日も団体戦の練習の話はできなかった。
この際だから、練習しなくてもいいかな。
そうこうしているうちに、あっという間に大会の日となった。
ノルンガルスさんはだいぶ回復したが、第四塔で療養中。
関係者以外には『意識不明の重体』と公表されている。
意識不明で重体のノルンガルスさんに、最後に接触した相手として、四人の名前があがった。
ピンク、カーシェイさん、第四師団のお姉さん、フィールズ補佐官。
フィールズ補佐官は事情聴取済みなので、他の三人から話を聞いたそうだけど。
残念ながら、グリモさんの予想通りだった。
「いっしょに歩いていたら、突然、向こうから来た相手に突っ込んでいって、何をし出すのかと思って焦った」
と、第四師団のお姉さん。
「いっしょに通勤すると、いつもトラブルを起こして迷惑している」
妹が意識不明の重体だというのに、なんの心配もないんだろうか。
「部屋が狭くて窮屈で、息が詰まりそうでしたの。それで、ちょうどいらしたカーシェイ様から朝の散策に誘われましたのよ」
と、ピンク。
貴賓用としての建物、まるごと自由に使ってるよね。
しかも、予定外でウロウロしてたのは、カーシェイさんのせいか。
「突然、わたくしに向かっていらっしゃって。心臓が止まるかと思いましたわ!」
だから、予定外にウロウロするなって。
「アルタル様に危害を加えようとしたので、対処したまでですが」
と、カーシェイさん。
「アルタル様はスヴェート皇女です。害されれば、こちらの失態。関係悪化にも繋がりますので」
予定外の行動については何の言もなかったので、尋ねたところ、
「アルタル様の意向に従ったまでです。表向きは案内役、お世話役なので」
けっきょくのところ、
『ノルンガルスさんが、貴賓のスヴェート皇女に危害を加えようとしたので、カーシェイさんが対処した』
で、三人の意見が一致した。
対処の結果、ノルンガルスさんが意識不明の重体になったことについては、
「とっさのことでしたので」
貴賓の安全が最優先、力加減も何もできなかった、で終わった。
グリモさんが、マズいと言っていた通りの展開だ。
まるで、誰かの筋書きどおりに、話が進んでいるようで、ゾッとしてきた。
私たちがノルンガルスさんに肩入れし過ぎているんだろうか。
肩を落としながら、書類の記載ミスを確認していると、隣から、頼もしい夫の声。
「大丈夫だ、フィア。心配するな」
ラウが穏やかな目で私を見つめ、励ましてくれる。
なんだか、ラウの言葉だけで元気が出てきた。
問題となったノルンガルスさんの処遇は、『本人が重体で意識不明』ということになっているため、保留となる。
そんな状況の中、武道大会が始まった。
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