101 / 384
2 新人研修編
5-4
しおりを挟む
「だいたい、どこからこんなチビが紛れ込んだんだ?」
第四副師団長は、最初から、こっちをバカにしているような態度だった。
あからさまに、ジロジロと見てくる。
「そのチビを連れて、さっさと出ていけ、技能なし」
目の前にいたはずのテラが、いつの間にか私の斜め後ろに移動していた。
私を盾にしないでほしいんだけど、子どもを盾にするのも大人げないしな。
「ここは本部の中枢部だ」
強い口調で、そして一方的な話し方で詰め寄る。
「子どもや、お前みたいな役立たずが、いていい場所じゃないんだ。立場をわきまえろ」
上から下へと視線を動かし、最後に私の目線のちょっと下に目を留め、鼻で笑った。
「しかし、第六師団長も、こんな貧相な技能なしに手を出すなんて。物好きもいいところだな」
貧相? 貧相?!
私のどこが貧相だって言うわけ?
そっちこそ、元兄みたいな、ひょろっとしたひ弱系じゃないのよ!
「ま、四番目に精霊は寄り付かないから、ある意味、寂しいよな」
テラが私にだけ聞こえるように囁く。
「うちの師団には、それこそ優秀で美人な女性騎士がたくさんいるのに。見る目がなさ過ぎるんだよな」
はぁあああ?!
確かにね! 美人じゃないかもしれないけれどね!
夫がかわいいって心の底から言ってくれてるんだから、見る目だなんだ言われたくないんだけど!
「ま、四番目は万人受けする絶世の美女ではないよな。黒竜専用かわいい系ってところだろ」
私のかわいさはラウ専用なのか。
「ま、ロクデナシ団の団長じゃあ、精霊騎士の素晴らしさが理解できなくても、仕方ないか」
ラウは困ったところはあるけど、ロクデナシじゃないし!
竜種なんだから精霊魔法だって自由に使えるし!
しかも上位竜種なんだがら、力も魔力もありあまっているくらいだし!
「うるさいな」
思わず口走ってしまった。
「おい、四番目。すっごい不満げな顔して、ずっと睨みつけてたけど。さらに、うるさいなんて言って、大丈夫なのか?」
ぜんぶ顔に出ていたらしい。
おかしい。
悪口や陰口には慣れている。耐性がある。
この程度なら平然と受け止められるはずなのに。顔に出るはずもないのに。
目の前のひ弱系な男は、さらに耳障りな嫌な声でまくし立て始めた。
「なんだと?! 上官に向かって、なんて口の利き方だ。竜種の伴侶だからって、いい気になるなよ、技能なし」
私やテラより身長はあるので、リアルに上から見下ろして、自分の言いたいことを話し続けている。
「まったく、ロクデナシ団の団長は、自分の女の躾もできないのか」
こっちに文句を言わせようと、さらに煽ってくる。
ひ弱系は、左腰にある剣の柄に手をかけた。
こっちが何か文句を言ったとたん、切りかかるつもりだ。
「うちの師団長と違って、上位竜種ってだけで師団長やってるやつだ」
あくまでも悪いのは上官に対し、態度の悪い私たち。そういうことだ。
ならば。
「馬鹿力なだけで、頭の中身も人格も大したことないしな」
メシュッ ドガゴッッッッッ
パラパラパラパラ
何かがこぼれ落ちる小さな音がする以外は、静かになった。
「おい、四番目。物は壊すなって言っただろ」
パラパラパラパラ
「しかも、破壊の大鎌、投げつけるなよ。壁にめり込んでるだろ」
パラパラパラパラ
いや、違った。テラがうるさい。
「ラウに酷いこと、言ったから」
「自分のはいいのか」
「いつものことだし」
「僕のことはいいのか」
「チビは事実だよね」
テラも押し黙る。
「まぁ、静かになっていいか。見つかる前に直しておけよ、壁も人も」
「復元する」
「復元かよ」
「だいぶ使い慣れたし」
「使い慣れるほど壊したのかよ」
テラの言葉には答えず、私は黙って魔法陣を展開させた。
「おーい、師匠! 探したぞ!」
「舎弟!」「上司の人!」
しばらくして、上司の人がやってきた。
中庭にはいくつか出入り口があるようで、やってきたのは私たちとは別の方面から。
「師匠、直接、来なかったのか? それにクロエル補佐官はどうしてここに?」
「誘いに行ってた」「誘われました」
「なるほどなるほど。ところで赤種の魔力がぷんぷん匂うんだけど?」
「そうか?」「そうですか?」
息ぴったりで、しれっと答える私たち。
「気のせいか。二人、揃ってるせいかな」
目ざとい。
鑑定技能も超級になると、規格外なことを言い出すんだよね。
気をつけないとな。
「クロエル補佐官は、さっきの会議、最悪だったろうから、魔力が漏れたのかもな」
気遣うように、柔らかく微笑む上司の人。心なしか声も穏やかだ。
「菓子食えば、気分よくなるぞ」
「なら、菓子食うか」
「さっそくお菓子?」
そうだったな。この二人は菓子好きだった。
きっと、嫌なこともお菓子で忘れてきたに違いない。
私もそうだったっけ。
嬉しいときも悲しいときも、大好きなクッキーをかじってた。
ラウのクッキーが食べたいな。
「舎弟が用意する菓子はうまいんだ」
「お菓子はラウの手作りが一番なのに」
私の凄くてヤバい夫は、アップルパイも美味しいんだ。
今度、仕事用にも作ってもらおう。
「クロエル補佐官、ラウゼルトに、がっつり胃袋を掴まれてるな」
「黒竜は、捕獲した獲物にご馳走をあげて、甘やかすタイプなんだよ」
ここで立ち話しても仕方ないと、私たちは上司の人に連れられて、応接室にやってきて。
山積みのお菓子に囲まれながら、ちょっとした上司の人の依頼をこなすことになってしまった。
まぁ、私も権能の練習になるからいいんだけどね。
第四副師団長は、最初から、こっちをバカにしているような態度だった。
あからさまに、ジロジロと見てくる。
「そのチビを連れて、さっさと出ていけ、技能なし」
目の前にいたはずのテラが、いつの間にか私の斜め後ろに移動していた。
私を盾にしないでほしいんだけど、子どもを盾にするのも大人げないしな。
「ここは本部の中枢部だ」
強い口調で、そして一方的な話し方で詰め寄る。
「子どもや、お前みたいな役立たずが、いていい場所じゃないんだ。立場をわきまえろ」
上から下へと視線を動かし、最後に私の目線のちょっと下に目を留め、鼻で笑った。
「しかし、第六師団長も、こんな貧相な技能なしに手を出すなんて。物好きもいいところだな」
貧相? 貧相?!
私のどこが貧相だって言うわけ?
そっちこそ、元兄みたいな、ひょろっとしたひ弱系じゃないのよ!
「ま、四番目に精霊は寄り付かないから、ある意味、寂しいよな」
テラが私にだけ聞こえるように囁く。
「うちの師団には、それこそ優秀で美人な女性騎士がたくさんいるのに。見る目がなさ過ぎるんだよな」
はぁあああ?!
確かにね! 美人じゃないかもしれないけれどね!
夫がかわいいって心の底から言ってくれてるんだから、見る目だなんだ言われたくないんだけど!
「ま、四番目は万人受けする絶世の美女ではないよな。黒竜専用かわいい系ってところだろ」
私のかわいさはラウ専用なのか。
「ま、ロクデナシ団の団長じゃあ、精霊騎士の素晴らしさが理解できなくても、仕方ないか」
ラウは困ったところはあるけど、ロクデナシじゃないし!
竜種なんだから精霊魔法だって自由に使えるし!
しかも上位竜種なんだがら、力も魔力もありあまっているくらいだし!
「うるさいな」
思わず口走ってしまった。
「おい、四番目。すっごい不満げな顔して、ずっと睨みつけてたけど。さらに、うるさいなんて言って、大丈夫なのか?」
ぜんぶ顔に出ていたらしい。
おかしい。
悪口や陰口には慣れている。耐性がある。
この程度なら平然と受け止められるはずなのに。顔に出るはずもないのに。
目の前のひ弱系な男は、さらに耳障りな嫌な声でまくし立て始めた。
「なんだと?! 上官に向かって、なんて口の利き方だ。竜種の伴侶だからって、いい気になるなよ、技能なし」
私やテラより身長はあるので、リアルに上から見下ろして、自分の言いたいことを話し続けている。
「まったく、ロクデナシ団の団長は、自分の女の躾もできないのか」
こっちに文句を言わせようと、さらに煽ってくる。
ひ弱系は、左腰にある剣の柄に手をかけた。
こっちが何か文句を言ったとたん、切りかかるつもりだ。
「うちの師団長と違って、上位竜種ってだけで師団長やってるやつだ」
あくまでも悪いのは上官に対し、態度の悪い私たち。そういうことだ。
ならば。
「馬鹿力なだけで、頭の中身も人格も大したことないしな」
メシュッ ドガゴッッッッッ
パラパラパラパラ
何かがこぼれ落ちる小さな音がする以外は、静かになった。
「おい、四番目。物は壊すなって言っただろ」
パラパラパラパラ
「しかも、破壊の大鎌、投げつけるなよ。壁にめり込んでるだろ」
パラパラパラパラ
いや、違った。テラがうるさい。
「ラウに酷いこと、言ったから」
「自分のはいいのか」
「いつものことだし」
「僕のことはいいのか」
「チビは事実だよね」
テラも押し黙る。
「まぁ、静かになっていいか。見つかる前に直しておけよ、壁も人も」
「復元する」
「復元かよ」
「だいぶ使い慣れたし」
「使い慣れるほど壊したのかよ」
テラの言葉には答えず、私は黙って魔法陣を展開させた。
「おーい、師匠! 探したぞ!」
「舎弟!」「上司の人!」
しばらくして、上司の人がやってきた。
中庭にはいくつか出入り口があるようで、やってきたのは私たちとは別の方面から。
「師匠、直接、来なかったのか? それにクロエル補佐官はどうしてここに?」
「誘いに行ってた」「誘われました」
「なるほどなるほど。ところで赤種の魔力がぷんぷん匂うんだけど?」
「そうか?」「そうですか?」
息ぴったりで、しれっと答える私たち。
「気のせいか。二人、揃ってるせいかな」
目ざとい。
鑑定技能も超級になると、規格外なことを言い出すんだよね。
気をつけないとな。
「クロエル補佐官は、さっきの会議、最悪だったろうから、魔力が漏れたのかもな」
気遣うように、柔らかく微笑む上司の人。心なしか声も穏やかだ。
「菓子食えば、気分よくなるぞ」
「なら、菓子食うか」
「さっそくお菓子?」
そうだったな。この二人は菓子好きだった。
きっと、嫌なこともお菓子で忘れてきたに違いない。
私もそうだったっけ。
嬉しいときも悲しいときも、大好きなクッキーをかじってた。
ラウのクッキーが食べたいな。
「舎弟が用意する菓子はうまいんだ」
「お菓子はラウの手作りが一番なのに」
私の凄くてヤバい夫は、アップルパイも美味しいんだ。
今度、仕事用にも作ってもらおう。
「クロエル補佐官、ラウゼルトに、がっつり胃袋を掴まれてるな」
「黒竜は、捕獲した獲物にご馳走をあげて、甘やかすタイプなんだよ」
ここで立ち話しても仕方ないと、私たちは上司の人に連れられて、応接室にやってきて。
山積みのお菓子に囲まれながら、ちょっとした上司の人の依頼をこなすことになってしまった。
まぁ、私も権能の練習になるからいいんだけどね。
11
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる