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2 新人研修編
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そしてあっという間もなく、試験の日。
「これで、俺のフィアが俺の補佐官だな」
まだ、これから試験だって。
浮き足立つラウといっしょに、私は師団本部にやってきた。
そして、ラウといっしょのままでいる。
おかしい。ラウは仕事のはずだ。
本部の一室で待っている間も、ラウが第六師団に行く気配がない。まるでない。
私にピッタリくっついたまま。
これはこれで安心なんだけど、ラウ、仕事は? 仕事はどうしたの?
「ラウ、今日は打ち合わせって言ってたよね?」
思い切って聞いてみた。
「ああ、さっき、カーシェイに代わってもらって」
はい? さっき?
「午前はフィアの付き添いが俺の仕事だ」
それ、聞いてない。ラウの予定が変わっている。
私の預かり知らぬところで、話が変わっている。
「午後からは仕事なんだね」
「ああ、午後は、俺のフィアが俺の執務室に見学に来るから。執務室で書類処理だ」
それも、聞いてない。私の予定が勝手に決まっている。
「俺のフィアって私だよね? 私がラウのフィアだよね?」
「ぐうぅぅ、俺のフィアが俺に向かって、すごくすごく、かわいいことを言ってる」
ピッタリくっついたまま悶えるという、器用な動きをするラウ。
「その話、初めて聞いたんだけど」
私の預かり知らぬところで、さらに話が進んでいる。
「配属前に職場は見ておきたいだろ? だから、さっき、予定を入れた」
さっき? さっきっていつ? いつの話?
家を出てから、ここに来るまで、ラウ、私にピッタリくっついてたよね?
「お待たせ」
私がしばし固まっている間、部屋の扉がコンコンと叩かれて、ぞろぞろと人が入ってきた。
一、二、ん? 五人? いや、七人もやってきたよ。
部屋の広さに対して、入ってきた人数が多くない?
私とラウが通された部屋は応接室っぽい造りで、せいぜい、三、四人くらいで打ち合わせをする程度の広さだった。
私とラウが座っているソファーは二人掛け。テーブル挟んで向かい側も二人掛け。そして、一人用のソファーがひとつ。
どう考えても、七人のうち四人が座れない。
案の定、三人が座って、四人は立ったまま。そして全員、黙ったままだ。
四人も立っていると、窮屈に感じる。
ラウもなんだか警戒している。
他の人が来たというのに、ラウは相変わらず私にピッタリくっついた状態で、自然とラウの反応がよく伝わってくるのだ。
挨拶のため立ち上がろうと思ったのに、ラウに脇をがっちり固められているので、動けない。
そして、ラウも動かない。
そのまま、ペコリと頭を下げて出迎える。
「座ったままでいいよ」
一人用に座った男性が声をかけてきた。
部屋に入ってきたときに声を発したのも、この男性だった。
明るい金髪に赤茶色の目、肩までかかる髪を後ろでひとつにまとめている。
線は細くて、ラウとはまるで違う身体つきだ。
声の質も口調も爽やかでゆったりしている。
ニコニコした目つきだけど、向けてくる視線の中に、ときおり鋭いものが混じる。
「レクシルド・エルメンティア、第一塔長を勤めている。実質、補佐官職のトップだ」
そして、自己紹介をされた。
第一塔長のレクシルド!
テラが言ってた、テラの舎弟。
エルメンティアの家門名を持つのは王族しかいない。
現国王には男児が四人、女児が二人いるので、そのうちの一人だろう。
正真正銘の王子さまだ。
テラの舎弟、王子さまだよ。
王子さまを見るのは初めてだ。
王子さまと聞いただけで、なんだか、キラキラとした光に包まれている感じがする。
そういえば前に元妹が、自分の婚約者候補のことを王子さまみたいで素敵だと言ってたことがあったな。
そうか、これが王子さまだ。確かにラウとは全然違う。
ラウはどちらかというと、熊だもんな。まぁ、熊もかわいいけどね。
私は意識を王子さまに戻す。
この王子さま、第一塔長ということは、実力で選任されているということだ。
身分だけでなく中身も凄いんだろう。
「クロスフィア・クロエル・ドラグニールです。今日はよろしくお願いします」
私は王子さまに挨拶をした。
就職すればこの人が上司のトップになる。第一印象は大事。悪い印象は与えないよう気をつけないと。
そう思ってニコリとしただけなのに。
「おい、レクス」
私がニコリとしたのが気に入らなかったらしい。
ラウの声がさっきより低く響く。そして、さっきより密着してくる。
お願いだから、これ以上は力を入れないでほしい。冷気も振りまかないでほしい。ヤバい。
「仕事中は第一塔長だ、第六師団長殿」
「チッ。なら、第一塔長殿」
今、舌打ちしたよ。したよね。
第一印象! 私の第一印象、悪くしないで。
「なんだ、第六師団長殿」
「補佐官の採用試験なのに、なんで、総師団長まで来てるんだ?」
総師団長? 師団長のトップの人だ。
なんで、そんな上の人が来てるの? 私も知りたい。
「おい、それも試験の一環だ。黙っててくれ」
てことは教えてくれないのか、理由。
「さて、君の過保護な夫君がちょーっと口を滑らせたけど。さっそく、試験を開始するよ」
第一塔長の王子さま以外は紹介がないまま、試験開始が宣言された。
他の人は相変わらず誰も何も話さない。
「補佐官は鑑定技能を持つ。そして仕事で接した相手は必ず鑑定をする。
相手の能力を見極めながら、仕事をするのも、補佐官の職能のひとつだ」
私も黙って話を聞いた。
試験を開始すると聞いて、ラウも大人しくしている。
ラウはこのまま大人しくしていてほしい。そして、少し離れてくれると嬉しい。
「補佐官にとって一番大事な能力、鑑定技能。それを使って、この部屋にいる人間を鑑定してくれ」
ああ、なるほど。これが理由か。
だから、七人もやってきて、しかも紹介もないんだ。
ラウが喋ってしまったけど、総師団長が混じっているのも、そういうことだったんだ。
「君と君の夫の第六師団長は除いていいよ。まずこれが最初の試験だ」
しかし、『鑑定してくれ』とは、試験なのに随分と大雑把な指示だ。
「鑑定は具体的にどこまで?」
念のため、確認する。
「君の能力と判断に任せる」
ああ、なるほど。判断も含めて試験か。
第一塔長の王子さまは、王子さまらしからぬ、ニタリとした笑みを浮かべた。
どことなく、テラに似ているような気がした。
「これで、俺のフィアが俺の補佐官だな」
まだ、これから試験だって。
浮き足立つラウといっしょに、私は師団本部にやってきた。
そして、ラウといっしょのままでいる。
おかしい。ラウは仕事のはずだ。
本部の一室で待っている間も、ラウが第六師団に行く気配がない。まるでない。
私にピッタリくっついたまま。
これはこれで安心なんだけど、ラウ、仕事は? 仕事はどうしたの?
「ラウ、今日は打ち合わせって言ってたよね?」
思い切って聞いてみた。
「ああ、さっき、カーシェイに代わってもらって」
はい? さっき?
「午前はフィアの付き添いが俺の仕事だ」
それ、聞いてない。ラウの予定が変わっている。
私の預かり知らぬところで、話が変わっている。
「午後からは仕事なんだね」
「ああ、午後は、俺のフィアが俺の執務室に見学に来るから。執務室で書類処理だ」
それも、聞いてない。私の予定が勝手に決まっている。
「俺のフィアって私だよね? 私がラウのフィアだよね?」
「ぐうぅぅ、俺のフィアが俺に向かって、すごくすごく、かわいいことを言ってる」
ピッタリくっついたまま悶えるという、器用な動きをするラウ。
「その話、初めて聞いたんだけど」
私の預かり知らぬところで、さらに話が進んでいる。
「配属前に職場は見ておきたいだろ? だから、さっき、予定を入れた」
さっき? さっきっていつ? いつの話?
家を出てから、ここに来るまで、ラウ、私にピッタリくっついてたよね?
「お待たせ」
私がしばし固まっている間、部屋の扉がコンコンと叩かれて、ぞろぞろと人が入ってきた。
一、二、ん? 五人? いや、七人もやってきたよ。
部屋の広さに対して、入ってきた人数が多くない?
私とラウが通された部屋は応接室っぽい造りで、せいぜい、三、四人くらいで打ち合わせをする程度の広さだった。
私とラウが座っているソファーは二人掛け。テーブル挟んで向かい側も二人掛け。そして、一人用のソファーがひとつ。
どう考えても、七人のうち四人が座れない。
案の定、三人が座って、四人は立ったまま。そして全員、黙ったままだ。
四人も立っていると、窮屈に感じる。
ラウもなんだか警戒している。
他の人が来たというのに、ラウは相変わらず私にピッタリくっついた状態で、自然とラウの反応がよく伝わってくるのだ。
挨拶のため立ち上がろうと思ったのに、ラウに脇をがっちり固められているので、動けない。
そして、ラウも動かない。
そのまま、ペコリと頭を下げて出迎える。
「座ったままでいいよ」
一人用に座った男性が声をかけてきた。
部屋に入ってきたときに声を発したのも、この男性だった。
明るい金髪に赤茶色の目、肩までかかる髪を後ろでひとつにまとめている。
線は細くて、ラウとはまるで違う身体つきだ。
声の質も口調も爽やかでゆったりしている。
ニコニコした目つきだけど、向けてくる視線の中に、ときおり鋭いものが混じる。
「レクシルド・エルメンティア、第一塔長を勤めている。実質、補佐官職のトップだ」
そして、自己紹介をされた。
第一塔長のレクシルド!
テラが言ってた、テラの舎弟。
エルメンティアの家門名を持つのは王族しかいない。
現国王には男児が四人、女児が二人いるので、そのうちの一人だろう。
正真正銘の王子さまだ。
テラの舎弟、王子さまだよ。
王子さまを見るのは初めてだ。
王子さまと聞いただけで、なんだか、キラキラとした光に包まれている感じがする。
そういえば前に元妹が、自分の婚約者候補のことを王子さまみたいで素敵だと言ってたことがあったな。
そうか、これが王子さまだ。確かにラウとは全然違う。
ラウはどちらかというと、熊だもんな。まぁ、熊もかわいいけどね。
私は意識を王子さまに戻す。
この王子さま、第一塔長ということは、実力で選任されているということだ。
身分だけでなく中身も凄いんだろう。
「クロスフィア・クロエル・ドラグニールです。今日はよろしくお願いします」
私は王子さまに挨拶をした。
就職すればこの人が上司のトップになる。第一印象は大事。悪い印象は与えないよう気をつけないと。
そう思ってニコリとしただけなのに。
「おい、レクス」
私がニコリとしたのが気に入らなかったらしい。
ラウの声がさっきより低く響く。そして、さっきより密着してくる。
お願いだから、これ以上は力を入れないでほしい。冷気も振りまかないでほしい。ヤバい。
「仕事中は第一塔長だ、第六師団長殿」
「チッ。なら、第一塔長殿」
今、舌打ちしたよ。したよね。
第一印象! 私の第一印象、悪くしないで。
「なんだ、第六師団長殿」
「補佐官の採用試験なのに、なんで、総師団長まで来てるんだ?」
総師団長? 師団長のトップの人だ。
なんで、そんな上の人が来てるの? 私も知りたい。
「おい、それも試験の一環だ。黙っててくれ」
てことは教えてくれないのか、理由。
「さて、君の過保護な夫君がちょーっと口を滑らせたけど。さっそく、試験を開始するよ」
第一塔長の王子さま以外は紹介がないまま、試験開始が宣言された。
他の人は相変わらず誰も何も話さない。
「補佐官は鑑定技能を持つ。そして仕事で接した相手は必ず鑑定をする。
相手の能力を見極めながら、仕事をするのも、補佐官の職能のひとつだ」
私も黙って話を聞いた。
試験を開始すると聞いて、ラウも大人しくしている。
ラウはこのまま大人しくしていてほしい。そして、少し離れてくれると嬉しい。
「補佐官にとって一番大事な能力、鑑定技能。それを使って、この部屋にいる人間を鑑定してくれ」
ああ、なるほど。これが理由か。
だから、七人もやってきて、しかも紹介もないんだ。
ラウが喋ってしまったけど、総師団長が混じっているのも、そういうことだったんだ。
「君と君の夫の第六師団長は除いていいよ。まずこれが最初の試験だ」
しかし、『鑑定してくれ』とは、試験なのに随分と大雑把な指示だ。
「鑑定は具体的にどこまで?」
念のため、確認する。
「君の能力と判断に任せる」
ああ、なるほど。判断も含めて試験か。
第一塔長の王子さまは、王子さまらしからぬ、ニタリとした笑みを浮かべた。
どことなく、テラに似ているような気がした。
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