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1 鑑定の儀編
1-8 補佐官は見た
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「赤の樹林で魔物討伐の報告があった。第六師団に同行して、鑑定を行ってくれ」
不肖ながら、このユクレーナ・フィールズ、特級補佐官で、かつ全属性の精霊魔法が扱える者として重宝されております。
ものぐさ上司殿に、良いように使われていると言われてしまえばそれまでですが、この仕事に誇りを持って応対している次第です。
今回のように、ものぐさ上司殿が突然の出張命令を出されるのは、けして珍しいことではありません。珍しいのは出張命令ではなく出張場所でしょうか。
赤の樹林。精霊魔法を扱えない者が割り振られる仕事場所。通常ならば、もう一人の特級補佐官、わたくしの同僚殿に仕事が割り振られるはずです。
にも関わらず、わたくしを指名されたのには何らかの理由があるかと推察いたしました。
「赤の樹林ですが、わたくしでよろしいのですね」
ものぐさ上司殿にも、この程度の質問でしたら許されるでしょう。
「遭遇者が二人。一人は女の子なんだ。ナルフェブル補佐官より、フィールズ補佐官の方が適任だろう?」
報告書をこちらに手渡しながら、ものぐさ上司殿がおっしゃいました。
なるほど、そのような事情でしたか。
わたくしはサッと出掛ける準備をいたしまして。上司殿、同僚殿たちに一礼をしながら退室しました。
さて、報告書に目を通しながら、第六師団へ向かいましょう。
第六師団の派遣チームは、師団長、師団長付きの副官二名、掃討部隊の騎士二名と、少人数ながら凄腕と称される方々で構成されておりました。はっきり言いまして、そうそうたるメンバーです。
わたくしもこの一員として、しっかり励まなければ。
しかしながら、師団長自ら動かれるということは、どうやら討伐報告に興味をお持ちになったようですね。
魔物を討伐した騎士の戦力調査でしょうか。場合によっては、騎士の引き抜きも考えておられるのでしょう。
チームと合流して、現場に向かった先に待っていたのは、キラキラしい美少年と美少女です。癒されますね。あら、思わず本音が。
美少年は金茶の髪と瞳が颯爽とした感じで清潔感溢れる風貌。美少女は銀髪に紅い瞳と珍しい色をされています。
第六師団に同行するとなると、性別の差なく、皆様、猛々しいので、キラキラしいお二人は癒やしです。
はい、もはや、第六師団の皆様とは違う生き物のですね。
無愛想の塊、冷徹な堅物として有名な第六師団長殿も「……かわいいな」と零して、美少女を食い入るように見つめております。
これには周囲の騎士も「師団長にも、ついに春が……」とざわついたほど。
師団長殿の顔つきも、いつもよりデレデレしていますね。珍しいものを拝見させていただきましたわ。
報告書では、グランフレイム本家のご令嬢と護衛騎士とありましたが、護衛騎士殿がご令嬢を守って魔物を倒したのでしょう。
無謀さは禁じ得ませんが、結果としては素晴らしい働きです。
さてさて、わたくしの仕事はここからが本番。
鑑定魔法や現場検証が珍しいのか、ご令嬢がヒョコヒョコとついてきました。死骸に顔をしかめながらも、見学するつもりのようです。
わたくしも、ここは張り切っていきましょう。
いえいえけして、ご令嬢が紅い瞳をキラキラさせながら、わたくしの仕事ぶりを見つめているからではありませんよ。
キレイに頭と胴体が分離した死骸を前にして、魔法陣を展開させます。
簡単な鑑定なら見ただけでも問題ありませんが、細部までの鑑定となると鑑定魔法が適しております。
「《鑑定》」
多くの情報がわたくしの頭になだれ込んできますゆえ、整理しながら書面に書き込みます。
魔物の心臓、魔核と呼ばれる部分のみキレイに破壊され消失、魔物の頭と胴を切り離すことで体も完全停止。焼き切ることで混沌を体内に封じ込め、その後、浄化されておりますわ。見事です。
ふと、疑問を禁じ得ません。
いったい、これほどの技巧をもって討伐されたのは、どなたなのでしょうか。
あの護衛騎士殿は精霊騎士。風と土に適性があるようですが、火は扱えません。それに、非精霊魔法も使えませんし浄化能力もありません。
この赤の樹林で、これほどまでのことをする技能も力もないのです。
あとはあのご令嬢。死骸を見て嫌そうにしていましたし、魔物討伐できるくらいの技量でしたら、護衛騎士は不要なはず。
あのご令嬢が討伐などあり得ませんよね。と思いながら、ご令嬢を鑑定すると驚くべきことに気がつきました。
そして、ご令嬢が討伐などあり得ないと思いつつ、護衛騎士殿の言葉が耳から離れません。
「家門の機密です」
それはすなわち、深く探るなという警告。
荒れた現場を片付けて本件は終了となりますが、第六師団は現場の木なども持ち帰るようで、あれこれと指示が飛んでおりました。
どうやら警告を無視して探るおつもりのようですね。
「あのご令嬢は鑑定しましたか?」
カーシェイ副官殿が、護衛騎士殿に気づかれぬよう話しかけてきます。
わたくし、正直に申し上げました。
「ご令嬢は鑑定できませんでした」
「は?」
「弾かれて何も見えないのです」
「…………」
仕事で接した相手は必ずといっていいほど鑑定します。
許可なく鑑定など失礼極まりない行動ですが、仕事柄いたしかたない部分もありまして。
そこは察していただきたく思います。
これは周知の事実でもあります。
カーシェイ副官殿も当然そのことをご存知で、わたくしに質問されたのです。
ですが、結果は今、申し上げた通り。
わたくしの鑑定が通じない理由として考えられるのは二点。
わたくしと同等以上の鑑定技能を有している場合、もしくは、わたくしより上の総合等級である場合です。
例えば、師団長殿は、わたくしより上の総合等級なので鑑定できません。
これでも、わたくし、特級でございます。つまり、ご令嬢は特級を上回る存在ということ。探ってよい相手ではありません。
「ご令嬢を探るおつもりなら、諦めた方が無難かと」
「いえ、ちょっと聞いてみただけです。師団長が気にしていたようなので」
「そのようですね」
さて後始末が大変です、とカーシェイ副官殿は会話を終わりにされました。
いろいろ気になることがありましたが、わたくしができることは、推測を挟まず、ものぐさ上司殿に報告することだけ。
さてさて、帰還して、報告書でも仕上げましょうか。ものぐさ上司殿が報告を待っているでしょうから。
不肖ながら、このユクレーナ・フィールズ、特級補佐官で、かつ全属性の精霊魔法が扱える者として重宝されております。
ものぐさ上司殿に、良いように使われていると言われてしまえばそれまでですが、この仕事に誇りを持って応対している次第です。
今回のように、ものぐさ上司殿が突然の出張命令を出されるのは、けして珍しいことではありません。珍しいのは出張命令ではなく出張場所でしょうか。
赤の樹林。精霊魔法を扱えない者が割り振られる仕事場所。通常ならば、もう一人の特級補佐官、わたくしの同僚殿に仕事が割り振られるはずです。
にも関わらず、わたくしを指名されたのには何らかの理由があるかと推察いたしました。
「赤の樹林ですが、わたくしでよろしいのですね」
ものぐさ上司殿にも、この程度の質問でしたら許されるでしょう。
「遭遇者が二人。一人は女の子なんだ。ナルフェブル補佐官より、フィールズ補佐官の方が適任だろう?」
報告書をこちらに手渡しながら、ものぐさ上司殿がおっしゃいました。
なるほど、そのような事情でしたか。
わたくしはサッと出掛ける準備をいたしまして。上司殿、同僚殿たちに一礼をしながら退室しました。
さて、報告書に目を通しながら、第六師団へ向かいましょう。
第六師団の派遣チームは、師団長、師団長付きの副官二名、掃討部隊の騎士二名と、少人数ながら凄腕と称される方々で構成されておりました。はっきり言いまして、そうそうたるメンバーです。
わたくしもこの一員として、しっかり励まなければ。
しかしながら、師団長自ら動かれるということは、どうやら討伐報告に興味をお持ちになったようですね。
魔物を討伐した騎士の戦力調査でしょうか。場合によっては、騎士の引き抜きも考えておられるのでしょう。
チームと合流して、現場に向かった先に待っていたのは、キラキラしい美少年と美少女です。癒されますね。あら、思わず本音が。
美少年は金茶の髪と瞳が颯爽とした感じで清潔感溢れる風貌。美少女は銀髪に紅い瞳と珍しい色をされています。
第六師団に同行するとなると、性別の差なく、皆様、猛々しいので、キラキラしいお二人は癒やしです。
はい、もはや、第六師団の皆様とは違う生き物のですね。
無愛想の塊、冷徹な堅物として有名な第六師団長殿も「……かわいいな」と零して、美少女を食い入るように見つめております。
これには周囲の騎士も「師団長にも、ついに春が……」とざわついたほど。
師団長殿の顔つきも、いつもよりデレデレしていますね。珍しいものを拝見させていただきましたわ。
報告書では、グランフレイム本家のご令嬢と護衛騎士とありましたが、護衛騎士殿がご令嬢を守って魔物を倒したのでしょう。
無謀さは禁じ得ませんが、結果としては素晴らしい働きです。
さてさて、わたくしの仕事はここからが本番。
鑑定魔法や現場検証が珍しいのか、ご令嬢がヒョコヒョコとついてきました。死骸に顔をしかめながらも、見学するつもりのようです。
わたくしも、ここは張り切っていきましょう。
いえいえけして、ご令嬢が紅い瞳をキラキラさせながら、わたくしの仕事ぶりを見つめているからではありませんよ。
キレイに頭と胴体が分離した死骸を前にして、魔法陣を展開させます。
簡単な鑑定なら見ただけでも問題ありませんが、細部までの鑑定となると鑑定魔法が適しております。
「《鑑定》」
多くの情報がわたくしの頭になだれ込んできますゆえ、整理しながら書面に書き込みます。
魔物の心臓、魔核と呼ばれる部分のみキレイに破壊され消失、魔物の頭と胴を切り離すことで体も完全停止。焼き切ることで混沌を体内に封じ込め、その後、浄化されておりますわ。見事です。
ふと、疑問を禁じ得ません。
いったい、これほどの技巧をもって討伐されたのは、どなたなのでしょうか。
あの護衛騎士殿は精霊騎士。風と土に適性があるようですが、火は扱えません。それに、非精霊魔法も使えませんし浄化能力もありません。
この赤の樹林で、これほどまでのことをする技能も力もないのです。
あとはあのご令嬢。死骸を見て嫌そうにしていましたし、魔物討伐できるくらいの技量でしたら、護衛騎士は不要なはず。
あのご令嬢が討伐などあり得ませんよね。と思いながら、ご令嬢を鑑定すると驚くべきことに気がつきました。
そして、ご令嬢が討伐などあり得ないと思いつつ、護衛騎士殿の言葉が耳から離れません。
「家門の機密です」
それはすなわち、深く探るなという警告。
荒れた現場を片付けて本件は終了となりますが、第六師団は現場の木なども持ち帰るようで、あれこれと指示が飛んでおりました。
どうやら警告を無視して探るおつもりのようですね。
「あのご令嬢は鑑定しましたか?」
カーシェイ副官殿が、護衛騎士殿に気づかれぬよう話しかけてきます。
わたくし、正直に申し上げました。
「ご令嬢は鑑定できませんでした」
「は?」
「弾かれて何も見えないのです」
「…………」
仕事で接した相手は必ずといっていいほど鑑定します。
許可なく鑑定など失礼極まりない行動ですが、仕事柄いたしかたない部分もありまして。
そこは察していただきたく思います。
これは周知の事実でもあります。
カーシェイ副官殿も当然そのことをご存知で、わたくしに質問されたのです。
ですが、結果は今、申し上げた通り。
わたくしの鑑定が通じない理由として考えられるのは二点。
わたくしと同等以上の鑑定技能を有している場合、もしくは、わたくしより上の総合等級である場合です。
例えば、師団長殿は、わたくしより上の総合等級なので鑑定できません。
これでも、わたくし、特級でございます。つまり、ご令嬢は特級を上回る存在ということ。探ってよい相手ではありません。
「ご令嬢を探るおつもりなら、諦めた方が無難かと」
「いえ、ちょっと聞いてみただけです。師団長が気にしていたようなので」
「そのようですね」
さて後始末が大変です、とカーシェイ副官殿は会話を終わりにされました。
いろいろ気になることがありましたが、わたくしができることは、推測を挟まず、ものぐさ上司殿に報告することだけ。
さてさて、帰還して、報告書でも仕上げましょうか。ものぐさ上司殿が報告を待っているでしょうから。
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