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1 鑑定の儀編
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熊だ。熊がいる。
ポカンと口をあけて、私は熊を見上げた。その拍子にフードが後ろにずり落ちる。私は慌ててフードをかぶり直した。
「ジン、熊がいる」
「ちょっと黙っててもらえませんか?」
横にいるジンにコソッと話しかけた。ジンの顔が思いっきり引きつっている。顔色も悪い。
ジンは引きつった顔のまま、「なんでこの人が……」とブツブツつぶやいている。熊の登場はジンにとっても想定外だったようだ。
顔の引きつりが治まらない状態で、ジンが熊に挨拶をする。
「お待ちしていました。グランフレイム家門の騎士、ジン・ドゥアンです。よろしくお願いします」
熊は第六師団の人間だった。
ジンが心配してたのはこれか、熊か、熊が来るってことか。
討伐報告を送って第六師団の騎士が来るまでの一時間ほど、私はジンからレクチャーを受けていた。
「猫(仮)は放してください。猫じゃないのが即バレします」
それは困る。相手はくせ者。何をされるか分からない。
またね、と地面に降ろすと、猫(仮)は、にゃーと鳴いて、茂みの中へ去っていった。
「受け答えは私がします。ネージュ様はなるべく口を開かないように」
ボロが出るとでも思われていそうだ。その通りなので、何も言い返せない。
「何か聞かれたら、笑って誤魔化してください。返答してはダメですからね」
コクリと頷いてみせる。
「マントとフードで姿を隠してください。目を引くことはしないでくださいよ」
言われた通り、マントを羽織ってフードを被る。ただし、何が目を引くことに該当するかが、まったく分からない。困った。
そして、今。
私はジンの横に立ち、熊、じゃなくて、第六師団の騎士を迎えている。
第六師団は全員、黒い騎士服だ。
ジンが引きつった顔のまま、ぎこちない笑みを浮かべ、熊と握手をした。
家門関係と大神殿の関係の人間しか接したことがないので、すべてが珍しく感じる。
相手はジンの予想通り、男性四人、女性二人と少人数だった。
「ああ。ドラグニールだ」
熊が返事をした。
ジンがさらに引きつっている。
第六師団の男性は皆、体格ががっしりしていて、腕も脚も太い。
その中でも、この熊は背も高く胸も分厚そうだ。威圧感というかなんというか、のし掛かってくるような圧を感じる。
短い黒髪に黒目、焼けて浅黒い肌、無愛想で獰猛さも感じられる。まるで黒い熊だ。
あの魔物も黒毛に黒目の熊形だったので、印象がダブってニマニマしてしまう。
ふと、熊が何かボソッとつぶやき、熊の回りの人間がざわついて、別の男性が口を開いた。
「師団長に代わりまして、副官のヴィッツ・カーシェイです」
熊はというと、ニマニマしたのがマズかったのか、しかめっ面で私の方をじーっと見ている。食い入るように見ている。ヤバい。
「こっちはマリティナ・エルヴェス副官と第六師団の騎士二人。他部署ですが、鑑定のためフィールズ特級補佐官にも同行してもらいました。討伐、浄化済みという報告でしたので」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
ジンとカーシェイ副官が握手しようと手を伸ばす。その動きに合わせて、ジンが熊の視線を遮ろうと、すっと動いた。
そのとたん、
「ァア?」
しかめっ面をした熊が低いうなり声を上げ、その一言だけで、ジンがピクリとも動かなくなる。
そんなにビクつくほど大きな声でもないのに。
さらに顔色が悪くなって、様子がおかしい。
これから熊相手にいろいろ誤魔化さないといけないので、緊張しているのかなぁ。
ジンと握手しようとしていたカーシェイ副官もピクリとも動かない。
そして、熊も他の人も動かない。
うー、このままだと、いつまで経っても終わらないんだけど。あれ(=惨状)を早くどうにかしてほしい。
この人たちは、本当に何をしているんだろ。ヒマなの? ヒマジンなの?
私は首を傾げた。
ヒマジンの行動が理解できない。
「で、いつになったら始めるの?」
ヒマジンを前にして、つい、催促してしまった。
オマケの人間が突っ込みを入れたので、副官も騎士も熊までギョッとしている。
でも、そんな私の偉大な突っ込みのおかげで、緊張が解れたようで、
「では、現場検証を始めます!」
握手もそこそこに、カーシェイ副官が開始を宣言した。
魔物の鑑定と現場検証は時間がかかると思っていたが、サクサクと進む。
まず始めに魔物の鑑定。
これはフィールズ特級補佐官がおこなった。
「《鑑定》」
澄んだ声が響き、魔法陣が魔物の下に構築され展開していく。
他の人間は警戒しながら鑑定を見守っている。
十分ほどして魔法陣が消えた。
フィールズ特級補佐官が、手にした紙に何やら書き込んで終了。
「活動停止、浄化もキレイに完了しています。討伐完了を確認しました。死骸は第二塔の研究班に運んでください」
フィールズ特級補佐官の指示に従い、騎士二人が魔物の頭と体を大きな袋に詰め込み始めた。
ここでバラバラにせず、そのまま持って行くようだ。
目の前で解体されても困るので、ホッとした。
その傍らで、今度は現場検証と事情聴取が始まる。
「魔物との遭遇した場面から、時間を追って話してください。必要なことは、都度、質問します」
魔物を発見した際のこと、魔物の声や動き、魔物を倒した後のこと、順を追ってジンが説明していく。
どうやって倒したかについての部分は、
「家門の機密です」
盛大に誤魔化した。
「機密なら仕方ありませんね」
サラッと頷き、先に進めるカーシェイ副官。
え! 私があれほど心配でドキドキしていたというのに、こんなんで納得するの?
どうやって誤魔化そうかと、ジンも頭を抱えていなかったっけ?
あれほど心配して胃を痛くしていたのに、損をした気分だ。
魔物死骸の片付けも終わり、私以外の人間が総出で、現場の後始末をし始めた。
どう見ても肉体労働向きではない、華奢な女性のフィールズ特級補佐官までも手伝わされていて、なんだか申し訳ない。
「獣や魔獣狩りでも、木や地面が荒れるのはいつものことなので」
危ないので近づかないでくださいね、とカーシェイ副官。
この人、気配り上手だよね。こういう気配り上手な人って好きだなぁ。
カーシェイ副官は、倒れた木を片付け、これも持って行け、と指示を出している。
抉れた地面は人力で大まかに均して、惨状は跡形もなく消えた。
最後に、しかめっ面の熊と挨拶して終わる。
ジンは緊張で固まっているので、私が代わりに熊と握手してあげた。手が大きい。
しかし、握手したままじーっとしていて、いつまで経っても離してくれない。
なんだ、この熊?
「あのー」と声をかけたら、手を離し、その大きな手で今度は頭を撫でられた。
? 何故?
そして、あっという間に熊たちは立ち去った。
「まさか、師団長がやってくるとは。寿命が縮みましたよ」
あの熊は有名人らしい。
名乗った以外は口を開かず、最後までしかめっ面だったけど。
行動ちょっとおかしかったけど。
意地悪なことをするような、嫌な熊ではなかったかな。
「次は倒さないでくださいね」
言われなくても、もう懲り懲り。
ポカンと口をあけて、私は熊を見上げた。その拍子にフードが後ろにずり落ちる。私は慌ててフードをかぶり直した。
「ジン、熊がいる」
「ちょっと黙っててもらえませんか?」
横にいるジンにコソッと話しかけた。ジンの顔が思いっきり引きつっている。顔色も悪い。
ジンは引きつった顔のまま、「なんでこの人が……」とブツブツつぶやいている。熊の登場はジンにとっても想定外だったようだ。
顔の引きつりが治まらない状態で、ジンが熊に挨拶をする。
「お待ちしていました。グランフレイム家門の騎士、ジン・ドゥアンです。よろしくお願いします」
熊は第六師団の人間だった。
ジンが心配してたのはこれか、熊か、熊が来るってことか。
討伐報告を送って第六師団の騎士が来るまでの一時間ほど、私はジンからレクチャーを受けていた。
「猫(仮)は放してください。猫じゃないのが即バレします」
それは困る。相手はくせ者。何をされるか分からない。
またね、と地面に降ろすと、猫(仮)は、にゃーと鳴いて、茂みの中へ去っていった。
「受け答えは私がします。ネージュ様はなるべく口を開かないように」
ボロが出るとでも思われていそうだ。その通りなので、何も言い返せない。
「何か聞かれたら、笑って誤魔化してください。返答してはダメですからね」
コクリと頷いてみせる。
「マントとフードで姿を隠してください。目を引くことはしないでくださいよ」
言われた通り、マントを羽織ってフードを被る。ただし、何が目を引くことに該当するかが、まったく分からない。困った。
そして、今。
私はジンの横に立ち、熊、じゃなくて、第六師団の騎士を迎えている。
第六師団は全員、黒い騎士服だ。
ジンが引きつった顔のまま、ぎこちない笑みを浮かべ、熊と握手をした。
家門関係と大神殿の関係の人間しか接したことがないので、すべてが珍しく感じる。
相手はジンの予想通り、男性四人、女性二人と少人数だった。
「ああ。ドラグニールだ」
熊が返事をした。
ジンがさらに引きつっている。
第六師団の男性は皆、体格ががっしりしていて、腕も脚も太い。
その中でも、この熊は背も高く胸も分厚そうだ。威圧感というかなんというか、のし掛かってくるような圧を感じる。
短い黒髪に黒目、焼けて浅黒い肌、無愛想で獰猛さも感じられる。まるで黒い熊だ。
あの魔物も黒毛に黒目の熊形だったので、印象がダブってニマニマしてしまう。
ふと、熊が何かボソッとつぶやき、熊の回りの人間がざわついて、別の男性が口を開いた。
「師団長に代わりまして、副官のヴィッツ・カーシェイです」
熊はというと、ニマニマしたのがマズかったのか、しかめっ面で私の方をじーっと見ている。食い入るように見ている。ヤバい。
「こっちはマリティナ・エルヴェス副官と第六師団の騎士二人。他部署ですが、鑑定のためフィールズ特級補佐官にも同行してもらいました。討伐、浄化済みという報告でしたので」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
ジンとカーシェイ副官が握手しようと手を伸ばす。その動きに合わせて、ジンが熊の視線を遮ろうと、すっと動いた。
そのとたん、
「ァア?」
しかめっ面をした熊が低いうなり声を上げ、その一言だけで、ジンがピクリとも動かなくなる。
そんなにビクつくほど大きな声でもないのに。
さらに顔色が悪くなって、様子がおかしい。
これから熊相手にいろいろ誤魔化さないといけないので、緊張しているのかなぁ。
ジンと握手しようとしていたカーシェイ副官もピクリとも動かない。
そして、熊も他の人も動かない。
うー、このままだと、いつまで経っても終わらないんだけど。あれ(=惨状)を早くどうにかしてほしい。
この人たちは、本当に何をしているんだろ。ヒマなの? ヒマジンなの?
私は首を傾げた。
ヒマジンの行動が理解できない。
「で、いつになったら始めるの?」
ヒマジンを前にして、つい、催促してしまった。
オマケの人間が突っ込みを入れたので、副官も騎士も熊までギョッとしている。
でも、そんな私の偉大な突っ込みのおかげで、緊張が解れたようで、
「では、現場検証を始めます!」
握手もそこそこに、カーシェイ副官が開始を宣言した。
魔物の鑑定と現場検証は時間がかかると思っていたが、サクサクと進む。
まず始めに魔物の鑑定。
これはフィールズ特級補佐官がおこなった。
「《鑑定》」
澄んだ声が響き、魔法陣が魔物の下に構築され展開していく。
他の人間は警戒しながら鑑定を見守っている。
十分ほどして魔法陣が消えた。
フィールズ特級補佐官が、手にした紙に何やら書き込んで終了。
「活動停止、浄化もキレイに完了しています。討伐完了を確認しました。死骸は第二塔の研究班に運んでください」
フィールズ特級補佐官の指示に従い、騎士二人が魔物の頭と体を大きな袋に詰め込み始めた。
ここでバラバラにせず、そのまま持って行くようだ。
目の前で解体されても困るので、ホッとした。
その傍らで、今度は現場検証と事情聴取が始まる。
「魔物との遭遇した場面から、時間を追って話してください。必要なことは、都度、質問します」
魔物を発見した際のこと、魔物の声や動き、魔物を倒した後のこと、順を追ってジンが説明していく。
どうやって倒したかについての部分は、
「家門の機密です」
盛大に誤魔化した。
「機密なら仕方ありませんね」
サラッと頷き、先に進めるカーシェイ副官。
え! 私があれほど心配でドキドキしていたというのに、こんなんで納得するの?
どうやって誤魔化そうかと、ジンも頭を抱えていなかったっけ?
あれほど心配して胃を痛くしていたのに、損をした気分だ。
魔物死骸の片付けも終わり、私以外の人間が総出で、現場の後始末をし始めた。
どう見ても肉体労働向きではない、華奢な女性のフィールズ特級補佐官までも手伝わされていて、なんだか申し訳ない。
「獣や魔獣狩りでも、木や地面が荒れるのはいつものことなので」
危ないので近づかないでくださいね、とカーシェイ副官。
この人、気配り上手だよね。こういう気配り上手な人って好きだなぁ。
カーシェイ副官は、倒れた木を片付け、これも持って行け、と指示を出している。
抉れた地面は人力で大まかに均して、惨状は跡形もなく消えた。
最後に、しかめっ面の熊と挨拶して終わる。
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しかし、握手したままじーっとしていて、いつまで経っても離してくれない。
なんだ、この熊?
「あのー」と声をかけたら、手を離し、その大きな手で今度は頭を撫でられた。
? 何故?
そして、あっという間に熊たちは立ち去った。
「まさか、師団長がやってくるとは。寿命が縮みましたよ」
あの熊は有名人らしい。
名乗った以外は口を開かず、最後までしかめっ面だったけど。
行動ちょっとおかしかったけど。
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