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17 蛇 蛇の前で妻を犯す
しおりを挟む家に着き、マユの軽自動車があるのを見て玄関に向かいました。引き戸ににカギがかかっていないことに気が付きました。不用心だなと思いつつも、マユに着替えの支度を頼んでシャワーでも浴びようかと、キッチンに向かった時です。押し殺したようなうめき声がしました。
「まさかっ?」
一瞬、そう疑いました。
またオヤジかっ?!。
あれほどのやりとりを経てなお、俺を・・・。一瞬そう疑ってキレそうになりました。今度こそ本当に殺してやろう。そこまで思いつめました。
でもそれは、大きな勘違いでした。
マユがキッチンとリビングの間にしゃがみ込んで何かしていました。タキガワが洗濯ロープでぐるぐる巻きにされエビ反りで転がされていました。口にはタオルを噛まされ、柱に縛り付けられていました。
「なんじゃこりゃ?」
開いた口が塞がらないとはこのことです。
マユは俺を振り返ってニッコリ笑いました。
「あ、たー君。おかえり~」
そう言いながら俺に抱きついてきました。
「たー君おかえりじゃねえだろ。・・・なんだ、これは」
「タキガワ」
「いや、それは見ればわかる。一体、どうしたんだ」
「こいつ、あたしの事、襲ってきたんだもん」
「・・・ハイ?」
前代未聞、青天の霹靂、驚天動地の展開に、思わず声が上ずってしまいました。
ウガウガ。
さるぐつわされたタキガワは目を潤ませていました。
顔にはマジックで渦巻きや猫のひげがイタズラ書きされ、額には『強姦魔見参!』とか。ズボンとパンツは下げられて俺のよりもはるかにデカいイチモツを曝け出していました。ナニの根元は輪ゴムで縛られ、ご丁寧にカラーリボンで飾られていました。先っぽにもマジックで目が描いてあり、まるで蛇の頭のように見えました。
「・・・説明してくれ」
俺は頭を押さえて言いました。
「あのね、コイツね・・・」
部屋を掃除をしていたら玄関のインターフォンが鳴り、モニターを覗くとタキガワがいました。かつての同僚、同期の彼の顔を見て、マユは仕方なく家に入れました。
「ハセガワさんから頼まれて書類をいただきにきたんだけど」
もちろん俺はそんなことを彼に頼んではいません。先日のタカハシの一件もあり、自分もかつて執念深く言い寄られたこともあって彼を警戒していましたが、会社の用事ともなれば無下にもできません。
「先日はクッキーごちそうさま。しばらくだね」
「ダンナから何も聞いていないし、何の書類かわからないから一応確認するね」
彼を居間に上げて飲み物を出し、キッチンでケータイを開き俺に連絡しようとした途端、後ろから抱きつかれたんだそうです。驚いて振り向くと、タキガワはズボンを下ろして下半身を露出しました。
「どう、大きいでしょ? ハセガワさんとボク、どっちがイイか、比べてみようよ」
そういってマユの手を取り、自分のモノを握らせました。
「最初はビックリしたけどさ、イキナリなんだコイツ、と思って、思いっきりタマタマ握ってやったの。そしたらウーって丸くなったから顔蹴っ飛ばしたらノビちゃった。ケーサツ呼んでタイホしてもらおうと思ったけどさ、会社の人だし、一応たー君に訊いてからにしよ、って思ってその辺の紐で縛ったの」
大暴れした時の興奮がよみがえって来たのでしょう。鼻の穴を一杯に広げ、いささか緊張気味にそう言いました。
「あ、リボンはね、サービス。うふ。あたしをレイプしようなんて、十年早いよ」
十年経ったらいいのか、と思いましたが口には出しませんでした。
タキガワの充血したモノを面白そうに足で踏みつけている妻の様子を目の当たりにし、こいつ意外にSだったんだなと思いました。もう絶対夫婦喧嘩はしないようにしよう、と固く心に誓いました。
「あの、輪ゴムは?」
「ああ、あれはね、証拠保全」
「『証拠保全』・・・」
ふたたび頭がクラクラしました。気を取り直して一応マユをホメました。
「まあ、よくやったと言いたいが・・・、危ないことを。オヤジは? 帰ってきてないか」
「午前中に電話があった。今日はお友達とゴルフだって」
そう言うとマユは急に修羅場を想い出して怖くなったのか、涙ぐみさえ見せて続けました。
「だってさ、とにかく暴れるしかないじゃん。お義父さんもいないし。無我夢中で縛ってたトコにたー君が帰ってきたの」
「そうか・・・。怖かったな。一人で大変だったな」
可愛いマユを抱きしめて、頭を撫でて落ち着かせました。
「どうする? ケーサツ呼ぶ?」
涙を拭きながら、マユは言いました。タキガワは苦し気に唸り、悶絶寸前みたいでした。
「待て」
弁明もさせずに大ごとにしてしまうのはどうかと思い、少なくともわけぐらいは聴いてやろうと思ったのです。
「え?」
「いいから。ちょっと待て」
惨めな姿で転がされているタキガワの口のタオルを外してやりました。
「おい。何か言いたい事があれば、言え」
タキガワは泣き出しました。
「スミマセン、出来心でした。入社以来コタニさんが好きでした。一目惚れだったんです。でもフラれてしまって・・・。この前、会社に来ていた彼女に会って・・・、もう一度だけ、と。会いたくてタマらなかったんです」
鼻水を垂らし、いくぶんアセりながら、彼は弁解しました。
「それと・・・、ハセガワさんが羨ましかったからです」
「え、俺が?・・・何で?」
「ハセガワさんはいつも上の人に可愛がられてます。課長も社長も、いつもハセガワさんばかり特別扱いです。ズルいと思っていました。結果を出して、いつか見下してやろうと思っていました。でも、いつの間にか結果でも敵わなくなって・・・。コタニさんを奪って悔しがらせてやろうと思ったんです」
「それで、こんなことをしたのか」
呆れてモノが言えませんでした。
なんというガキだろうか。まるで子供です。
欲しいものがあればすぐに手を出し、飽きたら何の躊躇もなく捨てる。こんなことを野放しにすれば、会社は、社会は滅茶苦茶になります。こんな奴と競っていたのかと思うと、自分が情けなくなりました。
「お前なあ、俺が憎たらしいなら、何故俺に向かって来なかったんだ。その代わりに、これか」
転がされた格好のまま、タキガワは涙目でずっと俺を睨んでいました。
「一つ訊くが、最近、新入社員の女の子ばかり手あたり次第に酔わせて強引にモノにしては捨てている男性社員がいると噂になっている。その被害に遭った社員にも話を聞いた。お前がやったんだな」
「酔わせて強引にだなんて。俺は合意の上で自由に恋愛しただけです」
「捨てられて会社に居づらくなった女性社員が何人か辞めてしまった。お前のせいだろうが」
「愛が無くなれば、別れるのは仕方がないじゃないですか。俺のせいじゃありませんよ」
そこまで話を聞いていたマユが再び奴のモノを足で踏みつけました。タキガワは苦痛に顔を歪め、唸りました。俺は慌ててマユを制しました。
「だって、許せないよコイツ。ね、コイツ殺っちゃう?」
「まあ、止めとけ。確かに強姦は未遂でも犯罪だが、これ以上やると正当防衛の範囲を超える」
さて、コイツをどうするか。
もちろん、このまま帰すわけにはいきません。常識的には警察に引き渡して終わりです。ですが、彼は俺の会社の社員です。表沙汰になればいささかなりとも会社への影響があるでしょう。制裁は加えるべきだし、今後二度とこのようなことはさせてはならないし、すぐに一緒に仕事をすることはできないけれど、彼に更生するチャンスを与えることも必要だと思いました。このことで社会の底辺に落ち、俺たちを逆恨みされても困ります。それに、彼は営業マンとして若手にも拘わらず優秀でした。彼に反省させ、再び同じようなコトをさせずに、しばらくホトぼりを冷まさせ、後に会社に復帰させるにはどうすればいいか。
修羅場にもかかわらず、俺は自分でも意外に思うほど冷静でした。そして手順を考えているうちにそれとは別の、ある邪悪なことを思いつきました。
「おい、マユ」
「ん? 何。ケーサツ呼ぶ?」
「全部、脱げ。今すぐ、ここでだ」
「全部、脱、えーっ?!・・・マジ? やだよーォ。何考えてんのォ。そんな趣味ないよォ」
信じられないといった顔で、マユは二歩も三歩も引いていました。
「いいから。言うとおりにしろ。見せてやろう。コイツ、それがしたくて来たんだから。自分の思い通りにならないこともあるんだということを判らせてやる」
俺はベルトを外し、ズボンとパンツを脱ぎました。
それはいささか邪悪過ぎるアイディアでした。一旦考えがまとまると俺のものは自然に、盛大に勃起しはじめました。俺はワザと彼に見せつけて言いました。
「今からお前のヤリたかったこと代わりにやってやるから。指咥えて見てろ。あ、縛られてるから、無理か。あはは」
やってる最中に喚かれると面倒です。
タキガワに再び猿轡を噛ませ、嫌がるマユのショートパンツとTシャツを脱がし、ショーツを剥ぎ取りました。まるで強姦魔です。
全裸に剥かれ、まろび出た豊満な乳房ともじゃもじゃの剛毛を隠すマユがいつになくシオらしく、異様に恥ずかしがる様を見てさらに昂奮しました。心の中で燻っていたオヤジとの経緯。そのせいかもしれません。彼女を後ろから抱きかかえ、タキガワに見えるように足を開かせてキスしました。
「いやあ、だめっ。こんなのイヤあっ! 恥ずかしいよォ」
「なんだ、言う割にもう、こんなになってるじゃん。乳首もビンビンだし」
そこはもうたっぷりと潤って俺を求めていました。荒々しく胸を揉みそこを捏ね回すと体をくねらせて敏感に反応しました。
「ヤダよォ、恥ずかしいよォ。ダメ。もう、もうっ!」
襲ってきた男の股間を握り潰し、気絶させてふん縛る。
そんなことが出来る女が本気になれば俺に易々といいようにされるわけがないのです。口ではイヤと言いながら、徐々に呼吸を荒くして昂るマユを感じていました。当然足を閉じようとするのですが、両足で無理やりこじ開けました。さらに股間を弄る俺の手を退かそうとしましたが、両腕を後ろに回して片手で抑え、そこを弄り続けました。
「あんっ! こんなのやあんっ! ダメ、そこダメェッ!」
しばらくそうしているとたまらなくなったのか、振り返って口を押し付けて舌を入れてきました。赤の他人に見せているのが相当恥ずかしく、その分萌えているのでしょう。めちゃくちゃに舌が動き、鼻息から相当な昂奮が伝わってきました。恥ずかしさか昂奮か。火照った身体がとても熱くなっていました。
「テーブルの脚持て。ケツ上げろ」
前に夢に見た、親父に犯されるマユのシーンがリフレインしてきたのです。
大人しく四つん這いになったマユの尻をペチペチ叩いて、タキガワを顧みました。
「俺の嫁な、ケツ叩かれて後ろからされるの大好きなんだぜ。よく見てろよ」
タキガワは苦痛と屈辱に顔を歪ませています。ペニスを輪ゴムで縛っていますから、血液は流入するのに循環しなくなり、鬱血してどんどん増大しはちきれそうになりながら射精もできないのです。相当な苦痛なのでしょう。
マユはどうしようもなくなっているようで、イヤイヤ言いながら自分で尻を振って、まるで早く挿入れてと催促しているかのようでした。もはや赤く潤み切っているそこへ思い切りブチこみました。
「ああーっ!・・・んん・・・んん」
マユはすぐに一回目の絶頂に達してしまいました。身体じゅうをガクガク震わせていましたが、それでもかまわずに突き続け、一度は弛緩したものの、ふたたび強烈に締め付けきました。上半身は完全に崩れ落ち、尻だけが俺にしっかり摑まれて高く掲げさせられています。
「ああ、また、またっ。・・・たー君、タンマ。もうやめて。壊れるよ。たー君。ああ、んんんんん」
何度も絶頂するたびに尻や背中や肩をブルブル震わせ、俺をなおも締め付けてきます。口では拒否の言葉を吐きつつ、もっともっと欲しい。マユの身体はそう言って俺を求めてくるのです。
「また来るっ、ああっ、あ、イク、・・・イクうーっ!!!」
何度も絶頂し、ついに尻すらあげていられずに床に突っ伏しました。それなのに俺はビクビク震えているマユの足をピッタリ閉じ、さらに奥に突き入れました。
「はあっ! ダメダメっ! もうダメっ、死ぬ、死んじゃうっ!」
マユは頤を聳やかして快感に耐えています。唇を噛み、何度も頭を振って、それでもこらえきれないような吐息と言葉を口の端から漏らしていました。裸の背中いっぱいに汗が噴き出し、俺の額から落ちた汗と混じり合い、玉になって流れおちてゆきました。零れ落ちてきた汗が目に入り何度も手で擦りました。
「何コレ? ふっ、ああん、違う、いつもと、全然違う。そこ、ソコっ! 熱いいっ! 熱いよッ! 気持ち良すぎて、ヘンになるゥ、ヘンに、なるよォ。もう、イカせないで、ああ、ダメ・・・んんんんん、はっ、はっ、もうダメ、もうダメ、もうダメェ、また、・・・んんんんんん」
最後にしたたかぎゅーっと締め付けたたかと思うと、マユの体から力が抜けていくのがわかりました。
完全に果てていました。
床にべったりと這い、全身をブルブル震わせながら肩で大きな息をしていました。
それなのに。
まだ全然射精感がきませんでした。不思議でした。マユから離れタキガワの前に立ちました。
「どうだ、タキガワ。あ? あれ、もう一時間も経ったのかあ、オマエも相当苦しいだろうなあ」
流しから包丁を持ってきてタキガワの前に突き付け、ケータイのカメラを構えました。
「見ただろ? お前さ、自分が襲おうとした女に殴り倒されて、気絶して、おまけにチンコさらしものにされてんだぜ? 情けねえよなあ」
さるぐつわの下で、顔中に恥ずかしいイタズラ描きされたタキガワはすでに泣きじゃくっていました。
「もう、苦しくて耐えられないだろ? ひと思いに心臓突かれるのと、チンコ切り落とされるの、どっちがいい?」
包丁の腹で彼のモノをピタピタ叩きました。
うがー。うがー。
恐らく、恐怖で気が動転していたのだと思います。発狂寸前みたいでした。
「チンコにするか? こんなの役に立たねえんだもん、持っててもしょうがねえもんなあ」
その時でした。
「あ!」
Like a volt under the blue・・・。
ルイ・アームストロングの古い歌にそんな歌詞があります。
青天の霹靂と言いますが、俺の中の奥深いところに突然に稲妻が落ち、その扉が開いたのです。
マユの白い尻と陰毛とその奥の散々犯されて爛れ切った愛液まみれの赤黒い肉。
俺と彼女のセックスを見ているタキガワの置かれた状況。
そして俺が手にした包丁。
俺の中で眠っていた記憶が呼び覚まされ、先日見た夢と目の前の現実とが複雑に絡み合い交錯しました。
ソウカ。コレダッタノカ。ダカラ、アンナユメヲミタンダ。
「ン? どうしたの」
絶頂の連鎖から覚めて来たマユが脱ぎ捨てた服を胸に当て、まだ息の整わないながら不安そうに俺を見上げていました。
ですが、その記憶があまりにも生々しく、しかも禍々し過ぎ、俺はしばらくの間、マユを見つめ呆然と立っていました。
やがて我に返った俺は、包丁でタキガワの輪ゴムとリボンを切ってやりました。どす黒く膨れ上がっていた彼のペニスは一気に通常の彼のサイズに萎み、ドロドロと精液を吐き出し、血液の循環を取り戻し生気を取り戻しました。苦痛と恐怖から解放され、精を吐いて安堵したのか、タキガワは子供のように声を上げて啜り泣いていました。
「いいか、一回しか言わないぞ。よく聞け」
まだ縛られたままの彼の顎に包丁の先を突き付け、俺は言いました。
「こいつは俺の女だ。もう二度と俺やこいつの前に姿を現すな。
警察にも会社にも黙っててやる。その代わり、明日、朝一で辞表を出せ。
当然だろう?
こんなことが露見すれば強姦未遂で逮捕されて懲戒免職は確実だ。新聞にでも載ってみろ、お前の履歴にも傷がつくし、お前の家族にも影響は甚大だ。再就職も難しくなるぞ。選ぶまでもないだろ? この恥ずかしい写真をバラまかれたくなかったら言うとおりにしろ」
ケータイで写真を何枚か取り、彼に見せました。
「あのな、俺が社長や課長から特別扱いされてるように見えるとしたら、それは俺が社長や課長から教わったことを忠実に守って仕事してるからだ。他にやり方、知らんしな。
それに、誰だって自分の教えをちゃんと守って真面目に働いてるヤツを見ればかわいいと思う。目をかけたくもなるだろ。
それなのにお前、生意気に係長や課長の言うこともきかず、リピート客のアフターもせず、売ったら売りっぱなしの、口八丁の仕事してたそうだな。それじゃあ失注もするだろうよ。お前は俺よりも優秀だと思う。他人の指摘を素直に聞く姿勢があれば成績だってもっと上がってた。
お前ならこれからいくらでもやり直せる。こんなことがあったからこれから一緒に仕事はできなくなるが、もう二度とこんなバカは止めてどこかでまじめに働け。手当たり次第に女を陥とすなんてバカなことはもう止めろ。自分ちで今の思い出しながらセンズリでもこいて反省しろ。わかったか?」
タキガワは泣きながら何度もうなずきました。
ロープを解いてやるとフラフラと立ち上がり躓きながら家を出て行きました。玄関をロックして、まだ少し体をピクピクさせているマユの傍らにドカッと座りこみました。
「やれやれ・・・。あいつ、あの落書きされた顔のまんま出て行っちゃったぞ。大丈夫かな」
裸で床にのびているマユを見下ろして言いました。
「しかし、なんつう女だ、お前は・・・」
マユの裸の尻をピタピタ叩きながら誇らしく思いつつ、同時に失われていたものが戻った衝撃を持て余してもいました。
「たー君も、・・・凄過ぎ、だよォ・・・」
まだ痙攣が残っていて何度か言葉を切りながら、マユは満足の微笑みを浮かべていました。
「スゴかったよー。恥ずかしすぎて、興奮しすぎちゃったよー。あー、まだアソコがズコられてるみたい。新しい感じるトコも開発されちゃったしー・・・」
マユは重ねた手のひらの上に頬を載せてウットリした目で俺を見上げていました。
「それにさ、『俺の女だ!』って言われてジーンって、キューンて、きちゃったよ。余計感じちゃった♡」
「あいつ、俺のために来てくれたようなもんだな」
気が付いたら呟いていました。
「え? 何のこと」
「いや・・・、うん・・・」
マユはじーっと俺を見ていました。やがて、
「たー君、のど乾いた。麦茶飲みたい。持って来てェ」
「ハイハイ」
冷蔵庫から麦茶のボトルを出して、コップに注いでやりました。おいしそうに喉を鳴らして一気に飲み干したマユは深い息を吐きました。それから俺の股間を見て、
「あれ? たー君まだだったの? スゴーい。ギンギンじゃん」
「あ、そうだった」
「どうする? 出したいでしょ。せっかくだからさ、中にちょうだい」
「今日は、いいの?」
念のため訊きました。
「ううん。めっちゃ、アブない日」
そう言って体を起こしてうふふと笑い、俺にキスしてきました。
「あたし、たー君の赤ちゃんが欲しいよ」
あー腰がガタガタとか言いながら、そのまま足を大きく開いて俺の膝の上に跨り、俺はずっぽりとマユに包まれ、そして抱き締められました。彼女はゆっくりと、腰を使い始めました。それがまたエロいのなんのって・・・。
「もう、十分イカせてもらったから、いつでもいいよ。いっぱい、出して。中に。子宮にちょうだい」
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
汗でびしょ濡れのシャツを脱ぎ、マユの柔らかな体を抱きしめました。汗が引いたマユの肌はヒンヤリと心地よく、乳首を舌で転がしてやり胸に顔を埋め、弾き返してくる感触を味わい、俺は幸福感に浸り、自然な昂まりを導かれ、深い射精を迎えました。
「あー。すごいっ。中で、ビクビクしてるぅ・・・。いっぱい出てるよ、コレ。
すごいね、たー君。すごい頑張ってガマンできるのに、出してっていうとすぐ出してくれる。まるで蛇口みたい。
ああーん、幸せェ・・・」
そう言ってマユはさらに俺を抱きしめてきました。
「うん。なんかそういうの、出来るようになったんだよね。よくわからんが」
そう言っておきました。本当に自分でも不思議だったからです。
以前はどちらかというと早漏に近く、必然的にマユを満足させてやれませんでした。それが、あの日を境に変わっていたのです。意識してその原因を追究してはいませんでした。それをすると、何となくマユとの仲が危うくなりそうな気がしたからです。
「大好き」
マユのキスは何とも言えない甘い味がしました。
「これで、あたしの事完全に信用してくれたでしょ」
「何が?」
「安売りする女じゃないってこと」
「・・・うん」
もう一度深いキスを交わしながら、ふと時計を見るともう一時を回っていました。
「おっと。やべェ。ちょっと着替えてきますって言って出てきたからさ、そろそろ戻らなきゃ」
「ええーっ?! もうちょっと一緒に居たいよォ・・・」
「仕方ないさ。渡世の義理、ってヤツだし」
マユの気持ちは痛いほどわかりましたが、俺は着替えを済ませ、着替えをバッグに詰め込むとキスで愛妻を黙らせ、再び会社に向かいました。
「戸締り、しっかりな。じゃ、行ってくる」
街中に戻る電車の吊革に掴まりながら、俺は甦った記憶を持て余していました。
失われていた記憶。
それは、オフクロが出て行った時の記憶だったのです。
長い間、オフクロが出て行ったのは、オヤジの女遊びに嫌気がさしたからだ、と思い込んでいました。オヤジがオフクロに飽きて、他の女を次から次に引っ張り込んだために、オフクロは耐えられなくなって出て行った。そう思っていました。オヤジを憎んでいたのも、そのせいでした。
でも、それは違うのです。
オフクロが失踪したのは、俺が殺そうとしたからなのです。
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